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公開番号
2025120045
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-15
出願番号
2024015255
出願日
2024-02-02
発明の名称
皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者の治療抵抗性の予測方法、及び当該方法に使用されるキット
出願人
国立大学法人京都大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01N
33/53 20060101AFI20250807BHJP(測定;試験)
要約
【課題】本開示は、皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測するための方法を提供することを課題とする。
【解決手段】皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性の予測方法であって、前記患者から採取された血液試料中の抗MDA5抗体の濃度を測定する工程を含み、前記抗MDA5抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び/又は配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体である、前記予測方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性の予測方法であって、
前記患者から採取された血液試料中の抗MDA5抗体の濃度を測定する工程を含み、
前記抗MDA5抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び/又は配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体である、前記予測方法。
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【請求項2】
前記患者が、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の患者、抗MDA5抗体陽性が疑われる皮膚筋炎の患者、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の患者、又は抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎が疑われる間質性肺炎の患者である、請求項1に記載の予測方法。
【請求項3】
前記治療抵抗性が、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬の3剤併用治療に対する治療抵抗性である、請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項4】
前記治療抵抗性が、プレドニゾロン、シクロホスファミド、及びタクロリムスの3剤併用治療に対する治療抵抗性である、請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項5】
測定される抗MDA5抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体の双方である、請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項6】
血液試料が血清である、請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項7】
前記抗MDA5抗体の測定が免疫学的測定法により行われる、請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項8】
皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測するためのキットであって、
配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び/又は配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体を測定するための試薬を含む、前記キット。
【請求項9】
前記試薬が、免疫学的測定法によって前記抗MDA5抗体を測定するための試薬であり、少なくとも、抗原として(i)配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位からなるMDA5断片又は当該MDA5断片の融合タンパク質、及び/又は(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位からなるMDA5断片又は当該MDA5断片の融合タンパク質を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記抗原が、酵素免疫測定用プレート又は磁性粒子に固相化されている、請求項8又は9に記載のキット。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測するための方法、及び当該方法に使用されるキットに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
皮膚筋炎(dermatomyositis)は、皮膚症状(ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候等)、筋症状(筋炎)、呼吸器症状(間質性肺炎)等を呈する全身性炎症疾患である。皮膚筋炎の多くでは筋炎特異的自己抗体(myositis-specific autoantibody)と筋炎関連自己抗体(myositis-associated autoantibody)が報告されており、それぞれ自己抗体に対応する臨床的特徴があるため、皮膚筋炎患者の自己抗体の同定が、筋炎の診断/分類、検査又は治療方針の決定、予後予測等に役立てられている。
【0003】
皮膚筋炎の一つとして、皮膚症状を有していながら筋症状が軽度又は認められない無筋症性皮膚筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis)がある。無筋症性皮膚筋炎は、しばしば乾性咳嗽や進行性の呼吸困難感等を伴う急速進行性間質性肺炎を合併することが知られている。従来、無筋症性皮膚筋炎の自己抗体として抗MDA5抗体(抗CADM-140抗体)が同定され、MDA5を利用した診断キットも開発されている(特許文献1)。また、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎を伴う間質性肺炎は、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬の3剤併用治療により生命予後が改善することも報告されており(非特許文献1等)、今日では、これらの3剤併用治療が抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎や間質性肺炎の治療法として確立されている。
【0004】
一方、近年、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎で認められる抗MDA5抗体のエピトープの研究により、当該抗MDA5抗体は、MDA5のヘリカーゼドメイン(Hel1、Hel2i、Hel2、及びpincer)をエピトープとして認識していることが報告されている(非特許文献2及び3)。また、MDA5のアミノ酸配列の905~1026位の領域内に結合する抗MDA5抗体は男性よりも女性において抗体価が高いこと、当該アミノ酸配列の646~801位の領域内に結合する抗MDA5抗体の抗体価は筋症状と関連していること、当該アミノ酸配列の130~284位又は517-671位の領域内に結合する抗MDA5抗体の抗体価は間質性肺炎と関連していること、及び当該アミノ酸配列の1~155位の領域内に結合する抗MDA5抗体の抗体価は件質性肺炎による死亡例で高値を示したことも報告されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2010/024089号
【非特許文献】
【0006】
Hideki Tsuji et al., Arthritis Rheumatol. 2020, 72(3), 488-498. doi: 10.1002/art.41105.
