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公開番号2025121978
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-20
出願番号2025077324,2021545613
出願日2025-05-07,2020-09-11
発明の名称DcR3改変体
出願人協和キリン株式会社
代理人弁理士法人 津国
主分類C07K 14/715 20060101AFI20250813BHJP(有機化学)
要約【課題】Decoy Receptor 3(DcR3)のリガンドに対する結合活性(好ましくは中和活性)を有するとともに、哺乳動物由来の細胞を宿主として作製する時に野生型DcR3と比較して凝集体の生成量が低下する、及び/又は、改善した体内動態を示すDcR3改変体、該DcR3改変体をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクターを導入して得られる形質転換体、該形質転換体を用いる改変体の製造方法、並びに、該改変体を有効成分とする自己免疫疾患、炎症性疾患又はアレルギー性疾患の予防又は治療剤を提供する。
【解決手段】野生型DcR3の改変体であるDcR3改変体であって、前記野生型DcR3よりも改善した体内動態を示す、前記DcR3改変体。該DcR3改変体は、DcR3の一部とTNFスーパーファミリー分子の一部とを含むDcR3改変体であってよい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
野生型Decoy Receptor 3(以下、DcR3と略記する)の改変体であるDcR3改変体であって、前記野生型DcR3よりも改善した体内動態を示す、前記DcR3改変体。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
1以上のN-グリコシド結合複合型糖鎖を有する、請求項1に記載のDcR3改変体。
【請求項3】
LIGHT、TL1A及びFasLのうちの少なくとも一つ以上に対して中和活性を有する、請求項1に記載のDcR3改変体。
【請求項4】
LIGHT、TL1A及びFasLの全てに対して中和活性を有する、請求項1に記載のDcR3改変体。
【請求項5】
FasLに対して中和活性を有さず、且つ、LIGHT及びTL1Aのいずれか一つ以上に対して中和活性を有する、請求項1に記載のDcR3改変体。
【請求項6】
FasLに対して中和活性を有さず、且つ、LIGHT及びTL1Aに対して中和活性を有する、請求項1に記載のDcR3改変体。
【請求項7】
野生型DcR3のシステインリッチ領域において、野生型DcR3のシステインリッチドメイン(以下、CRDと略記する)の少なくとも一部が、DcR3以外のTNF受容体スーパーファミリー分子のシステインリッチドメインの少なくとも一部で置換されたアミノ酸配列からなる第1のキメラ型システインリッチ領域、あるいは、前記第1のキメラ型システインリッチ領域のアミノ酸配列において、1~30個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる第2のキメラ型システインリッチ領域を含む、DcR3改変体。
【請求項8】
1以上のN-グリコシド結合複合型糖鎖を有する、請求項7に記載のDcR3改変体。
【請求項9】
LIGHT、TL1A及びFasLのうちの少なくとも一つ以上に対して中和活性を有する、請求項7に記載のDcR3改変体。
【請求項10】
LIGHT、TL1A及びFasLの全てに対して中和活性を有する、請求項7に記載のDcR3改変体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、野生型DcR3の改変体であるDcR3改変体に関する。より詳しくは、本発明は、DcR3のリガンドに対する結合活性(好ましくは中和活性)を有するとともに、哺乳動物由来の細胞を宿主として作製する時に野生型DcR3と比較して凝集体の生成量が低下する、及び/又は、改善した体内動態を示すDcR3改変体に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
