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公開番号2025122383
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-21
出願番号2024017819
出願日2024-02-08
発明の名称電池パック
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類H01M 50/581 20210101AFI20250814BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】 筐体2内に複数のセルを含む電池スタック3と、スタックの電極端子4+、4-と機械的に連結されることにより電気的に導通した導体部材5+、5-、6とを収納した電池パック1に於いて、できるだけコンパクトな構成にて、筐体内の異常な発熱時或いは異常な高温時にスタックと導体部材との接続を分離できるようにする。
【解決手段】 電池パック1には、所定の温度を上回る環境下に於いて変形する形状記憶合金から成る分離用部材13が、所定の温度を下回る環境下に於いてスタックの電極端子と導体部材との間にてスタックの電極端子と導体部材との機械的連結を許す状態にあり、所定の温度を上回る環境下に於いて変形して、スタックの電極端子と導体部材との機械的連結を破断して電極端子と導体部材との間の電気的導通を遮断するよう配置されている。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
筐体内に複数のセルを含む電池スタックと、前記スタックの電極端子と機械的に連結されることにより電気的に導通した導体部材とを収納した電池パックであって、所定の温度を上回る環境下に於いて変形する形状記憶合金から成る分離用部材が、前記所定の温度を下回る環境下に於いて前記スタックの電極端子と前記導体部材との間の機械的連結を許し、前記所定の温度を上回る環境下に於いて変形して、前記スタックの電極端子と前記導体部材との機械的連結を破断して前記電極端子と前記導体部材との間の電気的導通を遮断するように前記スタックの電極端子と前記導体部材との間に配置されている電池パック。
続きを表示(約 550 文字)【請求項2】
請求項1の電池パックであって、前記導体部材が前記電池スタックの負極端子と前記電池パックの出力端子との間を電気的に接続する総-バスバーであり、前記スタックの電極端子と前記バスバーとの間の機械的連結が、前記総-バスバーと前記電池スタックの前記負極端子との間の機械的連結である電池パック。
【請求項3】
請求項1の電池パックであって、前記スタックの電極端子と前記導体部材との間の機械的連結が、前記スタックの電極端子と前記導体部材の端部とをボルトにて互いに締結することにより成され、前記所定の温度を上回る環境下に於いて前記分離用部材が前記ボルトの軸部を切断することにより、前記スタックの電極端子と前記導体部材の前記端部とが分離され、前記機械的連結が破断される電池パック。
【請求項4】
請求項3の電池パックであって、前記所定の温度を上回る環境下に於いて前記分離用部材が前記ボルトの軸部の側方からせん断力を与えて前記ボルトの軸部を切断するよう配置されている電池パック。
【請求項5】
請求項1の電池パックであって、前記所定の温度を上回る環境下に於いて前記分離用部材が前記導体部材の端部を切断することにより前記機械的連結が破断される電池パック。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを含む電池スタックを収納した電池パックに係り、より詳細には、電池パックの出力端子と電池スタックとの間及び電池スタック間を接続するバスバー、導線、ケーブル、ワイヤハーネスなど(以下、これらを総じて「導体部材」と称する。)に於けるフェールセーフのための構造に係る。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
