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公開番号2025117642
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2024012476
出願日2024-01-31
発明の名称放射妨害波を評価するための評価装置、評価方法、及び、電波暗箱
出願人地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
代理人個人,個人,個人
主分類G01R 29/08 20060101AFI20250805BHJP(測定;試験)
要約【課題】CISPR25に準拠した測定方法とは異なる簡易な測定方法において、測定値に発生するディップの影響を抑制した測定結果を得ることができる放射妨害波の評価装置、評価方法、及び、電波暗箱を提供する。
【解決手段】評価装置1は、ワイヤーハーネス100が載置される試験台2と、ワイヤーハーネス100から所定の距離D1に配置され、電磁波を受信するアンテナ3と、アンテナ3を所定の距離D1上で水平移動させる移動手段4と、ワイヤーハーネス100及びアンテナ3間の伝送特性を測定する測定手段5と、測定手段5によって測定された伝送特性の測定値に基づいて、この測定値の周波数スペクトルのディップを低減させた値である合成値を算出するディップ低減手段6と、ディップ低減手段6によって算出された合成値に基づいてワイヤーハーネス100から放射される放射妨害波の評価値を算出する算出手段7を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
測定対象物から放射される放射妨害波を評価するための評価装置であって、
前記測定対象物が載置される試験台と、
前記測定対象物から所定の距離に配置され、電磁波を受信するアンテナと、
前記アンテナを前記所定の距離上で水平移動させる移動手段と、
前記測定対象物及び前記アンテナ間の伝送特性である評価伝送特性を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定される前記評価伝送特性の測定値である評価伝送特性値に基づいて、前記評価伝送特性値の周波数スペクトルのディップを低減させた値である合成値を算出するディップ低減手段と、
前記合成値に基づいて、前記放射妨害波の評価値を算出する算出手段と、を備え、
前記測定手段は、前記移動手段によって前記アンテナを移動させた異なる2以上の位置で前記評価伝送特性を測定し、
前記ディップ低減手段は、前記測定手段によって測定された前記評価伝送特性値の周波数ごとの最大値又は平均値を採って合成することで前記合成値を算出する、
ことを特徴とする評価装置。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
校正用測定物から放射される電磁波をCISPR25に準拠したEMI測定アンテナで受信した場合の前記校正用測定物及び前記EMI測定アンテナ間の伝送特性である第1伝送特性の測定値を第1伝送特性値として記憶する記憶手段を備え、
前記測定手段が、前記測定対象物に代えて前記試験台に載置された前記校正用測定物から放射される電磁波を前記アンテナで受信した場合の前記校正用測定物及び前記アンテナ間の伝送特性である第2伝送特性を測定し、
前記ディップ低減手段が、前記測定手段によって測定された前記第2伝送特性の測定値である第2伝送特性値に基づいて、前記第2伝送特性値の周波数スペクトルのディップを低減させた値である補正用合成値を算出し、
前記算出手段が、前記第1伝送特性値から前記補正用合成値を減算して補正係数を算出し、この補正係数を前記合成値に加算することで前記評価値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記アンテナは、受信可能な周波数帯域が150kHzから6000MHzまでである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記測定対象物が、ワイヤーハーネスであり、
前記ワイヤーハーネスは、矩形に形成された前記試験台の一辺から100mmの位置に、前記一辺に対して平行に載置され、
前記所定の距離が、前記一辺の側とは反対方向に200mmから500mmの間で選択された一つであり、
前記移動手段が、前記ワイヤーハーネスの長手方向に対して平行に前記アンテナを移動させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の評価装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記ワイヤーハーネスの長手方向の中心に対応する位置から、前記ワイヤーハーネスのいずれか一方の端部側に向けて、前記ワイヤーハーネスの全長の4分の1の長さ、又は/及び、前記ワイヤーハーネスの全長の2分の1の長さに対応する位置に前記アンテナを移動させ、
前記測定手段が、前記中心に対応する位置、前記4分の1の長さに対応する位置、及び、前記2分の1の長さに対応する位置のうち、少なくともいずれか2つの位置で前記評価伝送特性を測定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の評価装置。
