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公開番号2025112517
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024006783
出願日2024-01-19
発明の名称発酵食品及びその製造方法
出願人雪印メグミルク株式会社
代理人弁理士法人 もえぎ特許事務所
主分類A23L 5/00 20160101AFI20250725BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】本発明は、乳タンパク質に代えて植物性タンパク質を用いた発酵食品において、滑らかさ、風味が改善された発酵食品、及びその製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】植物性タンパク質を含む発酵食品の製造方法であって、植物性タンパク質とデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、を含むことを特徴とする発酵食品の製造方法を提供する。また、植物性タンパク質を2.0質量%以上8.0質量%以下、デキストリンを0.5質量%以上4.0質量%以下含む発酵食品を提供する。さらにまた、植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、を含むことを特徴とする発酵食品に滑らかさを付与する方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
植物性タンパク質を2.0質量%以上8.0質量%以下、デキストリンを0.5質量%以上4.0質量%以下含む発酵食品。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記植物性タンパク質がエンドウ豆タンパク質である請求項1に記載の発酵食品。
【請求項3】
前記デキストリンのデキストロース当量が9以上18以下である請求項1又は2に記載の発酵食品。
【請求項4】
さらに糖類を含む請求項1又は2に記載の発酵食品。
【請求項5】
前記発酵食品がヨーグルト様食品である請求項1又は2に記載の発酵食品。
【請求項6】
植物性タンパク質を含む発酵食品の製造方法であって、
植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、
原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、
を含むことを特徴とする前記発酵食品の製造方法。
【請求項7】
原料ミックスが植物性タンパク質を2.0質量%以上8.0質量%以下、デキストリンを0.5質量%以上4.0質量%以下含むことを含むことを特徴とする請求項6に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項8】
前記植物性タンパク質がエンドウ豆タンパク質である請求項6又は7に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項9】
前記デキストリンのデキストロース当量が9以上18以下である請求項6又は7に記載の発酵食品の製造方法。
【請求項10】
前記原料ミックスがさらに糖類を含む請求項6又は7に記載の発酵食品の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵食品及びその製造方法に関する。より詳しくは植物性タンパク質を含む発酵食品及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、世界の人口の増加に伴い、必要な食料が不足する危険性が指摘されており、特にタンパク質不足については深刻となることが予想されている。
一般的にタンパク質には、動物性タンパク質と植物性タンパク質が存在するが、近年、環境負荷を踏まえた観点から、植物性タンパクの需要が増加している。
特許文献1には、動物性タンパク質の少なくとも一部の代替物として植物性タンパク質が食品に使用できることが記載されているが、酸性化のステップを必要とする。
特許文献2には、乳タンパク質及び非動物性タンパク質を含む食品、並びにその製造方法が記載されており、ヨーグルト様食品が例示されているが、ヨーグルトの風味や物性は検討されていない。
即ち、乳製品に関して、これまで乳タンパク質に関わる風味・物性面の多くの知見が得られているが、乳製品代替としての植物性タンパク質に関する知見が少なく、風味や物性面の課題が多い。
乳タンパク質に代わって、植物性タンパク質を用いた発酵食品(ヨーグルト様食品)は、植物性タンパク質由来の豆臭や渋味が生じ、ヨーグルトの酸味、発酵臭と合わさり好ましくない風味を生じる。また、食感としてザラツキがあるため、嗜好性を持った発酵食品としての喫食が困難である。
ところで、デキストリンを含む様々な加工食品の製造方法が特許文献3に開示されている。本文献には、特定のデキストリンを0.05~10重量%の割合で配合することで乳脂肪分を低減した場合あるいは使用しない場合でも風味に影響がなく、乳脂肪特有の滑らかさや濃厚感を付与したヨーグルトを提供できることが記載されている。しかし、当該ヨーグルトはあくまでも脱脂粉乳などを発酵して得られる発酵乳であって、植物性タンパク質を含む発酵食品に関する検討はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2019―526254号公報
