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公開番号2025149713
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-08
出願番号2024050521
出願日2024-03-26
発明の名称リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、修復材料、医療機器、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法
出願人国立大学法人東京科学大学,国立大学法人大阪大学,国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類A61L 27/32 20060101AFI20251001BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】高い強度を有し、且つ、低い弾性率を有するアパタイト-酸化ジルコニウム複合体、修復材料、医療機器、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】リン酸三カルシウムと式(1):Cas(PO4)t(X)uで表されるアパタイトと炭素原子とを含む原料複合体と酸化ジルコニウムとを含む(式(1)中、XはOH及びCO3からなる群から選択される少なくとも1種を表し、sは8~10の数を表し、tは4~6の数を表し、uは1~2の数を表す。)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
リン酸三カルシウムと式(1)で表されるアパタイトと炭素原子とを含む原料複合体と、酸化ジルコニウムと、を含むリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
式(1):Ca

(PO



(X)

(式(1)中、
XはOH及びCO

からなる群から選択される少なくとも1種を表し、
sは8~10の数を表し、
tは4~6の数を表し、
uは1~2の数を表す。)
続きを表示(約 820 文字)【請求項2】
前記原料複合体と前記酸化ジルコニウムの合計量に対して、前記原料複合体を5質量%~50質量%で含む、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項3】
前記酸化ジルコニウムは、酸化物を固溶させた安定化ジルコニアである、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項4】
前記酸化物は、酸化イットリウム、酸化セシウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項3に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項5】
前記酸化ジルコニウムは、主として正方晶である、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項6】
前記酸化ジルコニウムは、複合体の断面において島状を呈し、前記原料複合体は、当該断面において前記酸化ジルコニウムの周囲の少なくとも一部を囲うように配されている、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項7】
前記原料複合体は、前記リン酸三カルシウム及び前記アパタイトを含む層と前記炭素原子を含む層との積層構造である、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項8】
最大曲げ強度が320MPa以上である、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項9】
ヤング率が170GPa以下である、請求項1に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、を含む修復材料。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、修復材料、医療機器、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
水酸アパタイト(HAp)などのリン酸カルシウムは、骨の無機主成分と組成が類似していることから、医療材料、例えば人工骨等の材料として広く研究されている。非特許文献1には、リン酸三カルシウムと特定の化学式で表されるアパタイトと炭素原子とを含む複合体が開示されている。非特許文献1によれば、2価のカルボン酸イオンを有する特定の化学式で表されるリン酸八カルシウムを焼成することで、上記複合体を製造できることが開示されている。非特許文献1に開示された複合体は、上記リン酸三カルシウムと特定の化学式で表されるアパタイトの層と、上記炭素原子の層とが積層構造を呈し、これにより割れにくいといった特徴を有している。
【0003】
一方、ジルコニアとも称される酸化ジルコニウムは、常圧での融点が2715℃と高いため耐熱性セラミックスの材料として利用されている。酸化ジルコニウムは、結晶構造の相転移に伴って体積変化を起こすことに特徴がある。また、酸化ジルコニウムは、酸化イットリウム等の酸化物を固溶させると、室温において立方晶及び正方晶が安定又は準安定となる。このように、酸化物により安定化された酸化ジルコニウムは、その電気特性から、良好な伝導体として利用されている。また、酸化物により安定化された酸化ジルコニウムは、その優れた力学的特性から、人工歯根などの医療分野にも利用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Karen Kuroyama,et al.(2023)、Science and Technology of Advanced Materials,24:1,2261836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人工骨、人工歯根、これらとともに使用される医療機器等を形成するための材料としては、上述のようにリン酸カルシウムや酸化ジルコニウムが使用されてきた。これら材料については、強度及び弾性率が生体に内在する骨と同等であることが求められる。従来公知のリン酸カルシウム及びリン酸カルシウム複合体は、生体に内在する骨と比べると、十分に高い強度及び十分に低い弾性率をともに満足するものではないといった問題があった。
そこで、本開示は、従来公知のリン酸カルシウム及びリン酸カルシウム複合体よりも高い強度を有し、且つ、低い弾性率を有する、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、修復材料、医療機器、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため鋭意検討した結果、リン酸三カルシウムと特定の構造を有するアパタイトと炭素原子とを含む原料複合体と酸化ジルコニウムとの複合体が、高い強度を有し、且つ、低い弾性率を有することを見出し、本開示を完成するに至った。
【0007】
本開示は、以下を包含する。
<1> リン酸三カルシウムと式(1)で表されるアパタイトと炭素原子とを含む原料複合体と、酸化ジルコニウムと、を含むリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
式(1):Ca