【請求項6】
測定対象物から放射される放射妨害波を評価するための電波暗箱であって、
前記測定対象物が載置される載置台と、
前記測定対象物から所定の距離に配置され、電磁波を受信するアンテナと、
前記アンテナを前記所定の距離上で水平移動させる移動手段と、
前記測定対象物及び前記アンテナ間の伝送特性である評価伝送特性を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定される前記評価伝送特性の測定値である評価伝送特性値に基づいて、前記周波数スペクトルのディップを低減させた値である合成値を算出するディップ低減手段と、
前記合成値に基づいて、前記放射妨害波の評価値を算出する算出手段と、
前記載置台を有し、少なくとも前記測定対象物及び前記アンテナを内部に収容可能な筐体と、
前記筐体の内面に設けられた電波吸収体と、を備え、
前記測定手段は、前記移動手段によって前記アンテナを移動させた異なる2以上の位置で前記評価伝送特性を測定し、
前記ディップ低減手段は、前記測定手段によって測定された前記評価伝送特性値の周波数ごとの最大値又は平均値を採って合成することで前記合成値を算出する、
ことを特徴とする電波暗箱。
【請求項7】
試験台に載置された校正用測定物から放射される電磁波をCISPR25に準拠したEMI測定アンテナで受信した場合の前記校正用測定物及び前記EMI測定アンテナ間の伝送特性である第1伝送特性を測定し、前記第1伝送特性の測定値である第1伝送特性値を取得する第1伝送特性値取得手順と、
前記試験台に載置された前記校正用測定物から所定の距離上でアンテナを水平移動させ、前記所定の距離上の異なる2以上の位置で前記校正用測定物及び前記アンテナ間の伝送特性である第2伝送特性を測定し、前記第2伝送特性の測定値である第2伝送特性値の周波数ごとの最大値又は平均値を採って合成することで、前記第2伝送測定値の周波数スペクトルのディップを低減させた値である補正用合成値を算出する補正用合成値算出手順と、
前記試験台に載置された測定対象物から前記所定の距離上で前記アンテナを水平移動させ、前記所定の距離上の異なる2以上の位置で前記測定対象物及び前記アンテナ間の伝送特性である評価伝送特性を測定し、前記評価伝送特性の測定値である評価伝送特性値の周波数ごとの最大値又は平均値を採って合成することで、前記評価伝送特性値の周波数スペクトルのディップを低減させた値である合成値を算出する合成値算出手順と、を有し、
前記第1伝送特性値取得手順、前記補正用合成値算出手順、及び、前記合成値算出手順を任意の順番で経た後、前記第1伝送特性値から前記補正用合成値を減算して補正係数を算出し、この補正係数を前記合成値に加算することで、前記測定対象物から放射される放射妨害波の評価値を算出する、
ことを特徴とする評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、測定対象物から放射される放射妨害波を評価するための評価装置、評価方法、及び、電波暗箱に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電動化や自動運転に関する技術の進歩は著しく、例えば、従来の自動車からモーターを動力とする電気自動車への転換を図るいわゆるEV(ELECTRIC VEHICLE)シフトや、自動運転技術を搭載した自動車の開発が進められている。これらを実現させるためには、自動車に搭載された電子機器(以下、自動車に搭載された電子機器を「車載機器」という。)によって自動車を制御することが求められる。例えば、自動車の衝突防止では、ミリ波レーダーやLiDAR(Light Detection And Ranging)を活用した測位システムを構成する種々の車載機器によって、自動車が制御される。このような車載機器は、自動車の制御に関わるため、その誤動作は事故につながるおそれがある。そのため、車載機器は、自動車の安全性を担保するためにも、一定の水準の電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility。以下、「電磁両立性」を「EMC」という。)を備えたものである必要がある。
【0003】
車載機器がEMCを満たすものであることを確認するためには、EMC試験の実施が必須である。EMC試験には、不要な電磁波を放射妨害波として放出する電磁妨害(EMI:Electromagnetic Interference。以下、「電磁妨害」を「エミッション」という。)に関するEMI試験や、外部からの電磁波に対する耐性である電磁感受性(EMS:Electromagnetic Susceptibility。以下、「電磁感受性」を「イミュニティ」という。)に関するEMS試験があり、車載機器に関するエミッションについては、国際無線障害特別委員会(CISPR)によって作成された国際規格であるCISPR25(車載受信機保護のための妨害波の限度値及び測定法)に、その測定方法や放射妨害波の許容値などが定義されている。なお、CISPR25のエミッションは、伝導エミッション測定と放射エミッション測定とから構成され、測定周波数は150kHzから5925MHzの範囲とされている。車載機器は、これらの取り決めに合わせて、測定試験や設計が行われている。
