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公開番号2025132316
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024029782
出願日2024-02-29
発明の名称二酸化炭素還元装置
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人弁理士法人YKI国際特許事務所
主分類C25B 3/26 20210101AFI20250903BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】固体のギ酸塩の生成を促進することができる二酸化炭素還元装置を提供する。
【解決手段】電解液中の水を酸化して酸素を生成するアノード16と、二酸化炭素ガス中の二酸化炭素を還元してギ酸を生成するカソード22と、アノード16とカソード22との間に配置されるアニオン交換膜14と、アノード16に供給される前記電解液と、を有し、前記電解液は、溶媒と、前記ギ酸塩を形成する陽イオンを含み、前記ギ酸塩より前記溶媒への飽和濃度(g/100mL)の値が大きい電解質と、を有し、前記電解質が前記溶媒への飽和濃度の80%以上溶解している溶液であることを特徴とする二酸化炭素還元装置1である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素を還元することにより生成したギ酸を固体のギ酸塩として得る二酸化炭素還元装置であって、
電解液が供給され、前記電解液中の水を酸化して酸素を生成するアノードと、
二酸化炭素を含むガスが供給され、前記二酸化炭素を還元してギ酸を生成するカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置されるアニオン交換膜と、
前記アノードに供給される前記電解液と、を有し、
前記電解液は、溶媒と、前記ギ酸塩を形成する陽イオンを含み、前記ギ酸塩より前記溶媒への飽和濃度(g/100mL)の値が大きい電解質と、を有し、前記電解質が前記溶媒への飽和濃度の80%以上溶解している溶液であることを特徴とする二酸化炭素還元装置。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
二酸化炭素を還元することにより生成したギ酸を固体のギ酸塩として得る二酸化炭素還元装置であって、
アノード溶液が供給され、前記アノード溶液中の水を酸化して酸素を生成するアノードと、
二酸化炭素を含むガスが供給され、前記二酸化炭素を還元してギ酸を生成するカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に、前記アノード側から順に配置されるカチオン交換膜、イオン伝導層、及びアニオン交換膜と、
前記イオン伝導層に供給される電解液と、を有し、
前記電解液は、溶媒と、前記ギ酸塩を形成する陽イオンを含み、前記ギ酸塩より前記溶媒への飽和濃度(g/100mL)の値が大きい電解質と、を有し、前記電解質が前記溶媒への飽和濃度の80%以上溶解している溶液であることを特徴とする二酸化炭素還元装置。
【請求項3】
前記電解質に含まれる前記陽イオンは、20℃における水に対する飽和濃度が20mg/100mL未満の前記ギ酸塩を形成する陽イオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項4】
前記陽イオンは、Ca、Zn、Sr、U、Cu、Mg、Cdからなる群から選択される少なくとも1つの元素の陽イオンである、請求項3に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項5】
前記電解質は、Cl

、NO


、NO


、CO

2-
、SO

2-
、Br

、I

、B



2-
、ClO


、MnO


、CH

COO

、BrO


からなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項1又は2に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項6】
前記ギ酸塩と酸とを反応させてギ酸を生成するギ酸生成装置、前記ギ酸塩を乾留してホルムアルデヒドを生成する乾留装置のうちの少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項7】
前記カソードは、カソード触媒として金属錯体を含む触媒層を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項8】
前記金属錯体は、中心金属として、Ru、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Reからなる群より選択される少なくとも1つの金属を有し、配位子として、ジイミン配位子を有することを特徴とする請求項7に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項9】
前記カソードは、ガス拡散層を有し、
前記金属錯体の前記中心金属は、Ruであり、前記ジイミン配位子は、電子求引性の置換基が導入されたジイミン配位子であり、
前記触媒層は、イオン伝導体及びバインダーとなる高分子化合物と、導電性カーボンと、をさらに含み、
前記ガス拡散層は、疎水性多孔質カーボン基材を含むことを特徴とする請求項8に記載の二酸化炭素還元装置。
【請求項10】
前記電子求引性の置換基は、構造式が-COORのカルボン酸エステルであり、Rは、アルキル基とピロール部位からなる化学構造を有し、前記ピロール部位は、ポリピロール鎖により重合していることを特徴とする請求項9に記載の二酸化炭素還元装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素還元装置に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、石油や石炭等の化石燃料の枯渇が懸念され、持続的に利用できる再生可能エネルギーへの期待が高まっている。そのようなエネルギー問題、さらに環境問題等の観点から、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて二酸化炭素を電気化学的に還元し、貯蔵可能な化学エネルギー源を作り出す人工光合成技術の開発が進められている。
【0003】
二酸化炭素を還元する方法の一つとして、水溶液中に溶解させた二酸化炭素を電気化学的にギ酸に還元する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1の方法のような従来の二酸化炭素還元電解装置は、溶液中に溶解した二酸化炭素を還元する手法であった(例えば、特許文献1の図1参照)。この例では、二酸化炭素還元触媒として銅(Cu)等の金属ナノワイヤ、水(H

