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公開番号2025128853
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-03
出願番号2024025814
出願日2024-02-22
発明の名称モダクリル繊維の製造方法
出願人株式会社カネカ
代理人個人,個人
主分類D01F 6/40 20060101AFI20250827BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】モダクリル繊維製品を溶媒に溶解して得られる紡糸原液を用いて紡糸を行うモダクリル繊維の製造方法であって、ニュートン流体的な性質を示す紡糸原液を用いてモダクリル繊維を製造できる、モダクリル繊維製品の製造方法と、モダクリル繊維とを提供すること。
【解決手段】親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品と、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を少量含むか、含まない疎水性樹脂微粒子とを特定の種類の有機溶媒と混合して得られる紡糸原液を用いて湿式紡糸を行う。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品と、疎水性樹脂微粒子とをジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びアセトンからなる群から選択される少なくとも1種と混合して紡糸原液を得ることと、
前記紡糸原液を用いて湿式紡糸を行うことと、を含み、
前記モダクリル繊維製品が、前記紡糸原液に溶解しており、
前記疎水性樹脂微粒子が、前記紡糸原液中に分散しており、
前記疎水性樹脂微粒子を構成する疎水性樹脂の全構成単位のモル数に対する、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位のモル数の比率が0.5モル%以下である、モダクリル繊維の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記モダクリル繊維製品の質量に対する、前記疎水性樹脂微粒子の質量の比率が5質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載のモダクリル繊維の製造方法。
【請求項3】
前記疎水性樹脂微粒子が、ポリアクリロニトリル、フルオロカーボンポリマー、無水マレイン酸ポリマー、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される1種以上の樹脂からなる微粒子である、請求項1、又は2に記載のモダクリル繊維の製造方法。
【請求項4】
前記モダクリル繊維製品が油剤を含む場合に、前記モダクリル繊維を前記紡糸原液中に溶解させる前に、前記油剤を含む前記モダクリル繊維製品から前記油剤の少なくとも一部を除去する脱油処理を行う、請求項1、又は2に記載のモダクリル繊維の製造方法。
【請求項5】
前記親水性官能基含有単量体が有する親水性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホニルアミド基、及びスルホニルイミド基からなる群より選択される1種以上である、請求項1、又は2に記載のモダクリル繊維の製造方法。
【請求項6】
下記粘度V1に対する下記粘度V2の比率V2/V1が0.5以上1以下である、請求項1、又は2に記載のモダクリル繊維の製造方法。
粘度V1:前記紡糸原液を調製後、前記紡糸原液を12時間以上25℃にて静置した後に、前記紡糸原液を25℃から50℃まで昇温し、50℃で測定した前記紡糸原液の粘度。
粘度V2:前記粘度V1の測定に続いて、前記紡糸原液を50℃から80℃に昇温し、次いで前記紡糸原液を80℃から50℃に冷却した後に、50℃で測定した前記紡糸原液の粘度。
【請求項7】
前記粘度V1が、0.5Pa・s以上10Pa・s以下である、請求項6に記載のモダクリル繊維の製造方法。
【請求項8】
モダクリル樹脂、及び疎水性樹脂微粒子を含み、
前記疎水性樹脂微粒子を構成する疎水性樹脂の全構成単位のモル数に対する、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位のモル数の比率が0.5モル%以下である、モダクリル繊維。
【請求項9】
前記モダクリル樹脂の質量に対する、前記疎水性樹脂微粒子の質量の比率が5質量%以上20質量%以下である、請求項8に記載のモダクリル繊維。
【請求項10】
前記疎水性樹脂微粒子が、ポリアクリロニトリル、フルオロカーボンポリマー、無水マレイン酸ポリマー、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される1種以上の樹脂からなる微粒子である、請求項8、又は請求項9に記載のモダクリル繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、モダクリル繊維の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
アクリル系繊維として知られるモダクリル繊維は、その独特の風合いや優れた発色性、染色堅牢度等の特徴を有することから、衣料、建築、及び産業資材用等の種々の用途に用いられている。石油製品であるモダクリル繊維について、人間活動の持続可能性の点で、そのリサイクルについて強い要求がある。アクリル系繊維をリサイクルする方法としては、粉砕されたアクリル系繊維を溶媒に溶解させた後、得られたアクリル系樹脂の溶液を用いて湿式紡糸する方法が提案されている(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-112114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モダクリル繊維製品を溶媒に溶解させる場合、紡糸原液が非ニュートン流体的な性質を示すことがある。非ニュートン流体は、高せん断応力化では低粘度の液体としての挙動を示すが、低せん断応力下では過度に増粘する。紡糸原液が非ニュートン流体的な性質を示す場合、配管の閉塞や、紡糸時の糸切れ等が生じやすい。
