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公開番号2025122545
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-21
出願番号2024018112
出願日2024-02-08
発明の名称タンパク質、該タンパク質の製造法、アスパラギン残基が脱アミド化されたタンパク質の製造法
出願人味の素株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C12N 15/55 20060101AFI20250814BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する新規タンパク質脱アミド酵素(プロテインアスパラギナーゼ)を提供することを課題とする。
【解決手段】タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有し、かつ、
C末端にβバレルドメインを1つ有する、又は、C末端にβバレルドメインを有しないことを特徴とするタンパク質。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有し、かつ、
C末端にβバレルドメインを1つ有する、又は、C末端にβバレルドメインを有しないことを特徴とするタンパク質。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
Amycolatopsis deserti、Microbispora corallina、又はMotilibacter peucedaniに由
来する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
下記(A)、(B)、又は(C)に記載のタンパク質である、請求項1又は2に記載のタンパク質:
(A)配列番号1、3、若しくは5に示すアミノ酸配列、配列番号1の129~785位、配列番号3の130~808位、又は配列番号5の143~818位のアミノ酸配列を含むタンパク質;
(B)配列番号1、3、若しくは5に示すアミノ酸配列、配列番号1の129~785位、配列番号3の130~808位、又は配列番号5の143~818位のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質
(C)配列番号1、3、若しくは5に示すアミノ酸配列、配列番号1の129~785位、配列番号3の130~808位、又は配列番号5の143~818位のアミノ酸配列に対し、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質。
【請求項4】
下記(A’)、(B’)、又は(C’)に記載のタンパク質:
(A’)配列番号9の1~1074位、132~1074位、240~1074位、1~1166位、132~1166位、若しくは240~1166位、配列番号11の1~894位、67~894位、181~894位、1~1007位、67~1007位、若しくは181~1007位、配列番号13の1~932位、70~932位、193~932位、1~1018位、70~1018位、若しくは193~1018位、又は配列番号14の1~831位、81~831位、1~939位、若しくは81~939位のアミノ酸配列を有するタンパク質;
(B’)配列番号9の1~1074位、132~1074位、240~1074位、1~1166位、132~1166位、若しくは240~1166位、配列番号11の1~894位、67~894位、181~894位、1~1007位、67~1007位、若しくは181~1007位、配列番号13の1~932位、70~932位、193~932位、1~1018位、70~1018位、若しくは193~1018位、又は配列番号14の1~831位、81~831位、1~939位、若しくは81~939位のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質;
(C’)配列番号9の1~1074位、132~1074位、240~1074位、1~1166位、132~1166位、若しくは240~1166位、配列番号11の1~894位、67~894位、181~894位、1~1007位、67~1007位、若しくは181~1007位、配列番号13の1~932位、70~932位、193~932位、1~1018位、70~1018位、若しくは193~1018位、又は配列番号14の1~831位、81~831位、1~939位、若しくは81~939位のアミノ酸配列に対し、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質。
【請求項5】
請求項1又は4に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項5に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項7】
請求項6に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
【請求項8】
請求項7に記載の形質転換体を培地で培養し、請求項1又は4に記載のタンパク質を生成させること、及び培養物より前記タンパク質を回収すること、を含む、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質の製造法。
【請求項9】
請求項1又は4に記載のタンパク質を生産する能力を有する生物を培地で培養し、該タンパク質を生成させること、及び培養物より前記タンパク質を回収すること、を含む、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する活性を有するタンパク質の製造法。
【請求項10】
前記タンパク質をプロセッシング酵素で処理することを含む、請求項8に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、新規タンパク質脱アミド酵素、タンパク質脱アミド酵素改変体、同酵素又は改変体をコードするポリヌクレオチド、同ポリヌクレオチドを含む組換えベクター、同ベクターが導入された形質転換体、同酵素又は改変体の製造法、及び同酵素又は改変体を利用したタンパク質の脱アミド化法に関するものである。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
