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公開番号2025100045
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023217130
出願日2023-12-22
発明の名称トランジスタ型酵素センサー
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類G01N 27/414 20060101AFI20250626BHJP(測定;試験)
要約【課題】一様態において、被測定物質を含む溶液中の前記被測定物質の濃度を経時変化も含めて選択的に高精度で測定可能なトランジスタ型酵素センサーを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、一態様において、被測定物質を含む溶液6中の被測定物質の濃度を測定するためのトランジスタ型酵素センサー1であり、電界効果型トランジスタ10と、電界効果型トランジスタ10のゲート電極13に電気接続され、溶液6に接し得る作用電極2′と、作用電極2′に各々固定された酵素および可逆的に酸化還元可能な酸化還元物質と、ソース電極11に電気接続され、溶液6に接し得る基準電極3と、前記被測定物質と酵素とが反応することで生じる酸化還元物質における酸化体と還元体の濃度変化に起因して変化するドレイン電流値の時間微分値dIds/dtを経時的に取得可能とするdIds/dt出力機構9とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被測定物質を含む溶液中の前記被測定物質の濃度を測定するためのトランジスタ型酵素センサーであり、
電界効果型トランジスタと、
前記電界効果型トランジスタのゲート電極に電気接続され、前記溶液に接し得る作用電極と、
前記作用電極に各々固定された酵素および可逆的に酸化還元可能な酸化還元物質と、
前記電界効果型トランジスタのソース電極に電気接続され、前記溶液に接し得る基準電極と、
前記被測定物質と前記酵素とが反応することで生じる前記酸化還元物質における酸化体と還元体の濃度変化に起因して変化するドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを経時的に取得可能とするdI
ds
/dt出力機構と、を含むトランジスタ型酵素センサー。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
前記酸化還元物質は、前記作用電極に接して配置された酸化還元層を構成し、前記酵素は、前記酸化還元層に接して配置された酵素固定化層を構成している、請求項1に記載のトランジスタ型酵素センサー。
【請求項3】
前記酸化還元層が導電性炭素材料を含む、請求項1または2に記載のトランジスタ型酵素センサー。
【請求項4】
前記導電性炭素材料がカーボンナノチューブを含む、請求項3に記載のトランジスタ型酵素センサー。
【請求項5】
前記トランジスタ型酵素センサーは、
前記時間微分値dI
ds
/dtから前記基質の濃度の絶対値を算出するための下記線形関数(i)が格納された記憶部と、
前記線形関数(i)から、前記時間微分値dI
ds
/dtに対応する前記基質の濃度の絶対値を経時的に算出する中央処理部と、をさらに含む、請求項1から4のいずれかの項に記載のトランジスタ型酵素センサー。
JPEG
2025100045000009.jpg
17
159
上記線形関数(i)中、Idsはドレイン電流値、[M]は被測定物質の濃度、[OX]
0
は初期の酸化体の濃度、[RED]
0
は初期の還元体の濃度、Rは気体定数、Tは温度(K)、Fはファラデー定数、zは酸化体1分子の酸化還元反応で移動する電子の数、Dは作用電極の厚み、kは反応速度定数である。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの項に記載のトランジスタ型酵素センサーを用いた被測定物質の測定方法であり、
前記作用電極と前記基準電極の両方に前記被測定物質を含む溶液を接触させること、
ドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを経時的に取得すること、を含む、被測定物質の測定方法。
【請求項7】
前記時間微分値dI
ds
/dtの取得は、前記電界効果型トランジスタが線形動作領域において動作した状態で行われる、請求項6に記載の被測定物質の測定方法。
【請求項8】
前記トランジスタ型酵素センサーは、
前記時間微分値dI
ds
/dtから前記基質の濃度の絶対値を算出するための下記線形関数(i)が格納された記憶部と、
前記線形関数(i)から、前記時間微分値dI
ds
/dtに対応する前記基質の濃度の絶対値を経時的に算出する中央処理部と、をさらに含み、
前記時間微分値dI
ds
/dtと下記線形関数(i)を用いて前記被測定物質の濃度の絶対値を算出すること、をさらに含む請求項7又は8に記載の被測定物質の測定方法。
JPEG
2025100045000010.jpg
17
159
上記線形関数(i)中、Idsはドレイン電流値、[M]は被測定物質の濃度、[OX]
0
は初期の酸化体の濃度、[RED]
0
は初期の還元体の濃度、Rは気体定数、Tは温度(K)、Fはファラデー定数、zは酸化体1分子の酸化還元反応で移動する電子の数、Dは作用電極の厚み、kは反応速度定数である。
【請求項9】
トランジスタ型酵素センサーを用いた被測定物質の測定方法であり、
トランジスタ型酵素センサーは、
電界効果型トランジスタと、
前記電界効果型トランジスタのゲート電極に電気接続され、前記被測定物質を含む溶液に接し得る作用電極と、
前記作用電極に各々固定された酵素および可逆的に酸化還元可能な酸化還元物質と、
前記電界効果型トランジスタのソース電極に電気接続され、前記溶液に接し得る基準電極と、
前記被測定物質と前記酵素とが反応することで生じる前記酸化還元物質における酸化体と還元体の濃度変化に起因して変化するドレイン電流値を経時的に計測可能とする、電流測定部と、
