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公開番号
2025117762
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-13
出願番号
2024012656
出願日
2024-01-31
発明の名称
非線形光学用積層体の製造方法
出願人
国立研究開発法人情報通信研究機構
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
G02F
1/061 20060101AFI20250805BHJP(光学)
要約
【課題】本発明は、非線形光学用積層体を歩留まり良く製造することが可能である、非線形光学用積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】目的基板上に位置する電気光学ポリマー層を備える非線形光学用積層体の製造方法であって、支持基板、光吸収層、第1電極、電気光学ポリマー層、第2電極がこの順で積層された、第1積層体を準備する第1工程と、第1積層体の電気光学ポリマー層に対しポーリング処理を実行する第2工程と、1積層体から第2電極を除去することにより第2積層体を得る第3工程と、目的基板を第2積層体における第2電極と接していた面上に積層することにより第3積層体を得る第4工程と、第3積層体から支持基板をレーザー剥離することで支持基板を除去することにより第4積層体を得る第5工程と、第4積層体から光吸収層および第1電極を除去することにより非線形光学用積層体を得る第6工程と、をこの順で含む。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
目的基板と、前記目的基板上に位置する電気光学ポリマー層と、を備える、非線形光学用積層体の製造方法であって、
支持基板、光吸収層、第1電極、電気光学ポリマー層、および第2電極がこの順で積層された、第1積層体を準備する第1工程と、
前記第1積層体の前記電気光学ポリマー層に対しポーリング処理を実行する、第2工程と、
前記第1積層体から前記第2電極を除去することにより、第2積層体を得る、第3工程と、
前記目的基板を、前記第2積層体における前記第2電極と接していた面上に積層することにより、第3積層体を得る、第4工程と、
前記第3積層体から、前記支持基板をレーザー剥離することで、前記支持基板を除去することにより、第4積層体を得る、第5工程と、
前記第4積層体から、前記光吸収層および前記第1電極を除去することにより、非線形光学用積層体を得る、第6工程と、をこの順で含む、非線形光学用積層体の製造方法。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記光吸収層は、第1樹脂からなる、請求項1に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項3】
前記第1樹脂のガラス転移温度は、前記電気光学ポリマー層のガラス転移温度より高い、請求項2に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第1樹脂の熱変形温度は、前記電気光学ポリマー層のガラス転移温度より高い、請求項2または請求項3に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項5】
前記第1樹脂は、ポリイミドである、請求項2または請求項3に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項6】
前記第1積層体において、前記第1電極および前記電気光学ポリマー層の間に第1チャージブロッキング層が更に積層されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項7】
前記第6工程において、前記第4積層体から更に前記第1チャージブロッキング層を除去する、請求項6に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項8】
前記第1積層体において、前記電気光学ポリマー層および前記第2電極の間に第2チャージブロッキング層が更に積層されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項9】
前記第3工程において、前記第1積層体から更に前記第2チャージブロッキング層を除去する、請求項8に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
【請求項10】
前記第4工程において、前記第2積層体と前記目的基板との間に封止膜層を更に積層し、
前記非線形光学用積層体は、前記目的基板と、前記電気光学ポリマー層との間に位置する前記封止膜層を更に備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非線形光学用積層体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形光学用積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