Tumor necrosis factor(TNF)スーパーファミリー(TNFSF)及びTNF受容体スーパーファミリー(TNFRSF)はそれぞれ、構造的に類似した18個のリガンド及び29個の受容体ファミリーを形成している。このファミリーに含まれる多くの分子に対する抗体及びFc融合タンパク質が開発及び上市され、種々の自己免疫疾患の治療において治療効果を示している(非特許文献1)。
【0003】
TNFRSFの多くは細胞膜上に発現し、リガンド結合により下流にシグナルを伝達するが、いくつかの分子はシグナル伝達に関与しない、おとり(デコイ)受容体(DcR)である。デコイ受容体は、これまでにDcR1、DcR2、DcR3及びOPG(Osteoprotegerin)の4つが同定されている。
【0004】
OPGはRANKL及びTRAILに対する可溶型デコイ受容体であり、RANKL受容体及びTRAIL受容体のリガンドとの結合に競合することでシグナル伝達を阻害する。一方、DcR1及びDcR2はTRAILに対して、並びに、DcR3はLIGHT、TL1A、及びFasLの3分子に対して、いずれもシグナルを伝達する受容体との結合を競合的に阻害することでリガンドを中和するデコイ受容体である(非特許文献2)。
【0005】
DcR3は300アミノ酸残基からなる可溶型分子である。N末端側にはシグナルペプチド、次いでTNFRSFに特徴的なシステインリッチドメイン(CRD)を4つ有し(CRD1、CRD2、CRD3及びCRD4)、C末端側にはヘパラン硫酸結合モチーフを含む塩基性アミノ酸に富んだヘパラン硫酸結合領域(HBD)を有する。LIGHT、TL1A及びFasLはいずれもDcR3のCRD2及びCRD3を介して結合する(非特許文献3、4、5)。
【0006】
DcR3は、リガンド中和によるデコイ受容体としての機能以外にも、HBDの活性に基づく免疫調節分子としての機能がある。例えば、単球、マクロファージ、又は樹状細胞の細胞膜上のヘパラン硫酸をはじめとするグリコサミノグリカン(GAG)に対してHBDを介して直接結合し、樹状細胞の分化によるTh2誘導、M2マクロファージの誘導、単球の接着亢進、破骨細胞分化、又はMHCクラスII分子の発現低下等、様々な免疫抑制及び免疫賦活作用を惹起することが報告されている。(非特許文献6、12)。
【0007】
DcR3リガンドは自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー、がん、感染症、又はその他各種炎症反応における関与が報告されている。例えば、LIGHT、TL1A及びFasLはいずれも炎症性腸疾患(IBD)において感受性遺伝子座に含まれており、特に、TL1Aについては病態に関連する複数の遺伝子多型の存在が分かっている。また、IBD患者の血中又は組織におけるDcR3リガンドの発現亢進、及び、マウス腸炎モデルにおけるDcR3リガンド阻害による病態改善の報告もある(非特許文献6~9)。
【0008】
ヒトの正常組織におけるDcR3の発現は極めて低レベルであるが、感染又は組織障害によりその発現が誘導される。更に、IBD、全身性エリテマトーデス(SLE)、アトピー性皮膚炎(AD)、又は関節リウマチ(RA)等の種々の自己免疫疾患又は炎症性疾患において、DcR3の血中レベルが上昇していることが分かっている。また、マウスではDcR3ホモログが同定されていないが、I型糖尿病モデル、多発性硬化症モデル、又は腎炎モデル等のマウス病態モデルにおいては、ヒトDcR3のトランスジェニックマウスにおける病態の改善、及び、プラスミド又は組換えDcR3投与による薬効が、それぞれ確認されている(非特許文献6、10)。
【0009】
Genentech社は、ヒトDcR3遺伝子をクローニングし、DcR3及びヒトIgG1のFc領域との融合体が、可溶型ヒトFasLに結合すること、in vitroにおいてヒトFasL依存的なアポトーシスを阻害することを示した(特許文献1)。
【0010】
Eli Lilly社は、野生型DcR3の1アミノ酸変異(R218Q)により、プロテアーゼ耐性のDcR3変異体であるFLINTを取得し、マウス及びサルにおいて野生型DcR3よりも体内動態が改善することを報告している。しかしながら、カニクイザルに野生型DcR3及びFLINTを0.5mg/kg 静脈内注射で投与した際の血中半減期は、それぞれ、9時間及び12.3時間と極めて短い(特許文献2、3、非特許文献11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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