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公開番号2024176542
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095127
出願日2023-06-08
発明の名称光音響波発生シート、光音響計測方法、光学的硬さ計測方法
出願人国立大学法人浜松医科大学
代理人個人
主分類G01N 3/40 20060101AFI20241212BHJP(測定;試験)
要約【課題】高強度のパルス光や特殊なシャーレを用いなくても、試料加振のための光音響波を効率よく発生できる光音響波発生シートを提供する。
【解決手段】本発明の光音響波発生シート71は、試料接触体3の第1面3aに接触配置された試料2の光音響計測に使用される。このシート71は第1面3aの反対側にある第2面3bに接触配置される。このシート71は、光反射体73、光吸収体74、光音響波発生体72を備える。光反射体73は、計測光L2を反射する。光吸収体74は、光反射体73からシート71の面方向にずれた位置に存在し、励起用のパルス光L1を吸収して熱エネルギーに変換する。光透過性の光音響波発生体72は、光吸収体74に接触して配置され、光吸収体74よりも熱膨張係数が大きい。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
試料接触体の第1面に接触して配置された試料を光音響計測するために、前記第1面の反対側にある第2面に接触して配置される光音響波発生シートであって、
計測光を反射する光反射体と、
前記光反射体から前記シートの面方向にずれた位置に少なくとも存在し、励起用のパルス光を吸収して熱エネルギーに変換する光吸収体と、
前記光吸収体に接触して配置され、前記光吸収体よりも熱膨張係数が大きい光透過性の光音響波発生体と
を備えた光音響波発生シート。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記光音響波発生体は、前記光反射体及び前記光吸収体を覆うとともに、それらよりも広面積にかつ均一な厚さで形成された透明樹脂層であることを特徴とする請求項1に記載の光音響波発生シート。
【請求項3】
前記光反射体は、金属層であり、
前記光吸収体は、光を吸収する無機微粒子が分散された微粒子分散層である
ことを特徴とする請求項2に記載の光音響波発生シート。
【請求項4】
前記光音響波発生シートは、全体として可撓性を有するとともに、前記試料接触体の前記第1面に対して貼付及び剥離可能な光音響波発生テープであることを特徴とする請求項3に記載の光音響波発生シート。
【請求項5】
前記シートの片側面に形成された光透過性の粘着層と、
前記粘着層を覆うように剥離可能に形成された保護層と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
【請求項6】
前記光反射体は、前記光音響波発生シートの面積の50%未満の面積を占めるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
【請求項7】
前記光反射体及び前記光吸収体はそれぞれ複数形成され、
複数の前記光反射体同士の隙間、及び複数の前記光吸収体同士の隙間は、いずれも前記試料の大きさよりも小さい
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
【請求項8】
前記光吸収体の大きさは、発生する光音響波の波長よりも大きく、
前記光吸収体及び前記光音響波発生体の厚さは、いずれも発生する光音響波の波長以上である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
【請求項9】
前記試料接触体はプラスチックシャーレの底部であり、前記試料は細胞であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
【請求項10】
前記試料接触体は内視鏡の先端に設けられる先端配置部材であり、前記試料は生体内組織であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響波発生シート、光音響計測方法、光学的硬さ計測方法に関するものである。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
一般的に機械物性は、試料に外力を与えてその変位を計測することにより求めることができる。ただし、試料が小さな単一の細胞である場合、外力に対する耐久性が極めて弱く破壊しやすいため、変位を計測することは難しい。細胞の機械物性を計測するための従来の手法としては、例えば原子間力顕微鏡を使用して機械物性を計測する手法がある。しかし、探針を細胞に接近させる必要があることから、細胞の汚染や損傷が懸念され、機械物性を計測するための有効な手法とは言えない。また、原子間力顕微鏡を用いた手法は、通常の光学顕微鏡を用いた細胞観察とは全く異なるものであるため、生物分野の研究者が使用するにあたって障壁が大きい。
【0003】
このような欠点を解消するためには、細胞培養用のシャーレを密閉して培養環境を保持した状態にして非接触で細胞の機械物性を計測できる手法の確立が不可欠とされている。このような事情のもと、本願発明者らは、細胞培養用のプラスチックシャーレを加振しその変位を光学的に計測することで、細胞の硬さを計測する方法を従来提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-163812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願発明者らが行った実験によると、光学式硬さ計測の実現にあたり、加振のために30μJ/pulse程度の強いパルス光が必要なことが明らかとなっている。パルス光による加振では、パルス幅10ナノ秒程度のパルス光を用いる必要がある。このようなパルス光をポリスチレン等からなるプラスチックシャーレに照射すると、光吸収によってプラスチックシャーレの温度が瞬時に上昇し体積膨張することで、光音響波が得られる。ところが、細胞の培養時によく使用される一般的なプラスチックシャーレは、パルス光のうち5%程度しか吸収しない。そのため、パルス光を光音響波に変換する効率が5%以下となる。
【0006】