電気光学ポリマーは、ニオブ酸リチウムおよびテルル化亜鉛等の無機非線形光学材料、並びにDAST(4-N,N-ジメチルアミノ-4’-N’-メチル-スチルバゾリウムトシレート)等の有機非線形光学材料と比較して大きな電気光学係数を有する非線形光学材料(電気光学材料)である。電気光学ポリマーは、電気光学係数と屈折率とを考慮に入れた電気光学効果についての性能指数(n
3
r;n:非線形光学材料(電気光学材料)の屈折率、r:電気光学係数)(非特許文献3)が他の材料よりも大きくなり得ることから、電気光学効果による高効率な光位相変調や光変調を実現できる。また、結晶性の非線形光学材料がテラヘルツ波(周波数が0.1~20THzである電磁波)の帯域において結晶格子振動に起因する大きな吸収係数を有するのに対して、電気光学ポリマーはテラヘルツ波帯の広帯域において吸収係数が小さい。その為、電気光学ポリマーは広帯域のテラヘルツ波の発生、検出に使用することができる。また、電気光学ポリマーは、光領域からテラヘルツ波帯、ミリ波帯およびマイクロ波帯の間での屈折率の差が小さい。その為、電気光学ポリマーを含む非線形光学素子(電気光学素子を含む)は、光領域からテラヘルツ波帯、ミリ波帯、およびマイクロ波帯を含む幅広い周波数の電磁波に含まれる2種類以上の電磁波を効率的に相互作用させることができる。また、電気光学ポリマーを含む非線形光学素子(電気光学素子を含む)は効率的な周波数変換、電磁波の位相変調等を行うことができる。このような観点から、電気光学ポリマーは、次世代の光通信、無線通信、および電磁波センシング等を担う材料として注目されている。
【0003】
電気光学ポリマーの種類には、(1)母体となるポリマー(以下、「マトリックスポリマー」という場合がある。)と2次非線形光学効果を発揮する化合物(以下、「電気光学分子」という場合がある。)とを混合したゲスト・ホスト型の電気光学ポリマー、(2)基本骨格となるポリマー(以下、「ベースポリマー」という場合がある。)の側鎖に電気光学分子が共有結合したサイドチェーン型の電気光学ポリマー、(3)ベースポリマーの主鎖中に電気光学分子が共有結合した主鎖型の電気光学ポリマー、(4)マトリックスポリマー間若しくはベースポリマー間、または、マトリックスポリマー若しくはベースポリマーと電気光学分子等との間で架橋したクロスリンク型の電気光学ポリマー、(5)モレキュラーガラス型の電気光学ポリマー等がある。電気光学ポリマーは、高性能な2次非線形光学材料として知られている。また、電気光学ポリマーは、2次非線形光学効果を発揮する。
【0004】
2次非線形光学効果には、第2次高調波発生、光整流、和周波発生、差周波発生、光パラメトリック発振・増幅、電気光学効果(ポッケルス効果)等が含まれる。このような2次非線形光学効果によって、様々な周波数の電磁波の周波数(波長)変換、電場による電磁波の位相の制御等が、電気光学ポリマーを含む非線形光学素子において達成される。具体例としては、2つ以上の周波数を含むレーザー光を2次非線形光学効果によって周波数変換することでテラヘルツ波を発生することができる。また、1つ以上の周波数を含むレーザー光とテラヘルツ波とを2次非線形光学効果によって周波数変換することで、レーザー光の周波数が変化し、その周波数変化したレーザー光を検出することで、テラヘルツ波を検出することができる。また、電気光学効果による屈折率変化を用いることで、テラヘルツ波、電界を検出することができる。また、電気光学効果による屈折率の変化を用いることで電磁波の位相変調を行うことができる。
【0005】
電気光学ポリマーが、2次非線形光学効果を発揮する為には、電気光学ポリマーに含まれる電気光学分子の向きを出来るだけ同じ方向に揃える(配向する)必要がある。この処理をポーリング処理という。ポーリング処理を行う方法として、電気光学ポリマー層の上部と下部とにポーリング電極を配置した構造を作製し、電気光学ポリマー層に含まれる電気光学ポリマーのガラス転移温度近くまで加熱し、電極間に電圧を加える方法がある。ポーリング処理時の電気光学ポリマー層に印加される電界は、典型的には100V/μm~200V/μmである。また、下部電極上に積層された電気光学ポリマー層にコロナ放電を行うことでポーリング処理を行う方法がある。ポーリング処理のときに、電気光学ポリマーを電気光学ポリマーのガラス転移温度近くまで加熱することで、電気光学ポリマーが軟化し、電気光学ポリマー中の電気光学分子が電界により動き易くなる為、電気光学分子が配向し易くなる。また、電気光学ポリマーのガラス転移温度が高いほど、製造された非線形光学素子の耐熱性が向上するとともに、熱による電気光学分子の配向緩和が起こりにくくなることから、長期の熱安定性が向上する。電気光学ポリマーのガラス転移温度は、典型的には、50℃~200℃である。電気光学ポリマー層は、スピンコート法等で簡便に成膜することができる。電気光学ポリマー層は、フォトリソグラフィー、ドライエッチング等の微細加工プロセスを用いることで、導波路に加工することができる。
