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公開番号
2025131990
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-10
出願番号
2024029278
出願日
2024-02-29
発明の名称
人工皮革およびその製造方法ならびに衣服、雑貨
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
D06N
3/00 20060101AFI20250903BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約
【課題】 両表面に優雅な表面外観を有し、かつ、高厚みでありながらも高い伸縮性を有する人工皮革を提供すること。
【解決手段】 平均単繊維直径が0.01μm以上10.00μm以下の極細繊維で構成されてなる不織布と、捲縮繊維で構成されてなる織編物と、を含む繊維絡合体と、高分子弾性体と、を有する、両表面が立毛を有する表面である人工皮革であって、繊維絡合体は、不織布、織編物、不織布の順に積層されてなり、不織布は、それぞれ厚みが0.4mm以上2.0mm以下、かつ、人工皮革の断面において、以下の式1を満たす、人工皮革。
1.2≦R
1
/R
2
≦2.0 ・・・(式1)
ここで、R
1
、R
2
は、それぞれ人工皮革の断面において、不織布部分から立毛である部分を除いた領域について厚さ方向に3等分した領域における最も立毛側の部分の高分子弾性体の面積割合(%)、最も織編物側の部分における高分子弾性体の面積割合(%)である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
平均単繊維直径が0.01μm以上10.00μm以下の極細繊維で構成されてなる不織布と、
捲縮繊維で構成されてなる織編物と、
を含む繊維絡合体と、
高分子弾性体と、
を有する、両表面が立毛を有する表面である人工皮革であって、
前記繊維絡合体は、前記不織布、前記織編物、前記不織布の順に積層されてなり、
前記不織布は、それぞれ厚みが0.4mm以上2.0mm以下、かつ、前記人工皮革の断面において、以下の式1を満たす、人工皮革。
1.2≦R
1
/R
2
≦2.0 ・・・(式1)
ここで、
R
1
:前記人工皮革の断面において、前記不織布部分から立毛である部分を除いた領域について厚さ方向に3等分した領域における最も立毛側の部分の高分子弾性体の面積割合(%)
R
2
:前記人工皮革の断面において、前記不織布部分から立毛である部分を除いた領域について厚さ方向に3等分した領域における最も織編物側の部分における高分子弾性体の面積割合(%)
続きを表示(約 2,000 文字)
【請求項2】
前記人工皮革の断面全体における高分子弾性体の面積割合が0.1%以上10.0%以下である、請求項1に記載の人工皮革。
【請求項3】
前記人工皮革の表面から測定される高分子弾性体の面積割合が、両表面ともに0.01%以上3.00%以下である、請求項1または2に記載の人工皮革。
【請求項4】
前記人工皮革の少なくとも一方の表面の平均立毛長が200μm以上600μm以下である、請求項1または2に記載の人工皮革。
【請求項5】
平均単繊維直径が0.01μm以上10.00μm以下の極細繊維で構成されてなる不織布と、
捲縮繊維で構成されてなる織編物と、
を含む繊維絡合体と、
高分子弾性体と、
を有する、両表面が立毛を有する表面である人工皮革の製造方法であって、
極細繊維発現型繊維からなる不織布αの片面に織編物を絡合一体化させ、絡合シートを形成する工程と、
極細繊維発現型繊維からなる不織布βを形成する工程と、
前記絡合シートと前記不織布βとを、前記織編物が前記不織布αと前記不織布βに挟まれるように積層するとともに、ニードルパンチにより絡合一体化させ、前駆体シートを形成する工程と、
前記前駆体シートに水溶性樹脂を付与し、水溶性樹脂付シートを形成する工程と、
前記水溶性樹脂付シートに高分子弾性体を付与し、高分子弾性体付シートを形成する工程と、
前記高分子弾性体付シート中の極細繊維発現型繊維から前記極細繊維を発生させ、極細繊維シートを形成する工程と、
前記極細繊維シートの両表面を研削し、起毛シートを形成する工程と、
を有し、さらに、
前記絡合シートが、以下の式2を満たし、
前記前駆体シートを形成する工程において、
前記絡合一体化前の前記不織布βが以下の式3を満たし、
前記絡合一体化前の前記絡合シートおよび前記不織布βが以下の式4を満たし、
前記絡合一体化が、以下の式5を満たす、
人工皮革の製造方法。
0.50≦V
A1
/V
A2
≦0.80 ・・・(式2)
0.50≦V
β1
/V
β2
≦0.80 ・・・(式3)
0.30≦V
β3
/V
A
≦0.80 ・・・(式4)
0.30≦D
A
/D
β
≦0.70 ・・・(式5)
ここで、
V
A1
