TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025134967
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2025108572,2021571266
出願日2025-06-26,2021-01-15
発明の名称認知症の予防又は治療剤
出願人国立大学法人大阪大学,田辺三菱製薬株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類A61K 39/395 20060101AFI20250909BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】糖尿病性認知症および血管性認知症に対する有効な薬剤を提供すること。
【解決手段】RGMa阻害物質を含む、糖尿病性認知症および血管性認知症から選ばれる認知症の予防又は治療剤を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
RGMa阻害物質を含む、糖尿病性認知症および血管性認知症から選ばれる認知症の予防又は治療剤。
続きを表示(約 3,000 文字)【請求項2】
RGMa阻害物質を含む、糖尿病性認知症の予防又は治療剤。
【請求項3】
RGMa阻害物質を含む、血管性認知症の予防又は治療剤。
【請求項4】
RGMa阻害物質が抗RGMa中和抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の予防又は治療剤。
【請求項5】
抗RGMa中和抗体がヒト化抗体である、請求項4に記載の予防又は治療剤。
【請求項6】
抗RGMa中和抗体が配列番号16、配列番号36、配列番号37、配列番号38及び配列番号39から選択されるアミノ酸配列を認識する抗体である、請求項4又は5に記載の予防又は治療剤。
【請求項7】
抗RGMa中和抗体が、下記(a)~(l):
(a)配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号6に記載のアミノ酸配列
を含むLCDR2及び配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含
むHCDR2及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(b)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号15に記載のアミノ
酸配列を含むHCDR2及びSFGをアミノ酸配列に含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RG
Ma中和抗体、
(c)配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号18に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号21に記載のアミノ
酸配列を含むHCDR2及び配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(d)配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号24に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号26に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号27に記載のアミノ
酸配列を含むHCDR2及び配列番号28に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(e)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ
酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(f)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ
酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(g)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸
配列を含むLCDR2及び配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(h)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むLCDR2及び配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(i)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むLCDR2及び配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(j)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むLCDR2及び配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
(k)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むLCDR2及び配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、及び
(l)配列番号29に記載のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号30に記載のアミノ酸配列を含むLCDR2及び配列番号45に記載のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む軽鎖可変領
域、並びに配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むHCDR2及び配列番号34に記載のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む重鎖可変領域を含む抗RGMa中和抗体、
から選択される抗体である、請求項4~6のいずれか一項に記載の予防又は治療剤。
【請求項8】
治療を要する哺乳動物に対して有効量のRGMa阻害物質を投与することを含む、糖尿病性認知症および血管性認知症から選ばれる認知症の予防又は治療方法。
【請求項9】
RGMa阻害物質が抗RGMa中和抗体である、請求項8に記載の予防又は治療方法。
【請求項10】
RGMa阻害物質の、糖尿病性認知症および血管性認知症から選ばれる認知症の予防又は治療剤の製造のための使用。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、RGMa阻害物質を含む、糖尿病性認知症および血管性認知症の予防又は治療剤に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
高齢化に伴って糖尿病および認知症患者が年々増加し、糖尿病を発症している場合にはアルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが増大し、両疾患の間には密接な病態学的関連性があることが明らかとなった(非特許文献1, 非特許文献2)。また、認知症を合併していない糖尿病患者では、非糖尿病患者と比較して認知機能の低下が認められる報告は多く、そのような糖尿病患者の認知機能障害として、注意-集中力の低下、視覚性記憶又は言語性記憶の低下やミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination; MMSE)の低下等が報告されている(非特許文献3)。
