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公開番号2025154616
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024057719
出願日2024-03-29
発明の名称オピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2の結合反応を評価するための細胞及び方法
出願人東レ株式会社
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 5/10 20060101AFI20251002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】オピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2の結合反応の評価系の提供。
【解決手段】オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、β-アレスチン2を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、及びGタンパク質共役受容体キナーゼ2をコードする遺伝子が導入されており、前記オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質又は前記β-アレスチン2を含む融合タンパク質のいずれか一方である融合タンパク質が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるルシフェラーゼを含み、もう一方の融合タンパク質が配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質タグを含む、形質転換動物培養細胞;並びにそれを用いた、被験物質によるオピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2活性化レベルを評価する方法、及びバイアス性を有するオピオイドμ受容体作動薬のスクリーニング方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、β-アレスチン2を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、及びGタンパク質共役受容体キナーゼ2をコードする遺伝子が導入されており、
前記オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質又は前記β-アレスチン2を含む融合タンパク質のいずれか一方である融合タンパク質が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるルシフェラーゼを含み、もう一方の融合タンパク質が配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質タグを含む、形質転換動物培養細胞。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質をコードする遺伝子は、オピオイドμ受容体のC末端側に前記ルシフェラーゼが融合した融合タンパク質をコードしており、
前記β-アレスチン2を含む融合タンパク質をコードする遺伝子は、β-アレスチン2のC末端側に前記タンパク質タグが融合した融合タンパク質をコードしている、請求項1に記載の形質転換動物培養細胞。
【請求項3】
オピオイドμ受容体作動薬の非存在下で、前記形質転換動物培養細胞が、
a)前記ルシフェラーゼに特異的な発光基質の存在下、前記ルシフェラーゼと前記発光基質との反応により生じる発光を、前記発光基質の非存在下と比較して35倍以上の発光強度で示し、かつ、
b)前記タンパク質タグに特異的な蛍光標識リガンドの添加後の励起光照射により生じる前記蛍光標識リガンドに由来する蛍光を、前記蛍光標識リガンドの非添加の場合と比較して8倍以上の蛍光強度で示す、
請求項1に記載の形質転換動物培養細胞。
【請求項4】
HEK293細胞の形質転換体である、請求項1に記載の形質転換動物培養細胞。
【請求項5】
受領番号NITE AP-04097を有する細胞株HEK-MGA #7である、請求項1に記載の形質転換動物培養細胞。
【請求項6】
オピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2結合反応の評価に使用可能な形質転換動物培養細胞を作製する方法であって、
i)動物培養細胞に、オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、β-アレスチン2を含む融合タンパク質をコードする遺伝子、及びGタンパク質共役受容体キナーゼ2をコードする遺伝子を導入して形質転換細胞を取得するステップであって、オピオイドμ受容体を含む融合タンパク質又はβ-アレスチン2を含む融合タンパク質のいずれか一方である融合タンパク質が、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるルシフェラーゼを含み、もう一方の融合タンパク質が配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質タグを含む、ステップと、
ii)オピオイドμ受容体作動薬の非存在下で、ステップi)で取得した形質転換細胞に、前記タンパク質タグに特異的な蛍光標識リガンドを添加し、励起光を照射して前記蛍光標識リガンドに由来する蛍光を測定するステップと、
iii)オピオイドμ受容体作動薬の非存在下で、ステップi)で取得した形質転換細胞に、前記ルシフェラーゼに特異的な発光基質を添加し、発光を測定するステップと、
iv)ステップi)で取得した形質転換細胞から、
a)ステップii)において、励起光の照射により生じる蛍光を、前記蛍光標識リガンドの非添加の場合と比較して8倍以上の蛍光強度で示し、かつ、
b)ステップiii)において、前記ルシフェラーゼと前記発光基質との反応により生じる発光を、前記発光基質の非存在下と比較して35倍以上の発光強度で示す
細胞を、選抜するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項記載の形質転換動物培養細胞に被験物質を接触させるステップと、
前記被験物質を接触させた前記形質転換動物培養細胞において、前記タンパク質タグに特異的な蛍光標識リガンド及び前記ルシフェラーゼに特異的な発光基質の存在下で生じる生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)の測定により、オピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2結合反応の誘導レベルを測定するステップと、
測定されたオピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2結合反応の誘導レベルを、オピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2活性化レベルとして用いて、オピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2の完全活性化レベルと比較するステップと、