電動車等の種々の機械器具に駆動用又は作動用として搭載される電池パックに於いては、発熱時に電池パックの外部と電池セルとの間の導通を遮断するフェールセーフのための構造が種々の態様にて設けられている。例えば、特許文献1に於いては、二次電池の正極電極端子に於いて、かかる端子を構成するボルトの軸部に形状回復温度となった場合に当該軸部の軸線方向に伸びる感熱変形部材が取り付けられ、発熱時に感熱変形部材が伸びて、軸部が引きちぎられ、電極端子が破断され、電池セルと外部との導通が遮断される構成が提案されている。特許文献2では、複数の円筒状のバッテリーセルがパックケース内に配置されている構成に於いてセルの電極端子間を接続する導電部材の一方の端が一方のセルの電極端子に固定され、他方の端が通常温度に於いて他方のセルの電極端子に接触し、温度が上がると、接触していた電極端子から浮き上がり、セルと外部との導通が遮断される構成が開示されている。また、電池パックの構成ではないが、特許文献3に於いては、車載電気接続箱などに、電源に接続される入力部から複数の出力部へ分岐したバスバーに於いて、各出力部にヒューズ部が一体に設けられ、大電流が流れた際にヒューズ部が溶断し、出力部への導通が遮断される構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013-211144
特開2023-535657
特開2002-51432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に模式的に描かれている如く、電池パック1の筐体2内に、複数の電池スタック3(以下、「スタック」と称する。)が収納されている構成に於いては、図5の如く、スタック3の電極端子(4+、4-)は、導体部材6と機械的に連結されることで電気的に接続され、複数のスタック3の群の端の正極端子4+及び負極端子4-は、それぞれ、導体部材である総+(プラス)バスバー5+及び総-(マイナス)バスバー5-に機械的に連結されることで電気的に接続され、総+バスバー5+と総-バスバー5-とは、それぞれ、ジャンクションボックス7+、7-及び導線8+、8-を介して、モータなどの電気機器DMへ電力を伝送する出力端子(正極、負極)9へ接続される。ジャンクションボックス7+、7-には、総+バスバー5+及び総-バスバー5-と出力端子9の正極及び負極との間の選択的に導通と遮断を実行する機能を果たすリレーが設けられており、リレーの作動を制御することにより、出力端子9からの電力の出力が制御されることとなる。また、セルやスタックの異常が発生したときには、スタックの電圧が出力端子9へ伝達しないように、ジャンクションボックス7+、7-のリレーが、それぞれ、総+バスバー5+と導線(導体部材)8+との間、及び、総-バスバー5-と導線(導体部材)8-との間の導通を遮断するよう構成されている。
【0005】
この点に関し、ジャンクションボックス7+、7-のリレーは、例えば、何等かの要因による筐体2の衝撃や変形(電池パックが車両に搭載されている場合に、車両の障害物との接触時などに生じ得る筐体の損傷など)によりパック内で異常な短絡が生じて異常な発熱が生ずる場合や、スタック3に於ける熱拡散現象(セル内部の短絡などにより熱、高温デブリのセル外への連鎖的な放出現象)に備えて、もしそのような異常が発生した場合にも、総+バスバー5+及び総-バスバー5-と出力端子9との間の導通を遮断できるよう構成されている。しかしながら、通常、総+バスバー5+とスタック3の正極端子4+との接続部分10a、及び、総-バスバー5-とスタック3の負極端子4-との接続部10bとの接続部分10bでは、バスバーとスタックの電極とは常に導通したままであるので(図5参照)、ジャンクションボックス7+、7-のリレーでの導通が遮断されても、バスバー5+、5-全体にはスタックの電圧が印加されたままとなる。そして、バスバーは、通常、その周囲と短絡しないように絶縁性被覆が施されるか、周囲と間隔を取って配置されるところ、筐体2内が異常な高温となってバスバーの絶縁性被覆が取れてしまったり、筐体2内の構成要素が変形や変位することで、バスバーが周囲と短絡したときには、電池電圧が、本来、それがかからないはずの部位に印加されることとなり得る。特に、複数のスタック3の端の負極とジャンクションボックス7-とを繋ぐ総-バスバー5-は、一般に、その延在距離が比較的長いので、その分、周囲との短絡が生ずる機会が多くなり得る。このような状況を回避するために、筐体2内の異常な発熱時、或いは、異常な高温時には、ジャンクションボックス7+、7-のリレーだけでなく、総-バスバー5-とスタック3の負極端子4-との接続部10bに於いて、或いは更に、総+バスバー5+とスタック3の正極端子4+との接続部部分10aやスタック間を接続する導体部材6とスタック電極端子との接続部部分11に於いても、スタック3の電極端子(4+、4-)と、バスバーなどの導体部材(5+、5-、6)との導通も遮断されるようになっていることが好ましい。その際、スタックとバスバーなどの導体部材との間には、あまりスペースがないので、それらの導通の遮断機構は、できるだけコンパクトに構成できることが好ましい。
【0006】