:前記絡合シートの断面を厚さ方向に2等分して得られる2つの領域のうち、表面に前記織編物を含む側の領域における不織布αの見かけ密度(g/cm
3
)
V
A2
:前記絡合シートの断面を厚さ方向に2等分して得られる2つの領域のうち、表面に前記不織布αを含む側の領域における不織布αの見かけ密度(g/cm
3
)
V
β1
:前記絡合一体化前の前記不織布βの断面において、厚さ方向に2等分した領域における前記織編物側とする部分の該不織布βの見かけ密度(g/cm
3
)
V
β2
:前記絡合一体化前の前記不織布βの断面において、厚さ方向に2等分した領域における前記織編物側としない部分の該不織布βの見かけ密度(g/cm
3
)
V
A
:前記絡合一体化前の前記絡合シートの見かけ密度(g/cm
3
)
V
β3
:前記絡合一体化前の前記不織布βの見かけ密度(g/cm
3
)
【請求項6】
前記V
A
および前記V
β3
が、ともに0.01g/cm
3
以上0.30g/cm
3
以下である、請求項5に記載の人工皮革の製造方法。
【請求項7】
前記水溶性樹脂付シートを形成する工程において、前記水溶性樹脂を前記前駆体シートの質量に対して25質量%以上50質量%以下付与する、請求項5または6に記載の人工皮革の製造方法。
【請求項8】
前記高分子弾性体付シートを形成する工程において、前記高分子弾性体を前記水溶性樹脂付シートの質量に対して4質量%以上20質量%以下付与する、請求項5または6に記載の人工皮革の製造方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の人工皮革を含む、衣服。
【請求項10】
請求項1または2に記載の人工皮革を含む、雑貨。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、極細繊維からなる不織布を構成要素として含む繊維絡合体と高分子弾性体とからなる人工皮革に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
主として極細繊維からなる不織布を構成要素として含む繊維絡合体と高分子弾性体とからなる天然皮革調の人工皮革は、耐久性の高さや品質の均一性などの点で、天然皮革対比で優れた特徴を有しており、人工皮革の種類は、表面を起毛したスエード調の人工皮革や、表層に高分子弾性体を付与した銀面調の人工皮革など、用途に合わせて多種多様化している。
【0003】
スエード調の人工皮革は、表面起毛部による均一な手触り感や光沢感が高品位として評価され、自動車内装材、家具、雑貨、衣料用途など幅広い用途に使用されている。その中でも、人工皮革が衣服、帽子、手袋等の表皮として使用される際には、着用感や成形性の観点から伸縮性および柔軟性に優れたものが求められる。
【0004】
そして、良好な手触り感を表現するためには、表面だけでなく裏面にも人工皮革が使用される場面が多いが、片面使用を想定した人工皮革を使用する場合、人工皮革の裏面どうしを縫製や糊剤で貼り合わせる必要があるため、貼り合わせによる加工賃の増加や伸縮性の低下が潜在的な問題としてある。そのため、加工賃の削減や伸縮性の低下防止の観点から、両表面に良好な立毛品位を有する両面使用を想定した伸縮性人工皮革が求められ、さらに、貼り合わせが不要になった分、1枚で十分な厚みを有し、風合いに充実感のあるものが求められる。
【0005】
両面起毛を想定した伸縮性人工皮革としては、様々な人工皮革が提案されている。例えば、特許文献1では、繊維絡合体とポリウレタンで構成された人工皮革において、特定の熱水収縮率を有する繊維ウェブおよびポリウレタンからなる織編物を積層して絡合一体化し、得られた繊維絡合体を熱水中で縦、横方向に収縮させ、繊維絡合体に高分子弾性体を含浸する人工皮革の製造方法が提案されている。これによれば、高級な外観を持ちながら縦、横の両方向への伸縮性を有し、フィット感や保持性に優れる人工皮革を提供することができると記載されている。また、特許文献2では、織編物と、単繊維繊度1.1dtex以下の極細繊維との繊維絡合体と、高分子弾性体とを含む人工皮革であって、織編物を構成する繊維の少なくとも一成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる潜在捲縮発現性ポリエステル繊維である人工皮革が提案されている。これによれば、ソフトな風合いで、柔軟性に優れ、ストレッチ性並びにストレッチバック性に優れた人工皮革を提供することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2007-154340号公報
特開2003-239178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されるような技術においては、繊維絡合体内部の織編物を大きく収縮させることにより繊維絡合体全体を縦、横方向に収縮させ、その状態を保持する形で高分子弾性体が含有してなる構造であるため、繰り返しの伸長変形でも構造変形が生じにくい人工皮革が得られる。しかしながら、そのような人工皮革においては、人工皮革の厚みが増加するにつれて、繊維絡合体を十分に収縮させる織編物の力が不足するため、伸縮性を保ちつつ十分に厚みのある人工皮革が得られないという課題がある。