特表2017-512468号公報
特開2010-11781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発酵乳は、乳酸菌やビフィズス菌によって、乳に含まれる乳糖が資化されることにより、製造することができるが、植物性タンパク質には乳糖が含まれない。したがって、植物性タンパク質を用いて発酵食品を製造する場合、乳酸菌やビフィズス菌が資化できる糖が必要になる。
発酵原料に糖としてグラニュー糖を配合した場合、十分に発酵することが期待でき、更に、糖の添加量を増やすことで、植物性タンパク質の豆臭や渋味をマスキングすることができることが明らかになった。
しかし、グラニュー糖の添加量を増やすことで、前記のマスキングが出来てもグラニュー糖による甘味が付与されることから、甘味の低いプレーンタイプのヨーグルト(植物性タンパク質を含むプレーンタイプのヨーグルト様発酵食品)には、このような方法では十分とは言えない。
更に、グラニュー糖の添加量を増やした場合でも、植物タンパク質を用いた時に生じるざらつきなどの食感の悪さは改善されないこともわかった。
このように本発明は、乳タンパク質に代えて植物性タンパク質を用いた発酵食品において、食感及び風味が改善された発酵食品、及びその製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、植物性タンパク質を含む発酵食品の製造方法において、原料ミックスにデキストリンを配合して発酵することで、組織が滑らかで食感が良く、植物性タンパク質由来の好ましくない風味が改善された発酵食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
<1>
植物性タンパク質を2.0質量%以上8.0質量%以下、デキストリンを0.5質量%以上4.0質量%以下含む発酵食品。
<2>
前記植物性タンパク質がエンドウ豆タンパク質である<1>に記載の発酵食品。
<3>
前記デキストリンのデキストロース当量が9以上18以下である<1>又は<2>に記載の発酵食品。
<4>
さらに糖類を含む<1>又は<2>に記載の発酵食品。
<5>
前記発酵食品がヨーグルト様食品である<1>又は<2>に記載の発酵食品。
<6>
植物性タンパク質を含む発酵食品の製造方法であって、
植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、
原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、
を含むことを特徴とする前記発酵食品の製造方法。
<7>
原料ミックスが植物性タンパク質を2.0質量%以上8.0質量%以下、デキストリンを0.5質量%以上4.0質量%以下含むことを含むことを特徴とする<6>に記載の発酵食品の製造方法。
<8>
前記植物性タンパク質がエンドウ豆タンパク質である<6>又は<7>に記載の発酵食品の製造方法。
<9>
前記デキストリンのデキストロース当量が9以上18以下である<6>又は<7>に記載の発酵食品の製造方法。
<10>
前記原料ミックスがさらに糖類を含む<6>又は<7>に記載の発酵食品の製造方法。
<11>
前記発酵食品がヨーグルト様食品である<6>又は<7>に記載の発酵食品の製造方法。
<12>
植物性タンパク質を含む発酵食品のマスキング方法であって、
植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、
原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、
を含むことを特徴とする前記発酵食品のマスキング方法。
<13>
植物性タンパク質を含む発酵食品に滑らかさを付与する方法であって、
植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを準備する工程と、
原料ミックスに乳酸菌スターターを添加して発酵する工程と、
を含むことを特徴とする前記発酵食品に滑らかさを付与する方法。
<14>
<6>又は<7>に記載の製造方法によって製造された発酵食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、植物性タンパク質を含む発酵食品の製造方法において、原料ミックスに、デキストリンを配合して発酵することで、組織が滑らかで、植物性タンパク質由来の風味が改善された発酵食品を提供することができる。特に甘味の低いプレーンタイプのヨーグルト様発酵食品の有効な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発酵食品)
本発明の「発酵食品」とは、植物性タンパク質及びデキストリンを含む原料ミックスを、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせにより発酵させた食品である。本発明の発酵食品の一態様は、ヨーグルトなどの発酵乳に類似した外観および食感のヨーグルト(発酵乳)様食品である。
本発明の発酵食品を性状と製法により分類すると1)静置型、2)攪拌型、3)液状に分けられる。