かくして、本発明の主な課題は、上記の如き電池パックに於いて、できるだけコンパクトな構成にて、筐体内の異常な発熱時、或いは、異常な高温時にスタックとバスバーなどの導体部材との接続を分離できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の課題は、筐体内に複数のセルを含む電池スタックと、前記電池スタックの電極端子と機械的に連結されることにより電気的に導通した導体部材とを収納した電池パックであって、所定の温度を上回る環境下に於いて変形する形状記憶合金から成る分離用部材が、前記所定の温度を下回る環境下に於いて前記スタックの電極端子と前記導体部材との間にて前記スタックの電極端子と前記導体部材との機械的連結を許す状態にあり、前記所定の温度を上回る環境下に於いて変形して、前記スタックの電極端子と前記導体部材との機械的連結を破断して前記電極端子と前記導体部材との間の電気的導通を遮断するよう配置されている電池パックによって達成される。
【0008】
上記の構成に於いて、「電池パック」とは、既に述べた如く、電動車又はその他の機械器具に、その駆動用又は作動用として搭載される、筐体の内部に電池を収容したものである。筐体は、この分野で通常使用される形式の筐体であってよい。セルは、電動車又はその他の機械器具の駆動用又は作動用として用いられる電池のセルであり、電池スタックは、典型的には、複数のセルを積層して、直列に接続して構成される。本実施形態の対象となる電池パックには、典型的には、複数のスタックが収容され、電気的に直列又は並列に接続されて、それらの正極の側の端に接続されたスタックの正極端子と、それらの負極の側の端に接続された負極端子が、それぞれ、バスバー(総+バスバー、総-バスバー)を介して、電池パックの出力端子へ接続される。また、複数の電池スタックの電極端子間もそれぞれ導体部材を介して接続される。導体部材は、導体又は導線であって、典型的には、端部を除いて、絶縁性の被覆が施されていてよい。なお、「バスバー」の語は、総+バスバー、総-バスバー、スタック間に接続されるバスバーを含むものとする。また、総+バスバー、総-バスバーは、典型的には、リレー機能を有するジャンクションボックスを介して電池パックの出力端子に接続されてよい。
【0009】
上記の如き電池パックの構成に於いて、本発明の場合には、スタックの電極端子とバスバーなどの導体部材との間にて、通常の温度環境下に於いて、スタックの電極端子と導体部材との機械的連結を許す状態に在り、所定の温度を上回る環境下に於いては、変形して、スタックの電極端子と導体部材との機械的連結を破断し、電極端子と導体部材との間の電気的導通を遮断するように、所定の温度を上回る環境下に於いて変形する形状記憶合金から成る「分離用部材」が配置される。ここで、所定の温度は、形状記憶合金を適宜選択して設定されるところ、電池パック内の温度として異常に高温であると判断される温度に設定されてよい。かかる構成によれば、電池パックが衝撃を受けるなどして、異常な短絡の発生による発熱の場合、或いは、既に触れた如き熱拡散現象の発生の場合には、筐体内の温度が高温となるところ、これに応答して、形状記憶合金から成る分離用部材が変形して、スタックの電極端子と導体部材との機械的連結を破断し、電極端子と導体部材との間の電気的導通を遮断することとなり、導体部材に電池電圧が印加したままとなることが回避され、導体部材の導電性部分の想定外の周囲の接触による電池電圧の周囲への伝達が防止される。また、本発明の構成の場合には、形状記憶合金から成る分離用部材をスタックの電極端子と導体部材との間に上記の如く配置するだけでよいので、ジャンクションボックス等で利用されるリレー回路素子を用いる場合に比して小さなスペースで、上記の如き異常な高温時の遮断機構が達成できる点でも有利である。
【0010】
上記の構成に於いて、より詳細には、スタックの電極端子とバスバーなどの導体部材との間の機械的連結は、スタックの電極端子と導体部材の端部とをボルトにて互いに締結することにより成され、所定の温度を上回る環境下に於いて分離用部材がボルトの軸部を切断することにより、スタックの電極端子と導体部材の端部とが離隔され、機械的連結が解除されてよい。かかる構成の場合、分離用部材が、スタックの電極端子と導体部材の端部とを締結するボルトの軸部を直接に破断するので、機械的連結が容易に解除され、電気的接続も解除できることとなる。なお、ボルトの軸部の破断は、ボルトの軸方向両側へ引っ張ることにより行われてもよいが、軸部の側方からせん断力を与えて軸部を二つに切断するように行われてもよい。通常のボルトであれば、後者の方が切断に要する力は小さくて済むこととなる点で有利である。
(【0011】以降は省略されています)

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