本願発明者らは、光学式硬さ計測の実現にあたり、光の分布を調整することで、細胞にダメージを与えずに強いパルス光を照射する手法を検討していた。しかしながら、強いパルス光を得るためには大きなパルス光発生ユニットが必要となり、装置全体の大規模化が避けられない。それに加えて、シャーレについても計測に適した特殊なものを選定する必要がある。
【0007】
その一方で、計測に使用するシャーレの選定にあたっては、研究者の好みや実験との相性がある。このため、シャーレの種類を限定することなく多種類のシャーレで硬さ計測が実現できたほうが好ましいという事情もある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高強度のパルス光や特殊なシャーレを用いなくても、試料加振のための光音響波を効率よく発生させることができる光音響波発生シートを提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の好適な光音響波発生シートを用いることで、比較的低コストかつ容易に所望とする計測を非接触で行うことができる光音響計測方法、光学的硬さ計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段を下記[1]~[12]に列挙する。
[1]試料接触体の第1面に接触して配置された試料を光音響計測するために、前記第1面の反対側にある第2面に接触して配置される光音響波発生シートであって、計測光を反射する光反射体と、前記光反射体から前記シートの面方向にずれた位置に少なくとも存在し、励起用のパルス光を吸収して熱エネルギーに変換する光吸収体と、前記光吸収体に接触して配置され、前記光吸収体よりも熱膨張係数が大きい光透過性の光音響波発生体とを備えた光音響波発生シート。
[2]前記光音響波発生体は、前記光反射体及び前記光吸収体を覆うとともに、それらよりも広面積にかつ均一な厚さで形成された透明樹脂層であることを特徴とする上記1に記載の光音響波発生シート。
[3]前記光反射体は、金属層であり、前記光吸収体は、光を吸収する無機微粒子が分散された微粒子分散層であることを特徴とする上記2に記載の光音響波発生シート。
[4]前記光音響波発生シートは、全体として可撓性を有するとともに、前記試料接触体の前記第1面に対して貼付及び剥離可能な光音響波発生テープであることを特徴とする上記3に記載の光音響波発生シート。
[5]前記シートの片側面に形成された光透過性の粘着層と、前記粘着層を覆うように剥離可能に形成された保護層とをさらに備えたことを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[6]前記光反射体は、前記光音響波発生シートの面積の50%未満の面積を占めるように形成されていることを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[7]前記光反射体及び前記光吸収体はそれぞれ複数形成され、複数の前記光反射体同士の隙間、及び複数の前記光吸収体同士の隙間は、いずれも前記試料の大きさよりも小さいことを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[8]前記光吸収体の大きさは、発生する光音響波の波長よりも大きく、前記光吸収体及び前記光音響波発生体の厚さは、いずれも発生する光音響波の波長以上であることを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[9]前記試料接触体はプラスチックシャーレの底部であり、前記試料は細胞であることを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[10]前記試料接触体は内視鏡の先端に設けられる先端配置部材であり、前記試料は生体内組織であることを特徴とする上記1乃至4のいずれか1項に記載の光音響波発生シート。
[11]第1面及びその反対側にある第2面を有する試料接触体の前記第2面に接触して配置され、計測光を反射する光不透過性の光反射体と、前記光反射体から面方向にずれた位置に少なくとも存在し、励起用のパルス光を吸収して熱エネルギーに変換する光吸収体と、前記光吸収体に接触して配置され、前記光吸収体よりも熱膨張係数が大きい光透過性の光音響波発生体とを備える光音響波発生用構造物を用いて、光音響波を発生させる方法であって、前記第2面側から前記光吸収体にパルス光を照射して、前記光吸収体を発熱させるステップと、前記光吸収体の発熱により前記光音響波発生体を熱膨張させることで光音響波を発生させるステップとを含む光音響波発生方法。
[12]第1面及びその反対側にある第2面を有する試料接触体の前記第2面に接触して配置され、計測光を反射する光不透過性の光反射体と、前記光反射体から面方向にずれた位置に少なくとも存在し、励起用のパルス光を吸収して熱エネルギーに変換する光吸収体と、前記光吸収体に接触して配置され、前記光吸収体よりも熱膨張係数が大きい光透過性の光音響波発生体とを備える光音響波発生用構造物を用いて光音響波を発生させることで、前記第1面に接触して配置された試料の硬さを光学的に計測する方法であって、前記光音響波発生用構造物を前記試料接触体の前記第2面に接触させて配置するステップと、前記第2面側から前記光吸収体にパルス光を照射して、前記光吸収体を発熱させるステップと、前記光吸収体の発熱により前記光音響波発生体を熱膨張させることで、光音響波を発生させるステップと、前記光音響波で前記試料の計測点を振動させたときに前記計測点で反射して前記光反射体上の特定点に戻ってくる反射波と、前記試料接触体の前記第2面に照射された参照光との干渉から微小振動を検出するステップと、
前記微小振動の検出結果に基づいて前記特定点の変位を光学的に計測し、前記試料の前記計測点の硬さを計測するステップとを含む光学的硬さ計測方法。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように、請求項1~8に記載の発明によると、高強度のパルス光や特殊なシャーレを用いなくても、試料加振のための光音響波を効率よく発生させることができる光音響波発生シートを提供することができる。請求項9~11に記載の発明によると、上記の好適な光音響波発生シートを用いることで、比較的低コストかつ容易に所望とする計測を非接触で行うことができる光音響計測方法、光学的硬さ計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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