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公開番号2025119905
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2024015019
出願日2024-02-02
発明の名称水処理システム及び水処理方法
出願人株式会社クラレ
代理人弁理士法人三協国際特許事務所
主分類C02F 1/52 20230101AFI20250807BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】凝集体のフラクタル次元を導出する際に用いられる予測式が後から検証可能である水処理システム及び水処理方法を提供する。
【解決手段】水処理システム1は、被処理水に凝集剤を添加して凝集体を形成する凝集槽20と、凝集槽20において形成された凝集体についての複数の画像を取得するカメラ20と、複数の画像から凝集体の凝集状態に関わる特徴量についての数値情報を導出する情報導出部31と、数値情報に含まれる特徴量を予測式に適用して、凝集体のフラクタル次元の値を導出するフラクタル次元予測部33と、導出されたフラクタル次元の値に基づいて被処理水への凝集剤の添加量を調整するポンプ13と、被処理水を膜濾過する膜濾過部50と、を備える。前記数値情報は、凝集体が写された複数の画像に基づいて凝集体を3次元的に捉えるための数値化された情報を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被処理水に凝集剤を添加することによって前記被処理水中に凝集体を形成する凝集体形成部と、
前記凝集体形成部において形成された前記凝集体についての複数の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記複数の画像から前記凝集体の凝集状態に関わる特徴量についての数値情報を導出する情報導出部と、
前記情報導出部によって導出された前記数値情報に含まれる前記特徴量を、記憶部に記憶された予測式に適用して、前記凝集体についてのフラクタル次元の値を導出するフラクタル次元予測部と、
前記フラクタル次元予測部によって導出された前記フラクタル次元の値に基づいて、前記被処理水への凝集剤の添加量を調整する添加量調整部と、
前記凝集体を含む前記被処理水を膜濾過する膜濾過部と、を備え、
前記数値情報は、前記凝集体が写された前記複数の画像に基づいて前記凝集体を3次元的に捉えるための数値化された情報を含む、水処理システム。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
前記画像取得部は、前記凝集体が含まれる前記被処理水を撮影するカメラを含み、
前記水処理システムは、前記カメラによる撮影範囲に設けられるとともに前記カメラから異なる距離に配置された少なくとも2つのマーカーをさらに備え、
前記数値情報は、前記被処理水の原画像又は前記原画像に対して加工を施した加工画像から得られる、凝集体の大きさ、凝集体を構成するフロック粒子の面積重心の位置、前記フロック粒子の個数、前記フロック粒子の色又は濃淡又はその偏差、及び、前記フロック粒子のエッジ長さ又はその色又はその濃淡又はその偏差のうち少なくとも一つの特徴量を示す情報を含み、
前記情報導出部は、前記カメラによって異なる焦点距離で前記凝集体を撮影したときの前記複数の画像から前記数値情報を導出し、
前記数値情報において、前記少なくとも一つの特徴量が、前記少なくとも2つのマーカーに対するピントの合い具合と関連付けられている、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記予測式は、前記フラクタル次元と前記特徴量との関係性が、データの重みづけを表す係数及び次数の少なくとも一方を用いて明記されている、請求項1又は2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記添加量調整部は、前記凝集体のフラクタル次元の値が、前記膜濾過部で膜濾過を行うときの可逆性ファウリング指標の値が0g/h以上、33g/h未満であり、かつ、前記膜濾過部で膜濾過を行うときの不可逆性ファウリング指標の値が0Pa/h以上、88Pa/h未満の領域に収まるフラクタル次元になるように、前記凝集剤の添加量を調整する、請求項1又は2に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記可逆性ファウリング指標は、前記膜濾過部による膜濾過中に、膜モジュールの膜表面に単位時間当たりに蓄積するSS成分の質量変化量を示す指標である、請求項4に記載の水処理システム。
【請求項6】
前記不可逆性ファウリング指標は、前記膜濾過部で繰り返し行われる物理洗浄後においてそれぞれ最も早いタイミングで検知される膜間差圧の、時間当たりの変化量を示す指標である、請求項4に記載の水処理システム。
【請求項7】
被処理水に凝集剤を添加することによって前記被処理水中に凝集体を形成する凝集体形成ステップと、
前記凝集体形成ステップにおいて形成された前記凝集体についての複数の画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得された前記複数の画像から前記凝集体の凝集状態に関わる特徴量についての数値情報を導出する情報導出ステップと、
前記情報導出ステップにおいて導出された前記数値情報に含まれる前記特徴量を、記憶部に記憶された予測式に適用して、前記凝集体のフラクタル次元の値を導出するフラクタル次元予測ステップと、
前記フラクタル次元予測ステップにおいて導出された前記フラクタル次元の値に基づいて、前記被処理水への凝集剤の添加量を調整する添加量調整ステップと、
前記凝集体を含む前記被処理水を膜濾過する膜濾過ステップと、を備え、
前記数値情報は、前記凝集体が写された前記複数の画像に基づいて前記凝集体を3次元的に捉えるための数値化された情報を含む、水処理方法。
