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公開番号2025131546
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2025028536
出願日2025-02-26
発明の名称コケ植物接着用組成物
出願人国立大学法人秋田大学,学校法人八戸工業大学,株式会社 栄組
代理人個人,個人,個人
主分類A01G 22/30 20180101AFI20250902BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】 本発明の目的は、コケ植物を利用して屋上や壁面などを緑化する際の、設置したときの重量が軽く、設置後の補修も容易な、コケ植物の設置方法と、その方法に用いる材料を提供することである。
【解決手段】 コケ植物の成長を阻害せず、かつ、昆虫、鳥類の餌とならない、増粘剤・ゲル化剤、を含むコケ植物接着用組成物。セルロースエーテル、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸塩、のいずれか1又は2以上を含むコケ植物接着用組成物。
本発明によれば、設置したときの重量が軽く、設置後の補修もしやすく、コケ植物を設置することができる。この組成物による接着効果が持続している間に、コケが成長し、仮根が発達して、コケ植物が目的箇所に固定される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
コケ植物の成長を阻害せず、かつ、昆虫、鳥類の餌とならない、増粘剤・ゲル化剤、を含むコケ植物接着用組成物。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
増粘剤・ゲル化剤の濃度が0.1~30重量%である、請求項1のコケ植物接着用組成物。
【請求項3】
セルロースエーテル、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸塩、のいずれか1又は2以上を含むコケ植物接着用組成物。
【請求項4】
セルロースエーテル0.1~30重量%かつカラギーナン0.1~10重量%の、水溶液であるコケ植物接着用組成物。
【請求項5】
セルロースエーテル0.1~30重量%かつカラギーナン0.1~10重量%で、両者を足した濃度が1.2重量%以上の、水溶液であるコケ植物接着用組成物。
【請求項6】
コケ植物の仮根に、請求項1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物を付着させたコケ植物緑化資材。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物により、コケ植物が被接着体に仮根部分で接着されている、コケ植物接着体。
【請求項8】
接着部の上に雨除けの覆いを有する、請求項7の、コケ植物接着体。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物を、コケ植物の仮根及び/又は被接着体に塗布し、両者を接着させる、コケ植物と被接着体を接着する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上や壁面を、コケ植物を利用して緑化する際の、コケ植物の新たな設置方法とそれに用いる材料に関する。さらに詳しくは、設置したときの重量が軽く、設置後の補修も容易な、コケ植物の設置方法とそれに用いる材料に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
都市ではヒートアイランド現象の軽減に向けて、各地で、ビルの屋上緑化や壁面緑化が推進されている。この緑化に用いられる植物として、メンテナンスが簡単で、土壌を必要としない、コケ植物が注目されている。
コケ植物で屋上や壁面を緑化するには、トレーに保水材などを入れてその上にコケ植物を植栽しこれを屋上に設置したり、不織布等にコケ植物を縫い合わせたり、不織布等にコケ植物を載せてから布やメッシュ等で覆って固定し、これを、屋上や壁面に貼り付けたりしている。
【0003】
しかしながら、これらの方法では、トレーの場合は重量が大きくなり強度の弱い建築物の屋上に載せることが難しく、不織布等の場合はコケ植物が枯れても再生せず、枯れた部分を補修しようとしてもそれも難しい等の欠点があった。
【0004】
一方、コケ植物を使った緑化の際に、セルロースエーテルやカラギーナンなどの増粘剤・ゲル化剤を使った例として、コケ植物を利用した緑化用の基板構造に保水層を備え、この保水層を構成するスポンジ、珪藻土、バーミキュライトなどの基材同士を良好に繋ぐために、セルロースエーテルやカラギーナンなどの増粘剤・ゲル化剤を用いる発明がある(特許文献1[0012][4]、[0025]参照)。しかしながら、コケ植物と被接着体との接着に、増粘剤・ゲル化剤を用いているわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2023-137996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コケ植物を利用して屋上や壁面などを緑化する際の、設置したときの重量が軽く、設置後の補修も容易な、コケ植物の設置方法と、その方法に用いる材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、コケ植物の成長を阻害しない、増粘剤・ゲル化剤を用いて、コケ植物を、屋上、壁面などの被接着体に接着することで、設置したときに重量が軽く、補修もしやすく、コケ植物を設置できることを見出し本発明に到達した。さらには、屋外で用いるので、昆虫などに摂餌されないことも必要であると思い至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.コケ植物の成長を阻害せず、かつ、昆虫、鳥類の餌とならない、増粘剤・ゲル化剤、を含むコケ植物接着用組成物。
2.増粘剤・ゲル化剤の濃度が0.1~30重量%である、前記1のコケ植物接着用組成物。