タンパク質の脱アミド化は、タンパク質の様々な機能特性の向上をもたらす(非特許文献1)。そのため、タンパク質の脱アミド化により、タンパク質の用途が拡大すると期待される。タンパク質を構成するアミノ酸の内、アミド基を有するのはグルタミン及びアスパラギンである。これらは脱アミド化によりそれぞれグルタミン酸及びアスパラギン酸に変換される。脱アミド化によりタンパク質の負電荷が増加し、等電点が低下する。これにより、タンパク質の可溶性、水分散性が大きく増大する。また、静電反発力の増加に伴い、タンパク質間の相互作用すなわち会合性が低下する。また、タンパク質の三次構造がほぐれ、高次構造が変化し、分子内部に埋まっている疎水性領域が分子表面に露出するため、脱アミド化タンパク質は両親媒性を有するようになり、タンパク質の乳化力、乳化安定性、起泡性、泡沫安定性が向上することが知られている。
【0003】
タンパク質の脱アミド化手法は、化学的手法と酵素的手法に分けられる。化学的脱アミド化手法としては、温和な酸又はアルカリ処理による方法が多数報告されている。しかしながら、いずれも非特異的反応であること、酸やアルカリ条件下ではペプチド結合の切断も伴うこと、予期せぬ副生成物を生じること等が問題となる。また化学物質を用いるための設備が必要であり、環境面での負荷も大きいことが課題である。このような化学的手法の問題点を克服できるのが酵素的手法である。酵素的脱アミド化手法としては、例えば、プロテイングルタミナーゼを用いる方法(特許文献1~2、非特許文献2)、プロテアーゼを用いる方法(非特許文献3~4)、トランスグルタミナーゼを用いる方法(非特許文献5)、ペプチドグルタミナーゼを用いる方法(非特許文献6~7)等の方法が報告されている。
【0004】
これらの中で、副反応を伴わず、高分子のタンパク質に対して脱アミド化反応を触媒できるのはプロテイングルタミナーゼのみである。プロテアーゼ、トランスグルタミナーゼでは、それぞれペプチド結合の切断、グルタミンとリジン間でのイソペプチド結合の形成による架橋反応が主反応であること、ペプチドグルタミナーゼは低分子化されたペプチドの脱アミド化を専ら触媒する酵素であることから、いずれも課題がある。プロテイングルタミナーゼは、高分子のタンパク質に対する高い脱アミド化能を有する酵素として実用性が高いと考えられる。既に、プロテイングルタミナーゼによる、小麦タンパク質、乳タンパク質(カゼインや乳清タンパク質)や大豆タンパク質の機能向上に関する知見がある(非特許文献8~11)。また、プロテイングルタミナーゼによる、例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、麺類、畜肉類等の食品の品質向上に関する特許知見も報告されている(特許文献3~7)。ただし、このプロテイングルタミナーゼは、タンパク質中のグルタミン残基を基質とするものであり、アスパラギン残基には全く作用しないことが明記されており(非特許文献2、非特許文献12)、処理効果には限界がある。事実、植物、動物タンパク質を構成するアミノ酸には、アスパラギンが多く含まれており、脱アミド化による更なる機能改質効果を得るには、グルタミンだけでなくアスパラギンも脱アミド化することが好ましい。
【0005】
アスパラギナーゼ(EC番号:3.5.1.1)は、アスパラギンのアスパラギン酸への加水分
解を触媒する酵素として広く知られている。しかし、アスパラギナーゼは遊離のアスパラギンに特異的に作用する酵素であり、ペプチドあるいは分子量の大きなタンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化することはできない。また、フリーのα-アミノ基を有するN末端アスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する酵素が知られている(非特許文献13)。しかし、同酵素は、N末端アスパラギン残基以外の、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化することはできない。
【0006】
本発明者らは、タンパク質中のアスパラギン残基(フリーのα-アミノ基を有するN末端アスパラギン残基以外)を脱アミド化する新規酵素としてルテイミクロビウム・アルバム(Luteimicrobium album)、アグロマイセス属の1種(Agromyces sp.)、ミクロバク
テリウム・テスタセウム(Microbacterium testaceum)、レイフソニア・キシリー(Leifsonia xyli)、又はレイフソニア・アクアティカ(Leifsonia aquatica)に由来するタンパク質脱アミド酵素を報告した(特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2001-218590号公報
特開2005-052158号公報
国際公開第2011/024994号
国際公開第2011/125826号
国際公開第2011/108633号
特開2009-219419号公報
国際公開第2006/075771号
国際公開第2015/133590号
【非特許文献】
【0008】
Hamada J. S. 1994. Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 34, 283.
Yamaguchi S, Jeenes DJ and Archer DB. 2001. Eur. J. Biochem. 268(5), 1410.
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、タンパク質中のアスパラギン残基を脱アミド化する反応を触媒する新規タンパク質脱アミド酵素(プロテインアスパラギナーゼ)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、既報(国際公開第2015/133590号)に記載されたタンパク質脱アミド酵素の部分配列と一定以上の相同性を有するタンパク質の一部が、アスパラギン残基を特異的に脱アミド化する反応を触媒することを見出し、本発明を完成させた。
(【0011】以降は省略されています)

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