【0003】
近年、糖尿病を伴う認知症の分類として、アルツハイマー病や血管性認知症以外に、糖代謝異常が認知症の発症に深く関与する糖尿病性認知症という臨床病型が提唱されている(非特許文献4, 非特許文献5)。糖尿病性認知症は、アルツハイマー病の特徴的な脳画像所見(海馬の萎縮等)を呈することは少ないが、微小梗塞病変等の血管性病変の合併例がより多くみられ(非特許文献6)、臨床的にはやや高齢であり、糖尿病のコントロールが不良で、記憶障害よりも注意・集中力低下や遂行機能の障害が目立ち、進行はやや緩やかという特徴を有する。
【0004】
一方、血管性認知症は、主に脳血管障害に起因する認知症であり、特に、Binswanger病や多発ラクナ梗塞等の脳小血管病を主な原因とし、(1)認知症があり、(2)脳血管障害があり、(3)両者に因果関係があるものと定義されている。
臨床診断基準であるNINDS-AIREN(National Institute of Neurological Disorders and Stroke-Association International pour la Recherche et l’Enseignement en Neurosciences)による病型分類として、(1)多発梗塞性、(2)単一病変性、(3)小血管病変性、(4)低灌流性、(5)脳出血性の5つを挙げている。しかしながら、これらの各病型は病因的、臨床的にも不均一であるという問題点があるため、血管性認知症は様々な病態を含むheterogeneousな疾患概念と考えられている(非特許文献7, 非特許文献8
)。
また、血管性認知症の危険因子として糖尿病が含まれることは広く知られている(非特許文献8,非特許文献9)
【0005】
RGM(repulsive guidance molecule)は、当初、視覚系の軸索誘導分子として同定
された膜タンパク質である(非特許文献10)。RGMファミリーには、RGMa、RGMb及びRGMcと呼ばれる3種類のメンバーが含まれ(非特許文献11)、少なくともRGMaとRGMbは同じシグナル伝達機構で働くことが知られている(非特許文献12)。RGMcは鉄代謝において重要な役割を発揮する。
その後の研究により、RGMは、ゼノパス及びニワトリ胚における軸索誘導及びラミナ形成、並びに、マウス胚における頭部神経管の閉鎖の制御等の機能を有することが明らかとなっている(非特許文献13)。特許文献1には抗RGM中和抗体を有効成分として含有する軸索再生促進剤が開示されている。
【0006】
発生段階の機能に加えて、成人ヒト及びラットの中枢神経系損傷後に再発現すること、ラットにおいてRGMa阻害が脊髄損傷後の軸索成長を亢進し、機能回復を促進することから(非特許文献14)、RGMaは中枢神経系損傷後の軸索再生阻害物質であると考え
られている。RGMaを中和する具体的な抗体としては、例えば、特許文献2(例えば、5F9、8D1)、特許文献3(例えば、AE12-1、AE12-1Y)および特許文献4(例えば、r116A3、r70E4、r116A3C、rH116A3)に記載されている。
また、特許文献2には、抗RGMa抗体の認知症の治療用途が開示されている。
このように中枢神経系損傷ではRGMaの役割が明らかにされているが、特に、糖尿病性認知症および血管性認知症の治療におけるRGMaの関与は同定されておらず、そのような治療薬は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開 WO2005/087268号
国際公開 WO2009/106356号
国際公開 WO2013/112922号
国際公開 WO2016/175236号
【非特許文献】
【0008】
Neurology, 45: 1161, 1995
Am. J. Epidemiol. 1455: 301, 1997
Diabetes Care, 20: 438, 1997
Dement Geriatr Cogn Disord, 35: 280-290, 2013
J. Neurol. Sci. 349: 45-51, 2015
Nat Rev Neurol 5: 305-306, 2009
Neurology, 43: 250-260, 1993
認知症疾患治療ガイドライン2017 第14章 血管性認知症
Neuron 83: 844-866, 2013
Neuron 5, 735-743 (1990)
Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 361: 1513‐29, 2006
Biochem. Biophys. Res. Commun. 382, 795-800 (2009)
Curr. Opin. Neurobiol.17, 29-34 (2007)
J. Cell Biol. 173, 47-58 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、糖尿病性認知症および血管性認知症に対する有効な薬剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、RGMa阻害物質、とりわけ、抗RGMa中和抗体が、糖尿病性認知症および血管性認知症に対する改善効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

国立大学法人大阪大学
モータ装置
9日前
国立大学法人大阪大学
細胞シート
3か月前
国立大学法人大阪大学
ロボットハンド
1か月前
国立大学法人大阪大学
内視鏡システム
4か月前
国立大学法人大阪大学
眼瞼痙攣緩和具
2か月前
国立大学法人大阪大学
半月板の治療薬
1か月前
国立大学法人大阪大学
漏洩情報抑制回路
2か月前
国立大学法人大阪大学
試料中の標的物質の検出
1か月前
国立大学法人大阪大学
化学反応方法及び反応装置
24日前
トヨタ自動車株式会社
電池
3か月前
国立大学法人大阪大学
電気泳動装置および電気泳動法
1か月前
大和ハウス工業株式会社
反応装置
12日前
大和ハウス工業株式会社
反応装置
12日前
国立大学法人大阪大学
化合物の製造方法、及び金属多核錯体
1か月前
川崎重工業株式会社
ゼオライト触媒
18日前
国立大学法人大阪大学
タンパク質間相互作用を可視化する方法
1か月前
株式会社神戸製鋼所
ねじり疲労評価方法
4か月前
国立大学法人大阪大学
溶融試料浮遊装置および溶融試料浮遊方法
10日前
国立大学法人大阪大学
ナノダイヤモンドの製造方法および製造装置
3か月前
株式会社トクヤマ
ケトン誘導体の製造方法
2か月前
株式会社トクヤマ
ケトン誘導体の製造方法
2日前
セイコーグループ株式会社
生体電位計測装置
1か月前
セイコーグループ株式会社
生体電位計測装置
1か月前
日東紡績株式会社
二酸化炭素の吸収又は脱着剤
2か月前
株式会社アイシン
フッ化物イオン電池用電解液
9日前
株式会社塚田メディカル・リサーチ
カテーテル
4か月前
国立大学法人大阪大学
セミクラスレートハイドレートおよびその製造方法
4か月前
国立大学法人大阪大学
トラッキング装置、トラッキング方法及びプログラム
3か月前
日東紡績株式会社
電池用活物質、電池用電極及び電池
11日前
三菱重工業株式会社
劣化診断方法および劣化診断装置
4か月前
ウシオ電機株式会社
半導体レーザ素子および発光装置
20日前
エヌ・イーケムキャット株式会社
還元的アミノ化触媒
2か月前
ウシオ電機株式会社
半導体レーザ素子および発光装置
16日前
日本電気株式会社
推定装置、推定方法及びプログラム
10日前
大成建設株式会社
汚泥処理方法および汚泥処理システム
1か月前
NTT株式会社
量子鍵配送システム及び量子鍵配送方法
11日前
続きを見る