TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025138756
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-25
出願番号2025107304,2024059913
出願日2025-06-25,2015-01-28
発明の名称抗HER2抗体-薬物コンジュゲート
出願人第一三共株式会社
代理人個人,個人
主分類C07K 16/28 20060101AFI20250917BHJP(有機化学)
要約【課題】抗腫瘍効果と安全性面に優れる、優れた治療効果を有する抗腫瘍薬を提供する。
【解決手段】次式で示される抗腫瘍性化合物と抗HER2抗体とを、次式:
-L1-L2-LP-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-
で示される構造のリンカーを介して結合させたことを特徴とする抗体-薬物コンジュゲート(抗HER2抗体はL1の末端において結合し、抗腫瘍性化合物は、1位のアミノ基の窒素原子を結合部位として、-(CH2)n2-C(=O)-部分のカルボニル基に結合する)を提供する。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025138756000079.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">50</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">60</com:WidthMeasure> </com:Image>
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
本明細書に記載される発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、抗HER2抗体と抗腫瘍性薬物とをリンカー構造部分を介して結合させた、抗腫瘍薬として有用な抗体-薬物コンジュゲートに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
癌細胞表面に発現し、かつ細胞に内在化できる抗原に結合する抗体に、細胞毒性を有する薬物を結合させた抗体-薬物コンジュゲート(Antibody-Drug Conjugate;ADC)は、癌細胞に選択的に薬物を送達できることによって、癌細胞内に薬物を蓄積させ、癌細胞を死滅させることが期待できる(非特許文献1~3参照)。ADCとして例えば、抗CD33抗体に
カリチアマイシンを結合させたMylotarg(登録商標;ゲムツズマブオゾガマイシン)が急性骨髄性白血病の治療薬として認可されている。また、抗CD30抗体にオーリスタチンEを結合させたAdcetris(登録商標;ブレンツキシマブベドティン)がホジキンリンパ腫と未分化大細胞リンパ腫の治療薬として最近認可された(非特許文献4参照)。これまでに認可されたADCに含有される薬物は、DNA又はチューブリンを標的としている。
【0003】
抗腫瘍性の低分子化合物としてトポイソメラーゼIを阻害して抗腫瘍作用を発現する化
合物であるカンプトテシン誘導体が知られている。その中で下式
【0004】
TIFF
2025138756000001.tif
51
63
【0005】
で示される抗腫瘍性化合物(エキサテカン、化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)は、水溶性のカンプトテシン誘導体である(特許文献1、2)。この化合物は、現在臨床で用いられているイリノテカンとは異なり、抗腫瘍効果の発現には酵素による活性化を必要としない。また、イリノテカンの薬効本体であるSN-38や、同じく臨床で用いられているトポテカンよりも強いトポイソメ
ラーゼI阻害活性が観察され、in vitroで種々の癌細胞に対して、より強い殺細胞活性が
認められた。特にP-glycoproteinの発現によってSN-38等に耐性を示す癌細胞に対しても
効果が認められた。また、マウスのヒト腫瘍皮下移植モデルでも強い抗腫瘍効果が認められたが、臨床試験が行われたものの上市には至っていない(非特許文献5~10参照)。エキサテカンがADCとして有効に作用するかについては明らかではなかった。
【0006】
DE-310は、生分解性のカルボキシメチルデキストランポリアルコールポリマーにエキサテカンを、GGFGペプチドスペーサーを介して結合させた複合体である(特許文献3)。エキサテカンを高分子プロドラッグ化することによって、高い血中滞留性を保持させ、さらに腫瘍新生血管の透過性の亢進と腫瘍組織滞留性を利用して、受動的に腫瘍部位への指向性を高めたものである。DE-310は、酵素によるペプチドスペーサーの切断によって、活性
本体であるエキサテカン、及びグリシンがアミノ基に結合しているエキサテカンが持続的に遊離され、その結果薬物動態が改善される。非臨床試験における種々の腫瘍の評価モデルにおいて、DE-310は、ここに含まれるエキサテカンの総量がエキサテカン単剤の投与時よりも減少しているのにも拘らず、単剤の投与時よりもより高い有効性を示した。DE-310に関しては臨床試験が実施されて有効例も確認され、活性本体が正常組織よりも腫瘍に集積することが確認されたとの報告がある。その一方、腫瘍へのDE-310及び活性本体の集積は正常組織への集積と大差なく、ヒトでは受動的なターゲティングは見られなかったとの報告もある(非特許文献11~14参照)。結果としてDE-310も上市には至らず、エキサテカンがこの様なターゲティングを指向した薬物として有効に機能するかについては明らかではなかった。
【0007】
DE-310の関連化合物として、-NH-(CH
2
)
4
-C(=O)-で示される構造部分を-GGFG-スペーサ
ーとエキサテカンの間に挿入し、-GGFG-NH-(CH
2
)
4
-C(=O)-をスペーサー構造とする複合体も知られているが(特許文献4)、同複合体の抗腫瘍効果については全く知られていない。