計測されたドレイン電流値の経時情報を前記ドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを算出可能とする外部の情報処理端末に送信するための通信用インターフェースと、を含み、
前記測定方法は、
前記作用電極と前記基準電極の両方に前記溶液を接触させること、
前記電流測定部により前記ドレイン電流値を経時的に取得すること、
前記ドレイン電流値の経時情報を前記情報処理端末に送信し、前記情報処理端末にて前記ドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを得ること、を含む被測定物質の測定方法。
【請求項10】
前記ドレイン電流値の取得は、前記電界効果型トランジスタが線形動作領域において動作した状態で行われる、請求項9に記載の被測定物質の測定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、酵素を用いた特定物質(被測定物質)用のセンサーおよびそれを用いた特定物質の濃度の測定方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりに伴い、身体の状態をモニターするために、汗、唾液、尿、涙、血液等の生体液中の有機物質を選択的に検出するセンサーのニーズが高まっており、中でも血液採取を行わないような被験者の身体を傷つけない非侵襲的な測定が注目されている。非侵襲測定可能な生体液中では血液中よりも有機物質濃度が低い傾向にあり、そのため、より高感度なセンサーが求められている。この種のセンサーとしては、トランジスタの増幅作用と酵素の高い選択性とを利用し、選択的に高感度の有機物質の検出が可能な、トランジスタ型酵素センサーが有力候補とされている。
【0003】
特許文献1では、酵素反応によって発生するプロトンを、作用電極上のプロトン感応膜で捕捉したときに発生する定常電位ΔV∞を、初期の電位の変化速度から推定して、基質濃度を測定している。特許文献2には、酵素から作用電極への電子の移動を媒介する酸化還元物質の酸化還元反応を可逆にするために、作用電極と参照電極の間に外部抵抗を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭64-88244号公報
特開2019-158650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の酵素センサーでは、pH感応膜上に酵素が固定化された作用電極を含み、作用電極の電位が経時で定常電位(一定電位)に落ち着くことを利用している。特許文献1に開示の酵素センサーでは、定常電位に落ち着くまでに時間がかかる問題があった。具体的には、特定の線形関数からΔV∞を推定値として計算し、測定時間を短縮している。しかし、この方法では、測定溶液中の被測定物質の濃度の経時変化を計測することができないという問題点があった。また、イオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET)を用いた検出では、酵素反応で発生したプロトンが被測定溶液で緩衝され電位変化が小さくなりやすいために、検出精度が低いといった課題もあった。
【0006】
特許文献2では、作用電極上に可逆的に酸化還元可能な酸化還元物質と酵素とを固定化することで酵素の反応を酸化還元物質で媒介し、酸化還元物質の酸化還元電位を電界効果トランジスタなどの増幅器で増幅した信号を測定することにより、被測定物質の濃度の経時変化を測定可能な酵素センサーを作成している。酵素反応に起因して生じる酸化還元物質の反応は、酸化または還元の一方向のみであり、酵素反応が継続する限り、作用電極の電位は上昇または下降をつづけ、一定の電位に落ち着くことがない。そこでこの酵素センサーでは、作用電極と参照電極とを外部抵抗で接続することで、電子伝達メディエータである酸化還元物質の自発的な再生反応(酸化あるいは還元反応)を促し、上記の一定電位に落ち着かない問題を解決している。しかし、参照電極に電流を流すことで参照極電電位を変化させるので測定精度が低下するという問題、さらには参照電極に電流を流すことにより参照電極が破損する恐れがあるという問題があった。
【0007】
本開示は、一様態において、被測定物質を含む溶液中の前記被測定物質の濃度を経時変化も含めて選択的に高精度で測定可能なトランジスタ型酵素センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、一態様において、
被測定物質を含む溶液中の前記被測定物質の濃度を測定するためのトランジスタ型酵素センサーであり、
電界効果型トランジスタと、
前記電界効果型トランジスタのゲート電極に電気接続され、前記溶液に接し得る作用電極と、
前記作用電極に各々固定された酵素および可逆的に酸化還元可能な酸化還元物質と、
前記電界効果型トランジスタのソース電極に電気接続され、前記溶液に接し得る基準電極と、
前記被測定物質と前記酵素とが反応することで生じる前記酸化還元物質における酸化体と還元体の濃度変化に起因して変化するドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを経時的に出力可能とするdI
ds
/dt出力機構と、を含むトランジスタ型酵素センサーに関する。
【0009】
尚、本開示において「被測定物質の濃度」は、被測定物質の濃度の絶対値のみならず相対値も含み、例えば、被測定物質の濃度の絶対値の算出に使用できる、被測定物質の濃度の絶対値と線形関係にある前記時間微分値dI
ds
/dtも含む概念である。
【0010】
本開示は、一態様において、本発明のトランジスタ型酵素センサーを用いた、被測定物質の測定方法であり、
作用電極と基準電極の両方に被測定物質を含む溶液を接触させること、
ドレイン電流値の時間微分値dI
ds
/dtを経時的に取得すること、を含む、被測定物質の測定方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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