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公開番号2025086174
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-06
出願番号2023200058
出願日2023-11-27
発明の名称転がり軸受
出願人NTN株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類F16C 33/42 20060101AFI20250530BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】波形保持器を備えた転がり軸受において、滑り摩耗が最大限抑えられ、高速回転化、長寿命化を図り昇温を小さくし得る転がり軸受を提供する。
【解決手段】転がり軸受は、内輪2および外輪3を含む軌道輪と、内輪2と外輪3間に介在される複数の玉4と、これら玉4を保持する波形保持器5とを備える。波形保持器5は、各玉4を保持するポケット8が形成され、且つ波形保持器5の内径縁に、軌道輪案内のフランジ部9を備えた。波形保持器9は、円周方向に沿って所定間隔で配設された半円筒状膨出部を有する二枚の環状保持板が軸方向に組み合わされた波形保持器であり、前記二枚の環状保持板が組み合わされた状態で各半円筒状膨出部が対向して、前記円筒面を成すポケット8が形成される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
内輪および外輪を含む軌道輪と、これら内輪と外輪間に介在される複数の玉と、これら玉を保持する波形保持器とを備えた転がり軸受であって、
前記波形保持器は、各玉を保持するポケットが形成され、且つ前記波形保持器の内径縁または外径縁に、軌道輪案内のフランジ部を備えた転がり軸受。
続きを表示（約 880 文字）【請求項２】
請求項１に記載の転がり軸受において、前記ポケットが円筒面に形成されている転がり軸受。
【請求項３】
請求項１または請求項２に記載の転がり軸受において、前記波形保持器の内径縁に前記フランジ部を備える内輪案内の場合、下記式を満たす転がり軸受。
φＳｄ＝φＤ×（１．０１～１．０２）
φＨｄｉ＝φｄｉ＋（０．２～１．０）
φｄｏ－０.１≧φＨｄｏ≧φＨｄｉ＋（Ｃｒ×２÷９÷ｔ）
Ｒａ＝１．０以下
φＳｄ：ポケット径
φＤ：玉の直径
φＨｄｉ：フランジ部の内径
φｄｉ：内輪外径
φｄｏ：外輪内径
φＨｄｏ：波形保持器の外径
Ｃｒ：基本動定格荷重（単位ｋＮ）
ｔ：波形保持器厚さ（単位ｍｍ）
Ｒａ：フランジ部の案内面粗さ（算術平均粗さ：単位μｍ）
【請求項４】
請求項２に記載の転がり軸受において、前記波形保持器は、円周方向に沿って所定間隔で配設された半円筒状膨出部を有する二枚の環状保持板が軸方向に組み合わされた波形保持器であり、前記二枚の環状保持板が組み合わされた状態で前記各半円筒状膨出部が対向して、前記円筒面を成す前記ポケットが形成される転がり軸受。
【請求項５】
請求項１または請求項２に記載の転がり軸受において、前記波形保持器の外径縁に前記フランジ部を備える外輪案内の場合、下記式を満たす転がり軸受。
φＳｄ＝φＤ×（１．０１～１．０２）
φＨｄｏ＝φｄｏ－（０.２～１.０)
φｄｏ＋０.１≧φＨｄｉ≧φＨｄｏ－（Ｃｒ×２÷９÷ｔ）
Ｒａ＝１．０以下
φＳｄ：ポケット径
φＤ：玉の直径
φＨｄｏ：フランジ部の外径
φｄｏ：外輪内径
φＨｄｉ：波形保持器の内径
Ｃｒ：基本動定格荷重（単位ｋＮ）
ｔ：波形保持器厚さ（単位ｍｍ）
Ｒａ：フランジ部の案内面粗さ（算術平均粗さ：単位μｍ）

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、転がり軸受に関し、例えば、サーボモーター、発電機、自動車等に適用される技術に関する。
続きを表示（約 1,900 文字）【背景技術】
【０００２】
鉄板波形保持器を有する深溝玉軸受は、プレス加工にて鉄板波形保持器を大量生産することが可能となる。よって、鉄板波形保持器を有する深溝玉軸受は、射出成形のナイロン、削り出しのフェノールにて製作された保持器を有する深溝玉軸受よりコストが安く、一般産業、自動車等に採用されている。