(PO



(X)

(式(1)中、
XはOH及びCO

からなる群から選択される少なくとも1種を表し、
sは8~10の数を表し、
tは4~6の数を表し、
uは1~2の数を表す。)
<2> 前記原料複合体と前記酸化ジルコニウムの合計量に対して、前記原料複合体を5質量%~50質量%で含む、<1>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<3> 前記酸化ジルコニウムは、酸化物を固溶させた安定化ジルコニアである、<1>又は<2>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<4> 前記酸化物は、酸化イットリウム、酸化セシウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つである、<3>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<5> 前記酸化ジルコニウムは、主として正方晶である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<6> 前記酸化ジルコニウムは、複合体の断面において島状を呈し、前記原料複合体は、当該断面において前記酸化ジルコニウムの周囲の少なくとも一部を囲うように配されている、<1>~<5>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<7> 前記原料複合体は、前記リン酸三カルシウム及び前記アパタイトを含む層と前記炭素原子を含む層との積層構造である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<8> 最大曲げ強度が320MPa以上である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<9> ヤング率が170GPa以下である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体。
<10> <1>~<9>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、を含む修復材料。
<11> 骨又は歯の治療に使用される、<10>に記載の修復材料。
<12> <10>又は<11>に記載の修復材料、を含む医療機器。
<13> リン酸三カルシウムと式(1)で表されるアパタイトと炭素原子とを含む原料複合体と酸化ジルコニウムとを成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成する工程と、
を有するリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
式(1):Ca

(PO



(X)

(式(1)中、
XはOH及びCO

からなる群から選択される少なくとも1種を表し、
sは8~10の数を表し、
tは4~6の数を表し、
uは1~2の数を表す。)
<14> 前記成形体を得る工程と前記焼成する工程とを放電プラズマ焼結法により同時に実施する、<13>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
<15> 前記原料複合体と前記酸化ジルコニウムの合計量に対して、前記原料複合体を5質量%~50質量%とする、<13>又は<14>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
<16> 前記酸化ジルコニウムは、酸化物を固溶させた安定化ジルコニアである、<13>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
<17> 前記酸化物は、酸化イットリウム、酸化セシウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つである、<16>に記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
<18> 前記酸化ジルコニウムが主として正方晶となる、<13>~<17>のいずれか1つに記載のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高い強度を有し、且つ、低い弾性率を有するリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体、修復材料、医療機器、リン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のリン酸カルシウム-炭素原子-酸化ジルコニウム複合体を模式的に示す断面図である。
実施例1の試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真である。
比較例1の試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真である。
比較例2の試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真である。
比較例3の試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真である。
実施例1の試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真を拡大した写真である。
図3Aの写真を更に拡大した写真である。
実施例1で作製した試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真、同試料についてCaの分布を示す写真、及び同試料についてZrの分布を示す写真である。
比較例3で作製した試料を撮像した走査型電子顕微鏡写真、同試料についてCaの分布を示す写真、及び同試料についてZrの分布を示す写真である。
実施例1、比較例1及び比較例2で作製した試料に関する細胞増殖試験の結果を示す特性図である。
試験例1~試験例4で作製した試料に関するX線回折分析の結果を示す特性図である。
試験例1~試験例4で作製した試料について、擬似体液を用いた骨結合能試験の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。例えば、本開示は、趣旨を逸脱しない範囲で、数、量、位置、比率、材料、構成、種類、順番等について、付加、省略、置換、変更等が可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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