Yongxin Mo et al., Rheumatology, 2023, 00, 1-10, https://doi.org/10.1093/rheumatology/kead397.
Eveline Van Gompel et al., Rheumatology, 2023, 00, 1-8, https://doi.org/10.1093/rheumatology/kead400 Advance access publication 12 August 2023.
Yamaguchi K, et al. Rheumatology (Oxford). 2023 Oct 10: kead550. doi: 10.1093/rheumatology/kead550.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
皮膚筋炎及び間質性肺炎(特に、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎及び抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎)の治療法として、ステロイドに加え、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬の少なくとも1種の薬剤を投与する治療法が確立しているが、一部の症例では当該薬剤に対して治療抵抗性を示し、生命予後が悪い。そのため、皮膚筋炎及び間質性肺炎の治療方策を決定するに際し、前記薬剤投与に対して治療抵抗性を示す患者を予測し、当該患者には初期から他の追加治療を施すことが望ましい。また、前記薬剤を既に投与しているものの十分な治療効果が現れていない患者に対しても、治療抵抗性を示していることを早期に確認し、他の治療を追加することが望ましい。しかしながら、従来、前記薬剤に対する治療抵抗性を予測するための技術は開発できていない。また、前述の通り、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎で認められる抗MDA5抗体のエピトープについては報告例があるが、抗MDA5抗体のエピトープと前記薬剤に対する治療抵抗性との関連性については知られていない。
【0008】
そこで、本開示は、皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測するための方法、及び当該方法に使用されるキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の患者の中には、MDA5のアミノ酸配列の201~300位の領域内又は601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体が認められる者がいることを見出した。更に、前記エピトープを認識する抗MDA5抗体の血清中濃度が高い患者では、プレドニゾロン、シクロホスファミド、及びタクロリムスの3剤併用治療に対して治療抵抗性を示す頻度が高いことを見出した。これらの知見に基づいて、皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者の血液試料中の前記エピトープを認識する抗MDA5抗体の濃度を指標として、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測できることを知得した。
【0010】
即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性の予測方法であって、
前記患者から採取された血液試料中の抗MDA5抗体の濃度を測定する工程を含み、
前記抗MDA5抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び/又は配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体である、前記予測方法。
項2. 前記患者が、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の患者、抗MDA5抗体陽性が疑われる皮膚筋炎の患者、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎の患者、又は抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎が疑われる間質性肺炎の患者である、項1に記載の予測方法。
項3. 前記治療抵抗性が、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬の3剤併用治療に対する治療抵抗性である、項1又は2に記載の予測方法。
項4. 前記治療抵抗性が、プレドニゾロン、シクロホスファミド、及びタクロリムスの3剤併用治療に対する治療抵抗性である、項1又は2に記載の予測方法。
項5. 測定される抗MDA5抗体が、配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体の双方である、項1又は2に記載の予測方法。
項6. 血液試料が血清である、項1又は2に記載の予測方法。
項7. 前記抗MDA5抗体の測定が免疫学的測定法により行われる、項1又は2に記載の予測方法。
項8. 皮膚筋炎又は間質性肺炎の患者における、ステロイド、シクロホスファミド、及びカルシニューリン阻害薬よりなる群から選択される少なくとも1種の薬剤に対する治療抵抗性を予測するためのキットであって、
配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体、及び/又は配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位の領域内をエピトープとして認識する抗MDA5抗体を測定するための試薬を含む、前記キット。
項9. 前記試薬が、免疫学的測定法によって前記抗MDA5抗体を測定するための試薬であり、少なくとも、抗原として(i)配列番号1に示すアミノ酸配列の201~300位からなるMDA5断片又は当該MDA5断片の融合タンパク質、及び/又は(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列の601~700位からなるMDA5断片又は当該MDA5断片の融合タンパク質を含む、項8に記載のキット。
項10. 前記抗原が、酵素免疫測定用プレート又は磁性粒子に固相化されている、項8又は9に記載のキット。
項11. コントロールとして、健常者の血液試料、前記薬剤に対する治療抵抗性であった患者の血液試料、及び前記薬剤に対する治療非抵抗性であった患者の血液試料の少なくとも1つが付属されている、項8又は9に記載のキット。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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