しかし、鉄板波形保持器は、プレス加工に限られた形状で転動体と保持器ポケット間の摩耗を避けられず、その摩耗によって軸受は昇温大、使用寿命が短く、高速回転が厳しい等の欠点がある。
【０００３】
鉄板波形保持器は、転動体と接触するポケット案内面に摩耗が生じて、保持器の金属摩耗粉がグリースに混入し、さらに潤滑状態が悪化しグリースの潤滑寿命が低下する。
従来の技術は、転動体である玉を保持するポケットの案内面での摩耗を抑制するため、転動体案内面となるポケットの内面に、樹脂塗膜、三価クロムのクロメート等の被膜を形成している（特許文献１～３）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
特開２０１７－１７２７４９号公報
特開２００７－２４２９５号公報
特開２００９－１５０２５６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来の技術は、ポケットの摩耗低減、グリース潤滑寿命の維持に効果的である。しかし、図９のように、波形保持器５０の転動体案内方式のため、図１０のように、保持器ポケット５１と転動体４は常に接触していることで、保持器ポケット５１と転動体４間の滑り摩耗が起きる。軸受回転として一定時間が経過し、前記滑り摩耗によってポケット内面の樹脂塗膜、表面化合物等の表面層に異常が生じるおそれがある。
【０００６】
本発明の目的は、波形保持器を備えた転がり軸受において、滑り摩耗が最大限抑えられ、高速回転化、長寿命化を図り昇温を小さくし得る転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪を含む軌道輪と、これら内輪と外輪間に介在される複数の玉と、これら玉を保持する波形保持器とを備えた転がり軸受であって、
前記波形保持器は、各玉を保持するポケットが形成され、且つ前記波形保持器の内径縁または外径縁に、軌道輪案内のフランジ部を備えている。前記「軌道輪案内」とは、波形保持器が内輪外周面または外輪内周面に対し、接触または僅かな径方向隙間を隔てて案内されることを言う。「波形保持器の内径縁に、軌道輪案内のフランジ部を備える」とは、前記フランジ部が内輪外周面に案内される内輪案内を意味する。「波形保持器の外径縁に、軌道輪案内のフランジ部を備える」とは、前記フランジ部が外輪内周面に案内される外輪案内を意味する。
【０００８】
この構成によると、波形保持器は各玉を保持するポケットが形成され、且つ波形保持器の内径縁または外径縁に軌道輪案内のフランジ部を備えた。このため、従来の転動体案内方式の波形保持器に対し、以下の効果を奏する。
・ポケット内部の摩耗の軽減を図れる。
・案内により発生した滑り摩耗の減少を図れる。
・保持器帯幅の大きさの設計自由度を高める。
・玉に付着した潤滑剤は、ポケットに溜まらずポケットと玉との間においてより通過しやすく、軸受の昇温が小さくなり、高速回転化、長寿命化に繋がる。
【０００９】
前記ポケットが円筒面に形成されていてもよい。この場合、ポケット内部の潤滑剤、玉に付着した潤滑剤は、ポケットと玉間でより通過しやすい。換言すれば、円筒面のポケットにより潤滑剤がポケットに溜まらず流動性が良くなる。
【００１０】
前記波形保持器の内径縁に前記フランジ部を備える内輪案内の場合、下記式を満たしてもよい。
φＳｄ＝φＤ×（１．０１～１．０２）
φＨｄｉ＝φｄｉ＋（０．２～１．０）
φｄｏ－０.１≧φＨｄｏ≧φＨｄｉ＋（Ｃｒ×２÷９÷ｔ）
Ｒａ＝１．０以下
φＳｄ：ポケット径
φＤ：玉の直径
φＨｄｉ：フランジ部の内径
φｄｉ：内輪外径
φｄｏ：外輪内径
φＨｄｏ：波形保持器の外径
Ｃｒ：基本動定格荷重（単位ｋＮ）
ｔ：波形保持器厚さ（単位ｍｍ）
Ｒａ：フランジ部の案内面粗さ（算術平均粗さ：単位μｍ）
（【００１１】以降は省略されています）

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