TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025155972
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-14
出願番号2025035275
出願日2025-03-06
発明の名称レーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびそれからなる成形品ならびにレーザー透過率を向上させる方法。
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 67/02 20060101AFI20251002BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】レーザー透過率に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び、それを成形してなるレーザー透過率に優れた成形品を提供すること。
【解決手段】(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合してなる繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、その(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下であるレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合してなる繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、その(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下であるレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記(B)ガラス繊維がEガラスである請求項1に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(C)ポリカーボネート樹脂を5~90質量部配合してなる、請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項4】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(D)ゴム成分を含むスチレン系樹脂を1~25質量部配合してなる、請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項5】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(E)結晶核剤を0.05~5質量部配合してなる、請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項6】
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品の試料厚み2mmで測定した波長940nmにおけるレーザー光線透過率が15%以上である、請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項7】
(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄量と、該(B)ガラス繊維を用いたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品の試料厚み2mmで測定した波長940nmにおけるレーザー光線透過率との関係において、(B)ガラス繊維中における酸化鉄量の含有量が0.10~0.30質量%の場合に、その最小二乗法により求めた傾きの絶対値が50以下である、請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項9】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合し、(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下とすることによる、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のレーザー透過率を向上させる方法。
【請求項10】
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合し、(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下とすることによる、(B)ガラス繊維中における酸化鉄の含有量の変動による、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のレーザー透過率の変動を低減する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー溶着性が優れたレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、およびそれからなる成形品、ならびにレーザー透過率を向上させる方法に関するものである。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その優れた射出成形性、機械特性、耐熱性、電気特性、耐薬品性などを利用して、機械部品、電気・通信部品、自動車部品などの分野で射出成形品として広範囲に利用されている。しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる射出成形品は、その成形効率はよいが、その流動特性や金型構造の点から形状に制限があり、あまり複雑なものは成形が困難である。
【0003】
このため、従来から製品形状の複雑化に伴う各パーツの接合においては、接着剤による接合、ボルトなどによる機械的接合などが行われてきた。しかしながら、接着剤ではその接着強度が低く、また、ボルトなどによる機械的接合では、費用、締結の手間、重量増が問題となっている。一方、レーザー溶着、熱板溶着などの外部加熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの摩擦熱溶着に関しては短時間で接合が可能であり、また、接着剤や金属部品を使用しないので、それにかかるコストや重量増、環境汚染等の問題が発生しないことから、これらの方法による組立が増えてきている。
【0004】
レーザー溶着は、透過性のある透過樹脂材と非透過樹脂材を重ね合わせ、透過樹脂材側からレーザー光線を照射することにより、透過樹脂材と非透過樹脂材との合わせ面を加熱溶融させて両者を接合する方法である。レーザー光は、透過樹脂材を透過して非透過樹脂材で吸収され、合わせ面で吸収されたレーザー光は蓄積され、その結果、非透過樹脂材は加熱溶融されるとともに、合わせ面から熱伝達により透過樹脂材も溶融し、両者を接合する技術である。
【0005】
特に電子部品等を収納するケース・カバー等の構造材料として使う場合には高い強度を必要とするためガラス繊維等のフィラーを添加する。しかしながら、ガラス繊維等のフィラーを添加した場合には、レーザー光の透過率が低下して、レーザー溶着性が低下するという問題があった。
【0006】
