TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025130831
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2024028155
出願日2024-02-28
発明の名称アクリル樹脂エマルション及びその製造方法、並びに該エマルションを用いた水性高分子-イソシアネート系接着剤の製造方法
出願人株式会社日本触媒
代理人弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類C08F 2/22 20060101AFI20250902BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】エマルションの保存安定性が良好であり、得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤のポットライフが長く、且つ得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤の接着力が高められたアクリル樹脂エマルションの提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、アクリル樹脂エマルションの製造に際して、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー成分を、乳化剤及び重合開始剤の存在下、50℃超えの重合温度で乳化重合する重合工程;前記重合工程で得られた溶液の温度が50℃以下になった後に、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を添加する乳化剤添加工程;を含む製造方法を採用することで解決できる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー成分を、乳化剤及び重合開始剤の存在下、50℃超えの重合温度で乳化重合する重合工程;
前記重合工程で得られた溶液の温度が50℃以下になった後に、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を添加する乳化剤添加工程;を含む、アクリル樹脂エマルションの製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
乳化剤添加工程における前記ノニオン性乳化剤(A1)の添加量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、0.05~8.0質量部である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記モノマー成分が、さらに水酸基含有モノマーを含み、
前記水酸基含有モノマーの含有量が、モノマー成分100質量%中、0.1~2.8質量%である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記アクリル樹脂エマルションを構成するエマルション粒子の散乱強度分布に基づく平均粒子径が、100~350nmである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1の製造方法で得られたアクリル樹脂エマルション、ポリビニルアルコール、及び水を含む主剤組成物と、イソシアネート系架橋剤とを混合する工程を含む、水性高分子-イソシアネート系接着剤の製造方法。
【請求項6】
芳香族ビニルモノマー由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を含むエマルション粒子と、ノニオン性乳化剤(A)と、水とを含むアクリル樹脂エマルションであり、
前記ノニオン性乳化剤(A)が、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を含み、
前記ノニオン性乳化剤(A1)の含有割合が、前記ノニオン性乳化剤(A)100質量%中、90質量%以上であり、
前記ノニオン性乳化剤(A)の含有量が、前記エマルション粒子100質量部に対し、0.3質量部以上であるアクリル樹脂エマルション。
【請求項7】
芳香族ビニルモノマー由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を含むエマルション粒子と、ノニオン性乳化剤(A)と、水とを含むアクリル樹脂エマルションであり、
前記ノニオン性乳化剤(A)が、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を含み、
下記煮沸はく離試験により求められるはく離率が10%以下である、アクリル樹脂エマルション。
(煮沸はく離試験)
前記アクリル樹脂エマルションと、15質量%濃度のポリビニルアルコール水溶液と、炭酸カルシウムと、水とを、アクリル樹脂エマルション:ポリビニルアルコール水溶液:炭酸カルシウム:水が、質量比で、20:15:20:45となるように混合して主剤組成物を調製する。次いで、前記主剤組成物100質量部に対し、15質量部のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを添加し、接着剤を調製する。得られた接着剤のベイマツ材に対する接着性を、日本農林規格が定める構造用集成材についての「煮沸はく離試験」の規定に従って調べ、はく離率を算出する。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル樹脂エマルション及びその製造方法、並びに該エマルションを用いた水性高分子-イソシアネート系接着剤の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
水性高分子-イソシアネート系接着剤は、ホルムアルデヒドの発生がなく、常温での接着が可能であり、さらに耐水性や耐久性に優れることから、木材の接着等に広く使用されている。水性高分子-イソシアネート系接着剤は、一般的に、水性エマルションとポリビニルアルコールと水とを含む主剤に、硬化剤であるイソシアネート系化合物を配合することで得られる。
【0003】
たとえば特許文献1には、水性高分子-イソシアネート系接着剤に含まれる水性エマルションとして、(A)芳香族ビニル系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル単量体から選ばれる1種以上の単量体(a1)、及びヒドロキシル基含有ビニル系単量体(a2)を含む単量体組成物、(B)p-スチレンスルホン酸ナトリウム又はメタリルスルホン酸ナトリウムから選ばれる重合性の二重結合基を有する化合物、及び(C)アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤を含む重合性単量体組成物を乳化重合して得られる水性エマルションを用いることで、耐水性や耐熱性が高められることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4155736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、芳香族ビニル系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合時に界面活性剤(すなわち乳化剤)を添加する方法で得られた水性エマルションを用いた水性高分子-イソシアネート系接着剤においては、接着力のさらなる向上が求められると共に、水性エマルションとしての保存安定性、及び、得られる接着剤のポットライフの向上も求められている。