3.セルロースエーテル、カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸塩、のいずれか1又は2以上を含むコケ植物接着用組成物。
4.セルロースエーテル0.1~30重量%かつカラギーナン0.1~10重量%の、水溶液であるコケ植物接着用組成物。
5.セルロースエーテル0.1~30重量%かつカラギーナン0.1~10重量%で、両者を足した濃度が1.2重量%以上の、水溶液であるコケ植物接着用組成物。
6.コケ植物の仮根に、前記1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物を付着させたコケ植物緑化資材。
7.前記1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物により、コケ植物が被接着体に仮根部分で接着されている、コケ植物接着体。
8.接着部の上に雨除けの覆いを有する、前記7の、コケ植物接着体。
9.前記1~5のいずれか1のコケ植物接着用組成物を、コケ植物の仮根及び/又は被接着体に塗布し、両者を接着させる、コケ植物と被接着体を接着する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコケ植物接着用組成物によれば、設置したときの重量が軽く、設置後の補修もしやすく、コケ植物を設置することができる。この組成物による接着効果が持続している間に、コケが成長し、仮根が発達して、コケ植物が目的箇所に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
エゾスナゴケを接着させたメラミンスポンジを垂直に立て、2年間、屋外放置した後の様子を写真で示した。
エゾスナゴケを接着させたメラミンスポンジを斜めにして、10か月間、屋外放置した後の様子を写真で示した。
エゾスナゴケを石やコンクリートに直接接着し、10か月間、屋外放置した後の様子を写真で示した。
エゾスナゴケを各種珪藻土固化物に直接接着し、10か月間、屋外放置した後の様子を写真で示した。
本発明のゲル接着用組成物の状態を示した。
増粘剤・ゲル化剤の組成を変えたときの本発明のゲル接着用組成物の状態を示した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.コケ植物と被接着体の接着について
(1)コケ植物接着用組成物について
本発明のコケ植物接着用組成物は、増粘剤・ゲル化剤を用いて、コケ植物を屋上、壁面などの被接着体に接着しようとするものである。
本発明の増粘剤・ゲル化剤とは、増粘作用、又はゲル化作用、あるいはその両方の作用を持つ化合物である。例えば、セルロースエーテルは増粘剤であり、カラギーナンは増粘剤でもゲル化剤でもあるが、増粘剤・ゲル化剤はその両方を含む。なお、増粘剤、ゲル化剤は機能面からの分類であり、増粘作用とゲル化作用は互いに重複する部分もあるので、増粘剤とゲル化剤を厳密に分けるのは必ずしも適切でない場合もある。よって、増粘剤とゲル化剤を増粘剤・ゲル化剤としてまとめて規定することとした。
増粘剤・ゲル化剤は、コケ植物の成長を阻害せず、昆虫や鳥類の餌とならないものを用いるとより好ましい。餌とは昆虫や鳥類が好んで食するものである。増粘剤、ゲル化剤は天然物由来あるいは、天然物を化学修飾した化合物であればより好ましい。
本発明の増粘剤・ゲル化剤には、例えば、セルロースエーテル、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩などが含まれる。
セルロースエーテルは、セルロースのヒドロキシル基にエーテル結合で他の原子団を結合させた誘導体の総称で、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、アミノエチルセルロースが挙げられ、より好ましいのはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース(各々グリオキサールにより表面処理したものも含む)(以下、メチルセルロース等と記載することもある)である。
キサンタンガムはトウモロコシなどの澱粉を発酵して製造する化合物で、食品などの増粘剤として使われている。カラギーナンは紅藻類から抽出される多糖類で、κ(カッパ)、ι(イオタ)、λ(ラムダ)の3つの型があるが、本発明のカラギーナンはどの型でもよいし、それらの混合物でもよい。アルギン酸塩は、褐藻などに含まれる多糖類である。アルギン酸塩には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなど各種アルギン酸塩が含まれる。
本発明の増粘剤・ゲル化剤は、それぞれの増粘剤・ゲル化剤を混合したものでもよい。例えば、セルロースエーテルとカラギーナンを混合したものでも、セルロースエーテルとアルギン酸塩を混合したものでもよい。混合する際は、流動性を下げる、固めるという増粘とゲル化の両方の機能を発揮させるために、増粘作用とゲル化作用を併せ持つように、混合する物を選ぶとより好ましい。
増粘剤・ゲル化剤は、より好ましくは0.1~30重量%、さらに好ましくは0.2~10重量%の水溶液であることである。このときの重量%は、増粘剤・ゲル化剤の混合物のときはそのそれぞれの合計の値である。
また、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース(各々グリオキサールにより表面処理したものも含む)の何れか1又は2以上とカラギーナンの混合物をコケ植物接着用組成物とするとより好ましく、その場合、前者は、0.1~30重量%であればより好ましく、0.1~10重量%であればさらに好ましい。カラギーナンは0.1~10重量%であればより好ましく、0.1~5重量%であればさらに好ましい。
なお、多くの場合はメチルセルロース等の使用が有利であるが、キサンタンガムとアルギン酸塩は、カラギーナンの使用よりも有利な場合もあり、この場合は、代替するとより好ましい。
また、接着作用を大きく阻害しないものであれば、増粘剤、ゲル化剤以外の成分を、混合することを排除するものではない。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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