【0006】
従来の電気光学ポリマーを含む非線形光学素子の製造方法では、例えば、下部電極上にゾルゲルガラスなどの導電性のクラッド層を形成し、その上に電気光学ポリマー層(もしくは電気光学ポリマー導波路構造)を形成し、その上に上部電極を形成し、下部電極と上部電極の間に電圧を印加することで電気光学ポリマー層のポーリングが行われていた(非特許文献1)。電気光学ポリマー層の効率的なポーリングを行う為には、下部電極と電気光学ポリマー層の間に電気光学ポリマー層よりも大きな導電性を有する導電性のクラッド層が存在することがクラッド層における電圧降下を抑制する観点から必須である。しかしながら、この方法で作製した非線形光学素子は、テラヘルツ波の吸収損失が大きい導電性のクラッド材料を有する為、テラヘルツ波の吸収損失が大きく、高効率なテラヘルツ波を利用する非線形光学素子を作製することが困難であった。また、下部電極が必要であるとともにポーリングが適切に行えるような距離と位置に下部電極を配置する必要があるなどの電極の配置に関する制約があった。つまり、クラッド層としてテラヘルツ波の吸収損失が少ない材料(例えば、シクロオレフィンポリマー)や絶縁材料等の任意の材料を有する非線形光学素子や、下部電極を持たない非線形光学素子、自由な距離と位置に下部電極等が配置された非線形光学素子の製造が困難であった。そこで、予めポーリング処理を行った電気光学ポリマーを任意の目的基板上へ転写することで非線形光学用積層体やそれを用いた非線形光学素子を製造する方法が提案されている(非特許文献2、4)。この方法を用いることで、クラッド層としてテラヘルツ波の吸収損失が少ない材料や絶縁材料等の任意の材料を有する非線形光学素子や、下部電極を持たない非線形光学素子、自由な距離と位置に下部電極等が配置された電気光学ポリマーを含む非線形光学素子の製造が可能である。
【0007】
電気光学ポリマーを含む非線形光学素子は、「非線形光学用積層体」を用いることにより製造することができる。「非線形光学用積層体」とは、非線形光学素子の製造に用いられる積層体を意味する。従来の非線形光学用積層体の製造方法では、ポーリング処理された電気光学ポリマー層が、ポーリング電極を有する支持基板側の界面から引張剥離され、目的基板上へ転写されていた(特許文献1、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開WO2019/039530号
【非特許文献】
【0009】
Y Enami,et al.,“Hybrid polymer/sol-gel waveguide modulators with exceptionally large electro-optic coefficients”,Nat.Photonics 1,180-185(2007).
Takahiro Kaji,et al.,“Terahertz-wave generation devices using electro-optic polymer slab waveguides and cyclo-olefin polymer clads”,Optics Express Vol.26,Issue 23,pp.30466-30475(2018).
“Organic Electro-Optics and Photonics”(L. R. Dalton,et al.,Cambridge University Press(2015)).
Takahiro Kaji,et al.,“D-band optical modulators using electro-optic polymer waveguides and non-coplanar patch antennas”,Optics Express Vol.31,Issue 11,pp.17112-17121(2023).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の非線形光学用積層体の製造方法においては、電気光学ポリマー層の転写の際に、電気光学ポリマー層を、ポーリング電極を有する支持基板から機械的に引張剥離することに起因して、目的基板として小片基板や大面積のウエハ基板などを用いた場合に、電気光学ポリマー層を、ポーリング電極を有する支持基板から均質に剥離することが困難な場合があった。電気光学ポリマー層を、ポーリング電極を有する支持基板から均質に剥離することができない場合、非線形光学用積層体の電気光学ポリマー層においてクラックなどの欠陥構造を生じ易くなるという観点から、非線形光学用積層体を歩留まり良く製造することが困難な場合があった。
(【0011】以降は省略されています)
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