【0006】
そこで本発明は、エマルションの保存安定性が良好であり、得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤のポットライフが長く、且つ得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤の接着力が高められたアクリル樹脂エマルションの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー成分の乳化重合後、得られた溶液を所定温度以下まで冷却した後に、特定のノニオン性乳化剤を添加することで、保存安定性が良好であり、得られる接着剤のポットライフが長く、且つ得られる接着剤の接着力が高められたアクリル樹脂エマルションを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 芳香族ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー成分を、乳化剤及び重合開始剤の存在下、50℃超えの重合温度で乳化重合する重合工程;
前記重合工程で得られた溶液の温度が50℃以下になった後に、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を添加する乳化剤添加工程;を含む、アクリル樹脂エマルションの製造方法。
[2] 乳化剤添加工程における前記ノニオン性乳化剤(A1)の添加量が、モノマー成分の合計100質量部に対して、0.05~8.0質量部である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記モノマー成分が、さらに水酸基含有モノマーを含み、
前記水酸基含有モノマーの含有量が、モノマー成分100質量%中、0.1~2.8質量%である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記アクリル樹脂エマルションを構成するエマルション粒子の散乱強度分布に基づく平均粒子径(キュムラント平均粒子径)が、100~350nmである、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の製造方法で得られたアクリル樹脂エマルション、ポリビニルアルコール、及び水を含む主剤組成物と、イソシアネート系架橋剤とを混合する工程を含む、水性高分子-イソシアネート系接着剤の製造方法。
[6] 芳香族ビニルモノマー由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を含むエマルション粒子と、ノニオン性乳化剤(A)と、水とを含むアクリル樹脂エマルションであり、
前記ノニオン性乳化剤(A)が、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を含み、
前記ノニオン性乳化剤(A1)の含有割合が、前記ノニオン性乳化剤(A)100質量%中、90質量%以上であり、
前記ノニオン性乳化剤(A)の含有量が、前記エマルション粒子100質量部に対し、0.3質量部以上であるアクリル樹脂エマルション。
[7] 芳香族ビニルモノマー由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を含むエマルション粒子と、ノニオン性乳化剤(A)と、水とを含むアクリル樹脂エマルションであり、
前記ノニオン性乳化剤(A)が、直鎖状アルキル基および/または分岐鎖状アルキル基を有し且つ芳香族炭化水素環を有さないノニオン性乳化剤(A1)を含み、
下記煮沸はく離試験により求められるはく離率が10%以下である、アクリル樹脂エマルション。
(煮沸はく離試験)
前記アクリル樹脂エマルションと、15質量%濃度のポリビニルアルコール水溶液と、炭酸カルシウムと、水とを、アクリル樹脂エマルション:ポリビニルアルコール水溶液:炭酸カルシウム:水が、質量比で、20:15:20:45となるように混合して主剤組成物を調製する。次いで、前記主剤組成物100質量部に対し、15質量部のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを添加し、接着剤を調製する。得られた接着剤のベイマツ材に対する接着性を、日本農林規格が定める構造用集成材についての「煮沸はく離試験」の規定に従って調べ、はく離率を算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保存安定性が良好であり、得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤のポットライフが長く、且つ得られる水性高分子-イソシアネート系接着剤の接着力が高められたアクリル樹脂エマルションを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。「(メタ)アクリロキシ」や「(メタ)アクリロイル」等の用語も同様である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

株式会社日本触媒
二酸化炭素吸着剤
1か月前
株式会社日本触媒
パターン膜の製造方法
8日前
株式会社日本触媒
パターン膜の製造方法
8日前
株式会社日本触媒
N-ビニルラクタム系重合体
6日前
株式会社日本触媒
(メタ)アクリル酸の製造方法
10日前
株式会社日本触媒
(メタ)アクリル酸の製造方法
10日前
株式会社日本触媒
インクジェット印刷装置用洗浄液
1か月前
株式会社日本触媒
樹脂組成物および光学フィルター
2か月前
国立大学法人大阪大学
化合物の製造方法、及び金属多核錯体
1日前
株式会社日本触媒
シリル化ポリシルセスキオキサン、その製造方法、及びその用途
15日前
株式会社日本触媒
重合体、重合体組成物、樹脂組成物、硬化物、重合体の保存方法、及び、重合体組成物の保存方法
10日前
学校法人早稲田大学
スルフィド結合含有重合体、その製造方法、スルフィド結合含有重合体組成物、及び光学材料
今日
株式会社日本触媒
アクリル樹脂エマルション及びその製造方法、並びに該エマルションを用いた水性高分子-イソシアネート系接着剤の製造方法
2日前
ユニチカ株式会社
透明シート
20日前
株式会社カネカ
硬化性組成物
2か月前
東レ株式会社
熱硬化性樹脂組成物
24日前
東レ株式会社
引抜成形品の製造方法
17日前
花王株式会社
樹脂組成物
2か月前
東レ株式会社
ポリオレフィン微多孔膜
1か月前
東ソー株式会社
樹脂組成物および蓋材
今日
東ソー株式会社
樹脂組成物および蓋材
今日
株式会社コバヤシ
光硬化性組成物
1か月前
株式会社大阪ソーダ
熱可塑性材料用組成物
2か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
17日前
株式会社村田製作所
樹脂組成物
1か月前
アキレス株式会社
燻蒸用生分解性樹脂シート
1か月前
東亞合成株式会社
硬化性組成物
2か月前
伯東株式会社
ビニル化合物中の重合防止方法
1か月前
株式会社イーテック
組成物
1か月前
東ソー株式会社
末端変性ポリマー及び光学素子
1か月前
株式会社イーテック
組成物
1か月前
東ソー株式会社
導電性高分子溶液及びその用途
24日前
東レ株式会社
プリプレグおよびその製造方法。
2か月前
株式会社イーテック
組成物
15日前
株式会社リコー
炭素繊維含有樹脂組成物
1か月前
東レ株式会社
二軸配向ポリプロピレンフィルム
14日前
続きを見る