上記の問題を解決するため、特許文献1ではポリブチレンテレフタレート樹脂にポリカーボネート樹脂のような非晶性樹脂を添加し、レーザー透過率を向上させる方法が提案されている。特許文献2では、ガラス繊維に含有する酸化鉄量を選択することで、レーザー透過率を向上させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2011-52223号公報
特開2020-7427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、ポリブチレンテレフタレート樹脂を構造材料として使う場合には高い強度を必要とするため、ガラス繊維等のフィラーを添加する。一方で、ガラス繊維等のフィラーを添加すると、レーザー透過率は低下するため、レーザー溶着性に悪影響を与える。特許文献1に記載された技術では、非晶性樹脂を添加することでレーザー透過率を向上させているが、一方で非晶性樹脂の添加量を増やすと流動性が悪化する。特許文献2に記載された技術では、ガラス繊維に含まれる酸化鉄量は主に原料の鉱石に起因するが、酸化鉄量の大小によりレーザー透過率にバラつきが生じ、レーザー溶着性に影響を及ぼす問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる課題を解決するために、鋭意研究、検討を重ねた結果、特定比率の2価酸化鉄を含むガラス繊維を使用することによって、レーザー透過率が向上し、レーザー溶着性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および、それを成形してなる成形品を得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の構成を有する。
(1)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合してなる繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物であって、その(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下であるレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(2)前記(B)ガラス繊維がEガラスである(1)に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(3)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(C)ポリカーボネート樹脂を5~90質量部配合してなる、(1)または(2)に記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(4)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(D)ゴム成分を含むスチレン系樹脂を1~25質量部配合してなる、(1)~(3)のいずれかに記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(5)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、さらに(E)結晶核剤を0.05~5質量部配合してなる、(1)~(4)のいずれかに記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(6)ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品の試料厚み2mmで測定した波長940nmにおけるレーザー光線透過率が15%以上である、(1)~(5)のいずれかに記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(7)(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄量と、該(B)ガラス繊維を用いたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品の試料厚み2mmで測定した波長940nmにおけるレーザー光線透過率との関係において、(B)ガラス繊維中における酸化鉄量の含有量が0.10~0.30質量%の場合に、その最小二乗法により求めた傾きの絶対値が50以下である、(1)~(6)のいずれかに記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(8)(1)~(7)のいずれかに記載のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる成形品。
(9)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合し、(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下とすることによる、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のレーザー透過率を向上させる方法。
(10)(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、(B)ガラス繊維15~91質量部を配合し、(B)ガラス繊維に含有される酸化鉄のうち、2価酸化鉄比率が80質量%以下とすることによる、(B)ガラス繊維中における酸化鉄の含有量の変動による、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のレーザー透過率の変動を低減する方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

東レ株式会社
浄水器
29日前
東レ株式会社
防護服
11日前
東レ株式会社
複合半透膜
1か月前
東レ株式会社
積層多孔質膜
2か月前
東レ株式会社
積層フィルム
3か月前
東レ株式会社
積層フィルム
10日前
東レ株式会社
積層フィルム
1か月前
東レ株式会社
風車ブレード
1か月前
東レ株式会社
黒色樹脂組成物
15日前
東レ株式会社
加飾用フィルム
15日前
東レ株式会社
無配向フィルム
4日前
東レ株式会社
光透過性表皮材
10日前
東レ株式会社
多孔質炭素シート
1か月前
東レ株式会社
不織布の製造装置
9日前
東レ株式会社
多層積層フィルム
1か月前
東レ株式会社
貼合体の製造方法
4日前
東レ株式会社
飛翔体用ブレード
4日前
東レ株式会社
赤外線遮蔽構成体
4日前
東レ株式会社
テーパ付き円筒部材
10日前
東レ株式会社
太陽電池モジュール
10日前
東レ株式会社
サンドイッチ構造体
1か月前
東レ株式会社
フィルムの製造方法
3か月前
東レ株式会社
織物および繊維製品
2か月前
東レ株式会社
車両用衝撃吸収部材
4日前
東レ株式会社
フィルムの製造装置
4日前
東レ株式会社
溶融紡糸口金パック
16日前
東レ株式会社
合成繊維の巻取装置
2か月前
東レ株式会社
中空糸膜モジュール
15日前
東レ株式会社
マルチフィラメント
3か月前
東レ株式会社
熱硬化性樹脂組成物
2か月前
東レ株式会社
遮熱性アクリル繊維
16日前
東レ株式会社
繊維断面の検査方法
16日前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
1日前
東レ株式会社
ポリエステルフィルム
23日前
東レ株式会社
複合成形体の製造方法
29日前
東レ株式会社
複合成形体の製造方法
4日前
続きを見る