【請求項8】
画像取得ステップにおいて、前記凝集体が含まれる前記被処理水を撮影するカメラと、前記カメラによる撮影範囲に設けられるとともに前記カメラから異なる距離に配置された少なくとも2つのマーカーと、を用いて、前記凝集体についての前記複数の画像を取得し、
前記数値情報は、前記被処理水の原画像又は前記原画像に対して加工を施した加工画像から得られる、凝集体の大きさ、凝集体を構成するフロック粒子の面積重心の位置、前記フロック粒子の個数、前記フロック粒子の色又は濃淡又はその偏差、及び、前記フロック粒子のエッジ長さ又はその色又はその濃淡又はその偏差のうち少なくとも一つの特徴量を示す情報を含み、
前記情報導出ステップにおいて、前記カメラによって異なる焦点距離で撮影されたときの前記複数の画像から前記数値情報を導出し、
前記数値情報において、前記少なくとも一つの特徴量が前記少なくとも2つのマーカーに対するピントの合い具合と関連付けられている、請求項7に記載の水処理方法。
【請求項9】
前記予測式は、前記フラクタル次元と前記特徴量との関係性が、データの重みづけを表す係数及び次数の少なくとも一方を用いて明記されている、請求項7又は8に記載の水処理方法。
【請求項10】
前記添加量調整ステップにおいて、前記凝集体のフラクタル次元の値が、前記膜濾過ステップにおいて膜濾過を行うときの可逆性ファウリング指標の値が0g/h以上、33g/h未満であり、かつ、前記膜濾過ステップにおいて膜濾過を行うときの不可逆性ファウリング指標の値が0Pa/h以上、88Pa/h未満の領域に収まるフラクタル次元の値になるように、前記凝集剤の添加量を調整する、請求項7又は8に記載の水処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム及び水処理方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
膜濾過による水処理技術は、安全性が高く且つ高品質であり、さらにコンパクトで低コストなプロセスにより水中の不純物を分離可能である等の理由から、様々な分野で利用されている。現状、膜濾過の技術課題としては、以下の点が挙げられる。
【0003】
第一に、水質変動に対応可能であることが必要である。例えば、河川水の濾過において、気候変動を背景に集中豪雨等により河川の水質が急激に変動する場合がある。このような場合にも、河川水を安定に膜濾過するための技術が求められる。
【0004】
第二に、高難度水にも対応可能であることが求められる。膜濾過は、高品質な処理水を提供可能な濾過精度を有する一方、多量の有機物や微細粒子を含む水を濾過する際に膜の目詰まりが発生する場合がある。したがって、このような高難度水の処理に膜濾過を適用するのが困難という問題がある。
【0005】
第三に、流束(フラックス)が高い場合の濾過にも対応可能であることが求められる。フラックス(単位面積、単位時間当たりの透水量、L/m

/hr)を高めることにより、装置をよりコンパクトにして低コスト化することができる。
【0006】
これらの課題を解決する方法として、凝集剤の添加と膜濾過を組み合わせた凝集膜濾過法が考えられる。この方法によれば、上記課題に対して以下の解決策を提供することができる。
【0007】
第一の課題に対し、水質変動に応じて被処理水への凝集剤の添加量を調整することにより、水質変動に依らず安定した膜濾過が可能になる可能性がある。第二の課題に対し、被処理水が多量の有機物や微細粒子を含む場合でも、凝集剤の添加によってこれらをフロック化した状態で濾過することにより、膜の目詰まりが抑制される。第三の課題に対し、凝集フロックの特性を適宜制御することにより、高フラックスの濾過条件を達成可能となる可能性がある。
【0008】
従来の凝集膜濾過法では、凝集剤の添加によってフロックを形成した後、当該フロックを沈殿槽で沈殿させ、その後上澄み水を濾過するのが主流であった。この場合、沈殿槽にて十分な水面積負荷(滞留時間)を確保するために比較的大きな水槽が必要になる。このため、設置スペースの問題が生じる。また凝集剤の添加量が多くなり易く、コスト高になりがちという問題もある。従来の凝集膜濾過法は、凝集後に沈殿槽を経由し、沈殿させた後に膜濾過することを前提としているため、凝集フロックの沈降性に応じた制御がなされる。凝集フロックの沈降性に関する制御技術として、例えば、特許文献1には、沈降性の良いフロックを形成可能な凝集沈殿制御装置及び制御方法が記載されている。また特許文献2には、沈降性の良いフロックを形成するためにフロックの状態を評価する方法が記載されている。
【0009】
一方で、凝集膜濾過法において、従来の凝集沈殿法と異なり、当該フロックを沈殿槽で沈殿させることなく、凝集剤を注入した後に、注入した凝集剤ごと、直接膜濾過する凝集直接膜濾過法がある。この凝集直接膜濾過法では、沈殿槽のスペースが必要なく、また、凝集剤の添加量が少なくなるため、全体的な水処理設備のイニシャルコストやランニングコストが削減できるというメリットがある。しかし、凝集直接膜濾過法において、膜濾過の安定運転が可能な凝集直接膜濾過向けの凝集剤注入量制御装置や適正な注入量は十分な検討がされていないのが現状である。例えば、特許文献3には、膜濾過原水濁度と金属イオン濃度の比率が一定以上になるように注入する技術が提案されている。また、特許文献4には、凝集体のフラクタル次元に基づき、凝集剤の注入量を制御することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特許第6730467号公報
特許第6262092号公報
特開2020-131055号公報
特開2022-64136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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