【0008】
特許文献2に開示されるような技術においては、人工皮革内部の織編物を構成する繊維が捲縮することでバネのような効果が生じ、人工皮革全体に伸縮性が得られる。しかしながら、そのような人工皮革においては、織編物が極細繊維および高分子弾性体によって強く固定されており織編物の自由度が小さいため、人工皮革の厚みが増加するにつれて伸縮性が低下し、厚みに充実感のある伸縮性人工皮革が得られないという課題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、両表面に優雅な表面外観を有し、かつ、高厚みでありながらも高い伸縮性を有する人工皮革を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく本発明者らが検討を重ねた結果、人工皮革中の繊維絡合体、すなわち、極細繊維からなる不織布、織編物、極細繊維からなる不織布の順に積層された繊維絡合体、における前記不織布のそれぞれの厚みと、人工皮革断面における不織布部分の立毛部側および織編物側に存在する高分子弾性体の面積割合の比を特定の範囲内とすることで、両表面に優雅な表面外観を有し、かつ、高厚みでありながらも高い伸縮性を有する人工皮革を得ることができるようになった。本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 平均単繊維直径が0.01μm以上10.00μm以下の極細繊維で構成されてなる不織布と、
捲縮繊維で構成されてなる織編物と、
を含む繊維絡合体と、
高分子弾性体と、
を有する、両表面が立毛を有する表面である人工皮革であって、
前記繊維絡合体は、前記不織布、前記織編物、前記不織布の順に積層されてなり、
前記不織布は、それぞれ厚みが0.4mm以上2.0mm以下、かつ、人工皮革の断面において、以下の式1を満たす、人工皮革
1.2≦R
1
/R
2
≦2.0 ・・・(式1)
ここで、
R
1
:前記人工皮革の断面において、前記不織布部分から立毛である部分を除いた領域について厚さ方向に3等分した領域における最も立毛側の部分の高分子弾性体の面積割合(%)
R
2
:前記人工皮革の断面において、前記不織布部分から立毛である部分を除いた領域について厚さ方向に3等分した領域における最も織編物側の部分における高分子弾性体の面積割合(%)
[2] 前記人工皮革の断面全体における高分子弾性体の面積割合が0.1%以上10.0%以下である、前記[1]に記載の人工皮革。
[3] 前記人工皮革の表面から測定される高分子弾性体の面積割合が、両表面ともに0.01%以上3.00%以下である、前記[1]または[2]に記載の人工皮革。
[4] 前記人工皮革の少なくとも一方の表面の平均立毛長が200μm以上600μm以下である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の人工皮革。
[5] 平均単繊維直径が0.01μm以上10.00μm以下の極細繊維で構成されてなる不織布と、
捲縮繊維で構成されてなる織編物と、
を含む繊維絡合体と、
高分子弾性体と、
を有する、両表面が立毛を有する表面である人工皮革の製造方法であって、
極細繊維発現型繊維からなる不織布αの片面に織編物を絡合一体化させ、絡合シートを形成する工程と、
極細繊維発現型繊維からなる不織布βを形成する工程と、
前記絡合シートと前記不織布βとを、前記織編物が前記不織布αと前記不織布βに挟まれるように積層するとともに、ニードルパンチにより絡合一体化させ、前駆体シートを形成する工程と、
前記前駆体シートに水溶性樹脂を付与し、水溶性樹脂付シートを形成する工程と、
前記水溶性樹脂付シートに高分子弾性体を付与し、高分子弾性体付シートを形成する工程と、
前記高分子弾性体付シート中の極細繊維発現型繊維から前記極細繊維を発生させ、極細繊維シートを形成する工程と、
前記極細繊維シートの両表面を研削し、起毛シートを形成する工程と、
を有し、さらに、
前記絡合シートが、以下の式2を満たし、
前記前駆体シートを形成する工程において、
前記絡合一体化前の前記不織布βが以下の式3を満たし、
前記絡合一体化前の前記絡合シートおよび前記不織布βが以下の式4を満たし、
前記絡合一体化が、以下の式5を満たす、
人工皮革の製造方法
0.50≦V
A1
/V
A2
≦0.80 ・・・(式2)
0.50≦V
β1
/V
β2
≦0.80 ・・・(式3)
0.30≦V
β3
/V
A
≦0.80 ・・・(式4)
0.30≦D
A
/D
β
≦0.70 ・・・(式5)
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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