【0008】
HER2は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2型関連癌遺伝子として同定された代表的な増殖因子受容体型の癌遺伝子産物のひとつであり、分子量185kDaのチロシンキナーゼドメインを持つ膜貫通型受容体蛋白である(非特許文献15)。HER2のDNA配列及びアミノ酸配列は公的データベース上に公開されており、例えば、M11730(Genbank)、NP_004439.2(NCBI)等のアクセッション番号により参照可能である。
HER2(neu,ErbB-2)はEGFR(epidermal growth factorreceptor:
上皮増殖因子受容体)ファミリーのひとつであり、ホモダイマー或は他のEGFR受容体であるHER1(EGFR,ErbB-1)、HER3(ErbB-3)、HER4(ErbB-4)とのヘテロダイマー形成(非特許文献16-18)によって細胞内チロシン残基が自己リン酸化されて活性化することにより、正常細胞及び癌細胞において細胞の増殖・分化・生存に重要な役割を果たしていることが知られている(非特許文献19、20)。HER2は乳癌、胃癌、卵巣癌等様々な癌種において過剰発現しており(非特許文献21-26)、乳癌においては負の予後因子であることが報告されている(非特許文献27、28)。
【0009】
トラスツズマブは、組み換えヒト化抗HER2モノクローナル抗体(huMAb4D5-8、rhuMAb HER2、ハーセプチン(登録商標))と称される、マウス抗HER2抗体4D5(非特許文献29、特許文献5)のヒト化抗体(特許文献6)である。トラスツズマブは、HER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合し、抗体依存性細胞障害(ADCC)誘導やHER2からのシグナル伝達阻害を介して抗癌効果を発揮する(非特許文献30、31)。トラスツズマブはHER2を過剰発現した腫瘍に対して高い効果を示すことから(非特許文献32)、HER2を過剰発現している転移性乳癌患者での治療薬として、米国で1999年、我が国において2001年に上市された。
乳癌におけるトラスツズマブの治療効果は十分に証明されている一方(非特許文献33)、トラスツズマブに応答するのは、広範囲の従来の抗癌治療を受けたHER2を過剰発
現した乳癌患者の約15%と言われ、この集団の約85%の患者はトラスツズマブ処置に
対して応答しないか、応答が貧弱であるのみである。
【0010】
したがって、トラスツズマブに対して応答しないか、応答が貧弱であるHER2を過剰発現する腫瘍又はHER2発現に関連する障害を患っている患者のために、HER2発現に関連する疾病を標的とする治療薬の必要性が認識されており、トラスツズマブにリンカー構造を介して抗腫瘍性薬物を結合したT-DM1(トラスツズマブエムタンシン、カドサイラ(登録商標);非特許文献34)やHER2の細胞外ドメインIIを標的とし、ヘ
テロダイマー形成を阻害するよう設計されたペルツズマブ(パージェタ(登録商標);非特許文献35、特許文献7)が開発された。しかしながら、応答性や活性の強さ、並びに適応範囲は未だ十分ではなく、HER2を標的とする未充足ニーズが存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

第一三共株式会社
抗体薬物複合体の用量
2日前
第一三共株式会社
KLK5阻害剤及びその製造方法
1か月前
第一三共株式会社
3-フェニルプロピルアミン誘導体
1か月前
第一三共株式会社
抗HER2抗体-薬物コンジュゲート
8日前
第一三共株式会社
3,6-ジ置換イミダゾ[1,2-b]ピリダジン誘導体の製造方法
1か月前
バイオメッド バレー ディスカバリーズ,インコーポレイティド
異型BRAF変異を有するがんを処置するための組成物および方法
1か月前
東ソー株式会社
タンパク質の発現方法
14日前
東ソー株式会社
炭素-窒素結合形成方法
2か月前
株式会社トクヤマ
四塩化炭素の製造方法
2か月前
株式会社トクヤマ
シロキサン類の回収方法
2か月前
株式会社半導体エネルギー研究所
有機化合物
1か月前
株式会社トクヤマ
ビオチン誘導体の製造方法
2か月前
株式会社トクヤマ
ベンザゼピン化合物の製造方法
1か月前
株式会社コスモス
液状炭化水素の増産方法
1か月前
株式会社コスモス
液状炭化水素の増産方法
1か月前
株式会社トクヤマ
チオラクトン誘導体の製造方法
4日前
株式会社トクヤマ
ホルムアミド化合物の製造方法
1か月前
東ソー株式会社
イソシアネート化合物の製造方法
1か月前
信越化学工業株式会社
新規化合物
2か月前
artience株式会社
四塩基酸無水物の製造方法
3か月前
日産化学株式会社
ピラゾール化合物及び有害生物防除剤
3か月前
日産化学株式会社
ピラゾール化合物及び有害生物防除剤
2か月前
株式会社トクヤマ
サフィナミド若しくはその塩の製造方法
3か月前
大阪瓦斯株式会社
メタン製造システム
今日
国立大学法人東京農工大学
深共晶溶媒
1か月前
三菱ケミカル株式会社
アルコールの製造方法
22日前
本田技研工業株式会社
CO2変換方法
今日
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
3か月前
JNC株式会社
有機ケイ素化合物およびこれを用いた重合体
1か月前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の製造方法
14日前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
4日前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液
3か月前
旭化成株式会社
トリオキサンの製造方法
3か月前
JNC株式会社
有機ケイ素化合物およびこれを用いた重合体
1か月前
株式会社トクヤマ
アシル化ベンゼン誘導体の酸塩の製造方法
1か月前
個人
IL-17産生誘導能を有する化合物及びその用途
1日前
続きを見る