このため、モダクリル繊維製品をリサイクル使用してモダクリル繊維を製造する際に、非ニュートン流体ではなく、ニュートン流体的な性質を示す紡糸原液を調製できることが求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、モダクリル繊維製品を溶媒に溶解して得られる紡糸原液を用いて紡糸を行うモダクリル繊維の製造方法であって、ニュートン流体的な性質を示す紡糸原液を用いてモダクリル繊維を製造できる、モダクリル繊維製品の製造方法と、モダクリル繊維とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品と、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を少量含むか、含まない疎水性樹脂微粒子とを特定の種類の有機溶媒と混合して得られる紡糸原液を用いて湿式紡糸を行うことにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
より具体的には、本発明は、以下の(1)~(7)を提供する。
(1)親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品と、疎水性樹脂微粒子とをジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びアセトンからなる群から選択される少なくとも1種と混合して紡糸原液を得ることと、
紡糸原液を用いて湿式紡糸を行うことと、を含み、
モダクリル繊維製品が、紡糸原液に溶解しており、
疎水性樹脂微粒子が、紡糸原液中に分散しており、
疎水性樹脂微粒子を構成する疎水性樹脂の全構成単位のモル数に対する、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位のモル数の比率が0.5モル%以下である、モダクリル繊維の製造方法。
(2)モダクリル繊維製品の質量に対する、疎水性樹脂微粒子の質量の比率が5質量%以上20質量%以下である、(1)に記載のモダクリル繊維の製造方法。
(3)疎水性樹脂微粒子が、ポリアクリロニトリル、フルオロカーボンポリマー、無水マレイン酸ポリマー、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される1種以上の樹脂からなる微粒子である、(1)、又は(2)に記載のモダクリル繊維の製造方法。
(4)モダクリル繊維製品が油剤を含む場合に、モダクリル繊維を紡糸原液中に溶解させる前に、油剤を含むモダクリル繊維製品から油剤の少なくとも一部を除去する脱油処理を行う、(1)~(3)のいずれか1つに記載のモダクリル繊維の製造方法。
(5)親水性官能基含有単量体が有する親水性官能基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホニルアミド基、及びスルホニルイミド基からなる群より選択される1種以上である、(1)~(4)のいずれか1つに記載のモダクリル繊維の製造方法。
(6)下記粘度V1に対する下記粘度V2の比率V2/V1が0.5以上1以下である、(1)~(5)のいずれか1つに記載のモダクリル繊維の製造方法。
粘度V1:紡糸原液を調製後、紡糸原液を12時間以上25℃にて静置した後に、紡糸原液を25℃から50℃まで昇温し、50℃で測定した紡糸原液の粘度。
粘度V2:粘度V1の測定に続いて、紡糸原液を50℃から80℃に昇温し、次いで紡糸原液を80℃から50℃に冷却した後に、50℃で測定した紡糸原液の粘度。
(7)粘度V1が、0.5Pa・s以上10Pa・s以下である、(6)に記載のモダクリル繊維の製造方法。
(8)モダクリル樹脂、及び疎水性樹脂微粒子を含み、
疎水性樹脂微粒子を構成する疎水性樹脂の全構成単位のモル数に対する、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位のモル数の比率が0.5モル%以下である、モダクリル繊維。
(9)モダクリル樹脂の質量に対する、疎水性樹脂微粒子の質量の比率が5質量%以上20質量%以下である、(8)に記載のモダクリル繊維。
(10)疎水性樹脂微粒子が、ポリアクリロニトリル、フルオロカーボンポリマー、無水マレイン酸ポリマー、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択される1種以上の樹脂からなる微粒子である、(8)、又は(9)に記載のモダクリル繊維。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モダクリル繊維製品を溶媒に溶解して得られる紡糸原液を用いて紡糸を行うモダクリル繊維の製造方法であって、ニュートン流体的な性質を示す紡糸原液を用いてモダクリル繊維を製造できる、モダクリル繊維製品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪モダクリル繊維の製造方法≫
モダクリル繊維の製造方法は、
親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品と、疎水性樹脂微粒子とをジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びアセトンからなる群から選択される少なくとも1種と混合して紡糸原液を得ることと、
紡糸原液を用いて湿式紡糸を行うことと、を含む。
上記の紡糸原液において、モダクリル繊維製品が紡糸原液に溶解している。また、疎水性樹脂微粒子が、紡糸原液中に分散している。
疎水性樹脂微粒子を構成する疎水性樹脂の全構成単位のモル数に対する、親水性官能基含有単量体に由来する構成単位のモル数の比率が0.5モル%以下である。
上記のモダクリル繊維の製造方法によれば、紡糸原液の低温域での過度の増粘を抑制でき、低温域で増粘した紡糸原液を加熱した場合に、十分に紡糸原液の粘度が低下する。
【0010】
モダクリル繊維製品を構成する親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂は、水を含む紡糸原液を用いて製造されることが多く、また紡糸構成において水に浸漬されたり、水で洗浄されることが多い。このため、モダクリル繊維製品は、多くの場合、少量の水を含む。親水性官能基含有単量体に由来する構成単位を有するモダクリル樹脂からなるモダクリル繊維製品が水を含む場合、親水性官能基に水が水和し、モダクリル樹脂に水が構造水として取り込まれる。この場合、モダクリル樹脂において水を介して網目状のネットワークが形成される。
この構造水としての水による分子鎖のネットワーク化が、紡糸原液が非ニュートン流体的な性質を示す一因として考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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