【0004】
車載機器等の電子機器のエミッション測定を行うための装置として、例えば、特許文献1では、電子機器にEMC試験をするための試験装置が提案されている。この特許文献1の試験装置は、仮想アンテナとの関係で特別に配置されたプローブがループアンテナとして機能することで放射ノイズの測定が可能なものである。また、特許文献2では、複数のワイヤーハーネスの伝導ノイズの算出が可能なノイズ計測装置が提案されている。この特許文献2のノイズ計測装置は、磁界の検出が可能なセンサをワイヤーハーネスの全てを通過させるようにして移動させることで磁界を検出し、この磁界に基づいて伝導ノイズの測定ができるものである。さらに、非特許文献1には、CISPR25に準拠した試験設備にモノポールアンテナを配置した簡易評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6052355号公報
特許第5430145号公報
【非特許文献】
【0006】
Heinz Rebholz,Stefan Tenbohlen,“A fast radiated emission model for arbitrary cable harness configurations based on measurements and simulations”,IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、CISPR25に準拠した放射エミッション測定において、許容値を超えた放射妨害波が検出された場合、EMC対策部品の付与や電子回路基板の再設計などの対策を施す必要がある。また、車載機器では、ワイヤーハーネスが接続され、このワイヤーハーネスによって他の機器との通信や電力の供給が行われているため、車載機器のみならず、ワイヤーハーネスから放出される放射妨害波についてもエミッションの対策が必要となる。特に、30MHzから1000MHzの周波数帯域においては、ワイヤーハーネスからの放射妨害波とECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)からの放射妨害波とが混在し、どちらに対策を施す必要があるか切り分けができないことがある。そのため、ワイヤーハーネス由来の放射妨害波の測定に特化した評価装置や評価手法が求められている。また、複数のワイヤーハーネスの束においては、ワイヤーハーネス自体から放射される放射妨害波が自らの誤作動の原因となる現象、いわゆる自家中毒を引き起こす可能性があるため、一本のワイヤーハーネス毎の放射妨害波の測定が必須である。そのため、ワイヤーハーネス由来の放射妨害波の測定に特化した評価装置や評価手法が求められている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の試験装置は、プローブの配置が特殊であるため、容易に測定を行えるものではなく、また、ワイヤーハーネス由来の放射妨害波について垂直偏波のみについて評価され、水平偏波についてのデータが示されておらず、電磁界の水平偏波及び垂直偏波の両方についての測定が考慮されていない。また、特許文献2に記載のノイズ計測装置は、伝導エミッション測定に関し、ループアンテナを使用して伝導ノイズ(伝導妨害波)を非接触で測定して評価を行うものである。そのため、比較的高い周波数であり、空間に電波として飛び出す放射ノイズ(放射妨害波)を測定するための装置として適切ではない。さらに、非特許文献1の簡易評価方法では、ロッドアンテナによる測定値をCISPR25に換算するための補正係数において、放射妨害波の周波数特性のディップに起因するノイズが生じており、このディップの処理について考慮されていない。
【0009】
さらに、車載機器のCISPR25に準拠した放射妨害波の測定は、電波暗室の使用や高価な設備が必要とされ、測定費用が嵩み、また、測定にも時間がかかるため、容易に実施できるものではなかった。そのため、放射妨害波の測定を簡易な方法で実施できるようになれば、車載機器の開発の現場での測定も可能になり、製品開発の向上に寄与できる。また、放射妨害波について、電波暗室を使用せず、かつ、簡易的なアンテナを用いた測定方法が実現できれば、測定費用の削減や迅速な製品開発に資することができる。
【0010】
そこで、本発明は、CISPR25に準拠した測定方法とは異なる簡易な測定方法において、測定値に発生するディップの影響を抑制した測定結果を得ることができる放射妨害波の評価装置、評価方法、及び、電波暗箱の提供を目的とする。さらに、測定値に発生するディップの影響が抑制され、かつ、CISPR25に準拠した放射妨害波の測定方法に類似度が高い測定結果を得ることができる放射妨害波の評価装置、評価方法、及び、電波暗箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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