1)静置型は、ハードタイプの発酵食品と称され、小売容器に充填して発酵させたプリン状の組織を有するものであり、例えば以下のように製造される。まず、植物性タンパク質、デキストリンを含み、任意成分である糖類、安定剤等の原材料を混合・溶解して調製した原料ミックスを均質化、殺菌、冷却した後、乳酸菌スターターを接種し、容器に充填して密封してから培養室や発酵トンネル内で発酵させ、適度な酸度になった時点で直ちに5℃に冷却して発酵を終了させ、最終製品とする。
2)攪拌型は、ソフトタイプとも称され、原料ミックスに乳酸菌スターターを添加し、タンクで発酵させ発酵ベースを作る。発酵後、カードを破砕して容器に充填して、必要に応じフルーツソース等を混合して最終製品とする。
3)液状は原料ミックスを攪拌型と同様の方法で発酵させ、カードを破砕後に均質化して液状にした発酵食品を必要に応じフルーツソース等を混合して最終製品とする。
【0008】
(原材料)
本発明の発酵食品は、原材料として植物性タンパク質及びデキストリンを含むことを必須とし、さらに乳酸菌の栄養源として資化性糖類を含むことが好ましい。また、嗜好性に合わせて風味付与剤や色素等を含むこともできる。
【0009】
(植物性タンパク質素材)
本発明の植物性タンパク質は、植物性タンパク質濃縮物、植物性タンパク質分離物又は植物性タンパク質加水分解物などの素材を利用することができる。
植物性タンパク質の素材としては、ササゲ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、エンドウ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、ダイズ属、ラッカセイ属等のマメ科由来のタンパク質素材や、ごま、麻の実、アーモンド、落花生、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、栗、クルミ、ココナッツ等の種実由来のタンパク質素材、藻類由来のタンパク質等、植物由来のタンパク質素材が挙げられる。このうちでも特に、青エンドウ豆、黄エンドウ豆、赤エンドウ豆、白エンドウ豆等、マメ科エンドウ属由来のタンパク質素材が好ましい。さらには、青エンドウ豆、黄エンドウ豆、赤エンドウ豆、白エンドウ豆等、マメ科エンドウ属由来のタンパク質濃縮物が好ましく用いられる。
エンドウ豆由来のタンパク質濃縮物としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、TRUPRO2000(IFF社製)、NUTRALYS S85F(ロケット社製)などが挙げられる。
本発明の発酵食品に含まれる植物性タンパク質の含量は、2.0質量%以上8.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以上6.0質量%以下がさらに好ましく、3.5質量%以上4.5質量%以下がさらにいっそう好ましい。各植物性タンパク質素材を利用した発酵食品の植物性タンパク質量は、素材中のタンパク質量(%)に前記発酵食品への配合割合を乗じることにより求めることができる。
なお、本発明の発酵食品はタンパク質として植物性タンパク質を一定量含むことが特徴であり、動物性タンパク質を全く含まないことを意味するものではない。具体的には動物性タンパク質の発酵食品中の含量は少ないことが好ましく、全く含まないことが本発明の効果を最大限享受できるため好ましい。
【0010】
(デキストリン)
本発明の発酵食品に用いられるデキストリンは、由来する澱粉の種類、デキストロース当量(以下、単にDE値ということがある)、および分子量などは特に限定されない。
デキストリンの原料となる澱粉としては、馬鈴薯、とうもろこし、甘藷、小麦 、米、サゴ、およびタピオカなどの各種澱粉を挙げることができる。
DE値とは、一般には澱粉の分解程度を示す指標であり、澱粉を加水分解したときに生成するデキストリンおよびぶどう糖や麦芽糖等の還元糖の割合を示すものである。DE値が大きい程、還元糖の含有量が多くデキストリンが少なく、逆にDE値が小さい程、還元糖の含有量が少なくデキストリンが多いことを意味する。
本発明に用いられるデキストリンのDE値は9以上18以下であることが好ましい。DE値が18より大きい場合、甘味が強くなり、特に、プレーンタイプの発酵食品に合わなくなるからである。本発明に用いられるデキストリンのDE値はさらに好ましくは11以上18以下である。このような性質を備えるデキストリンは、原料となる澱粉を加水分解することによって 調製することができる。また、市販品を用いることもできる。市販品としては、松谷化学工業株式会社製のマックス1000(DE値:9)、パインデックス#2(DE値:11)、TK-16(DE値:18)などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の発酵食品に含まれるデキストリンは、0.5質量%以上4.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上4.0質量%以下であることがさらに好ましく、2.0質量%以上3.0質量%以下がさらにいっそう好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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