O)酸化触媒として白金(Pt)が用いられている。
【0004】
近年では、ガス拡散型の二酸化炭素還元電極の開発が進められており、例えば、非特許文献1では、ガス拡散型の二酸化炭素還元用の負極(カソード)と、H

O酸化用の正極(アノード)との間に、負極室用の電解質溶液(炭酸水素カリウム(KHCO

)水溶液)、イオン電導性メンブレン膜及び正極室用の電解質溶液(水酸化カリウム(KOH)水溶液)が配置された二酸化炭素還元装置が報告されている(非特許文献1の図2参照)。この例では、二酸化炭素還元触媒として酸化スズ、水酸化触媒としてニッケル(Ni)が用いられている。
【0005】
別の例として、特許文献2には、ガス拡散型の負極と、正極との間に、アニオン交換膜を配置した2室方式の二酸化炭素還元装置が記載され(特許文献2の図1参照)、また、非特許文献2では、ガス拡散型の負極と、正極との間に、アニオン交換膜、水溶液層及びカチオン交換膜を配置した3室方式の二酸化炭素還元装置が記載されている(非特許文献2の図3参照)。特許文献2では、二酸化炭素還元触媒としてRu錯体が用いられ、水酸化触媒として、Fe-Ni系触媒が用いられている。また、非特許文献2では、二酸化炭素還元触媒としてスズナノ粒子、水酸化触媒として酸化イリジウム(IrO

)が用いられている。
【0006】
特許文献1のような、電極浸漬方式の場合、水溶液中に溶解する二酸化炭素の濃度は室温、常圧では希薄であるため、二酸化炭素に優先して、共存するプロトン(H

)の還元が進行し、水素(H

)が副生される。また、水溶液中での二酸化炭素の物質拡散が遅いため、二酸化炭素還元の反応電流密度の理論限界は<30mA cm
-2
と小さい。
【0007】
特許文献2、及び非特許文献1,2のようなガス拡散方式の場合、二酸化炭素ガスを水蒸気ガスと混合して負極に直接供給するので、水に対する二酸化炭素の濃度比が大きいため、水素(H

)の副生が抑制される。また、拡散速度の速い気相中で反応が進行するので、反応電流密度の限界が大幅に増大する。さらに、正極室と負極室に異なる流体を用いることができるので、正極を水の酸化が容易なアルカリ性環境としながら、負極に二酸化炭素を供給し、両極におけて最適な反応環境を構築することができる。
【0008】
しかし、特許文献2や非特許文献1,2では、二酸化炭素を還元することにより生成したギ酸は、二酸化炭素還元装置に供給される電解質溶液(電解液)中に溶解してしまうため、ギ酸の分離回収が困難となる。電解液中からのギ酸の回収方法としては、イオン交換カラムクロマトグラフィーで分取する方法や、酸を添加した後に蒸留する方法等がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、いずれにしもて、スケールの発生や処理コストの増加等の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2017-057438号公報
特開2023-133965号公報
特開2023-69361号公報
【非特許文献】
【0010】
ACS Sustainable Chem. Eng. 2021, 9, 11, 4213-4223
https://dioxidematerials.com/technology/formic-acid/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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