を含む、被験物質によるオピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2活性化レベルを評価する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法を用いて、被験物質によるオピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2活性化レベルを測定するステップと、
測定された前記β-アレスチン2活性化レベルを、オピオイドμ受容体を介したGタンパク質活性化レベル、及び/又はオピオイドμ受容体を介したβ-アレスチン2の完全活性化レベルと比較して、オピオイドμ受容体を介した細胞内シグナル伝達におけるバイアス性を示す被験物質を選択するステップと、
を含む、バイアス性を有するオピオイドμ受容体作動薬のスクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイドμ受容体に対するβ-アレスチン2の結合反応を評価するための細胞及び方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
痛みは、「不快な感覚体験及び情動体験」と定義され、特に慢性疼痛は患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を低下させるため取り除くべき症状である。疼痛患者の多くの割合を占める癌性疼痛や術後疼痛では、治療薬として一般的にオピオイド鎮痛薬が使用されている。
【0003】
主なオピオイド受容体としてμ、κ、δの3種類が知られている。治療薬として一般的に使用されているオピオイド鎮痛薬はオピオイドμ受容体に作用することで強い鎮痛作用を示す一方、乱用につながる薬物依存や致死につながる呼吸抑制などの重篤な副作用を生じる場合があることが知られている。そのため、薬物依存や呼吸抑制に代表される副作用が低減された鎮痛薬の開発が求められている。
【0004】
オピオイド受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)である。オピオイド受容体作動薬と結合したオピオイド受容体は、Gタンパク質と結合して鎮痛作用をもたらし、一方で、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)の活性化を介してGタンパク質との脱共役とβ-アレスチンとの安定的な結合を生じ、それが副作用をもたらすことが知られている。オピオイド受容体とGタンパク質との結合を介したシグナル伝達経路はGタンパク質経路、オピオイド受容体とβ-アレスチンとの結合を介したシグナル伝達経路はβ-アレスチン経路と呼ばれる。
【0005】
オピオイドμ受容体作動薬特有の副作用を低減する方法の一つに、バイアス性化合物の使用が挙げられる。オピオイド受容体作動薬に関するバイアス性とは、オピオイド受容体作動薬がオピオイド受容体に結合することによって活性化される細胞内シグナル伝達が、Gタンパク質経路又はβ-アレスチン経路の一方に偏る性質をいう。オピオイドμ受容体においてはGタンパク質経路が鎮痛作用に関与していること、β-アレスチン経路が呼吸抑制や便秘などの副作用に関与していることが報告されている(非特許文献1及び2)。β-アレスチン経路活性化能が弱く(すなわち、β-アレスチン活性化レベルが低く)、Gタンパク質経路を優先的に活性化する(すなわち、Gタンパク質活性化レベルが高い)、Gタンパク質経路へのバイアス性を有するオピオイドμ受容体作動薬は、薬効と副作用の分離に優れた安全性の高い鎮痛薬となり得る。
【0006】
GPCRに対するβ-アレスチン結合反応の評価系として、PathHunter
(R)
β-arrestin GPCR Assay(DiscoverX社;以下、「PathHunter Assay」と称する。特許文献1)やTango
TM
GPCR Assay(Invitrogen社;以下、「Tango Assay」と称する。特許文献2)が細胞ベースのアッセイキットとして販売されており、広く用いられている。
【0007】
しかしながら、これらのアッセイキットを使用した方法では、GPCRの活性化から数分ほどの短時間で起こるβ-アレスチン結合反応(非特許文献3)を高感度に捉えることは困難である。PathHunter Assayを使用する場合、互いに結合親和性を有する2種類のβ-ガラクトシダーゼフラグメントが、それぞれGPCR及びβ-アレスチンに一方ずつ融合され、GPCRにβ-アレスチンが結合することで、β-ガラクトシダーゼが再構成されて活性型酵素となる。このβ-ガラクトシダーゼの酵素再構成には時間を要するため、被験物質の添加から90分間以上反応させることが推奨されている。Tango Assayを使用する場合、プロテアーゼ切断部位を介して転写因子が融合されたGPCRとプロテアーゼが融合されたβ-アレスチンをそれぞれ発現する細胞において、GPCRにβ-アレスチンが結合することで転写因子が切断され、レポーター遺伝子が活性化される。この転写因子によるレポーター遺伝子の発現誘導に時間を要するため、Tango Assayでは被験物質の添加から5時間反応させることが推奨されている。そのため、オピオイド受容体作動薬により誘導されるオピオイド受容体へのβ-アレスチン結合反応を即時に評価するためには、これらのアッセイキットは適しておらず、GPCRの活性化から数分ほどでβ-アレスチン結合反応を検出できる方法が望ましい。
【0008】
GPCRに対するβ-アレスチン結合反応を評価する別の方法として、生体発光共鳴エネルギー転移(BRET)の検出に基づく方法がある。この方法では、GPCR及びβ-アレスチンの一方をBRETのドナー、他方をアクセプターで標識し、GPCRとβ-アレスチンの結合によりドナーとアクセプターの間で生じるBRETを検出することにより、GPCRに対するβ-アレスチンの結合反応の評価を行う。BRETを使用した方法として、具体的には、無細胞組成物(細胞の膜を破壊して得られた膜画分)を用い、ウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla Luciferase)と緑色蛍光タンパク質2(GFP2)の間のBRETを検出する方法(特許文献3)、標的タンパク質を一過性に発現させた細胞を用い、NanoLuciferaseと黄色蛍光タンパク質(YFP)の間のBRETを検出する方法(非特許文献4)等が知られている。非特許文献4では、BRETアッセイにおいて、細胞にGRK2を過剰発現させることにより、β-アレスチン結合の検出感度が上昇することも報告されている。
【0009】
しかし、例えば非特許文献4の方法では、エネルギー転移のドナーとしてのNanoLuc(登録商標)ルシフェラーゼ由来の発光シグナルの放出ピークと、アクセプターとしてのYFP由来の蛍光シグナルの放出ピーク間のスペクトル分離は小さく、β-アレスチン結合の高感度な検出には課題が残る。
【0010】
このように、オピオイド受容体に対するβ-アレスチン結合反応の評価に適した評価系の開発がなお望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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