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公開番号2025112852
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024007363
出願日2024-01-22
発明の名称遮熱性透水人工芝
出願人平岡織染株式会社
代理人
主分類E01C 13/08 20060101AFI20250725BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約【課題】スポーツ競技用向けに、透水機能を有し、さらに遮熱性を有する人工芝で、しかも天然芝の色相に近い人工芝の提供。
【解決手段】目開編織物基材の片面全面に植設された熱可塑性樹脂製の芝葉を有するパイルタフト層と、芝葉の植設部を固定し、かつパイルタフト層裏面を含侵被覆し、かつ目開編織物基材の目開を保持する透水性樹脂層と、この透水性樹脂層に接する熱可塑性樹脂製アンダーパット層を少なくとも有し、芝葉が近赤外線反射性金属酸化物、及び顔料を少なくとも含み、アンダーパット層が、1)厚さ方向に多数の貫通孔を有し、貫通孔を通じて透水性樹脂層が露出する構造、2)多数の島状ドットで構成され、島状ドット間に透水性樹脂層が露出する構造、3)ストライプで構成され、ストライプ間に透水性樹脂層が露出する構造、4)モノフィラメントのランダム立体積重により癒着する三次元空間の鳥の巣構造、の何れかの排水構造とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
目開編織物基材の片面全面に植設された熱可塑性樹脂製の芝葉を有するパイルタフト層と、前記芝葉の植設部を固定し、かつ前記パイルタフト層裏面を含侵被覆し、かつ前記目開編織物基材の目開を保持する透水性樹脂層と、この透水性樹脂層に接して設けられた熱可塑性樹脂製アンダーパット層、の3つの層を少なくとも有する積層体で、前記芝葉が、近赤外線反射性金属酸化物、及び顔料を少なくとも含み、前記熱可塑性樹脂製アンダーパット層が、1)厚さ方向に多数の貫通孔を有し、この貫通孔を通じて前記透水性樹脂層が露出する構造、2)多数の島状ドットで構成され、これら島状ドット間に前記透水性樹脂層が露出する構造、3)ストライプで構成され、これらストライプ間に前記透水性樹脂層が露出する構造、4)熱可塑性樹脂モノフィラメントのランダム立体積重により厚さ方向に不規則に癒着する三次元空間を有する鳥の巣構造、の何れか1つの排水構造を有することを特徴とする遮熱性透水人工芝。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記近赤外線反射性金属酸化物が、コバルト-アルミニウム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-クロム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-亜鉛複合酸化物、コバルト-錫複合酸化物、コバルト-ニッケル-亜鉛複合酸化物、コバルト-ニッケル-チタン-亜鉛複合酸化物、コバルト-亜鉛-マグネシウム複合酸化物、コバルト-亜鉛-クロム-チタン複合酸化物、コバルト-亜鉛-ニッケル-チタン複合酸化物から選ばれた少なくとも1種であり、かつ前記顔料が、フタロシアニンブルー(α型、またはβ型)、アントラキノンブルー、コバルトブルー、群青、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット、インダンスレンブルー、インジゴブルー、ペリレンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ニッケルアゾイエロー、イソインドリンイエロー、イソインドリノンイエロー、ナフトールイエロー、キノフタロンイエロー、及び酸化鉄、及び酸化チタン、から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の遮熱性透水人工芝。
【請求項3】
前記芝葉が、ケト/エノール型互変異性体(ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、及びジフェニルケトン系化合物、から選ばれた1種以上)、及びヒンダードアミン化合物を10:1~2:1の質量比率で含む請求項1または2に記載の遮熱性透水人工芝。
【請求項4】
前記芝葉が、「A」及び「B」2種の熱可塑性樹脂組成物による「A/B」2層構造で、互いに前記近赤外線反射性金属酸化物を含み、少なくとも当該近赤外線反射性金属酸化物の種類を異にする請求項1~3の何れか1項に記載の遮熱性透水人工芝。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は人工芝に関し、特に透水性を有する遮熱性人工芝に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
人工芝は、基布に芝葉を模した合成樹脂パイルを植設し、裏面をバッキング樹脂加工して合成樹脂パイルを固定したものが一般的で、特にサッカー場、野球場、ラグビー場、アメリカンフットボール場、テニスコート、ゴルフショートコース、パターゴルフ、フットサルコートなどスポーツ競技用には、この仕様にアンダーパット層を複合したものが主流で、競技によってパイルの材質(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、など)、パイル長さ、植設密度、砂充填の有無、さらにはアンダーパット層の材質(ポリウレタン、塩化ビニル樹脂、フッ化ビニリデンゴムなど)、厚さ、クッション性(発泡度合い)、透水性などが設定されている。これらのスポーツ競技用以外では、鉄道軌道沿いの法面緑化兼雑草防止、人工貯水池の法面緑化兼雑草防止、ビル屋上・ベランダ・テラスの緑化、商業施設内の多目的スペース敷物、テーマパーク・イベント会場敷物、自動車・バイクなどの展示用敷物、ペット用敷物など多岐に使用され、特に屋外用途では雨水の排水機能を有する人工芝、及び排水性地盤のシステムが使用されている。
【0003】
このように人工芝は、合成樹脂パイル、バッキング樹脂加工、アンダーパット層、などの熱可塑性樹脂で構成される総厚が1~3cmのものが主流である。このような人工芝が炎天下で蓄熱して一旦50~70℃に達すると、日没にならないと温度が下がらない問題を潜在していて、スポーツ競技においては近年の猛暑によるプレーヤーの体力消耗、熱中症の危険要因を孕んでいる。そのため少しでも蓄熱温度を下げる工夫として、アルミホイル等輻射熱に対して高反射率の素材を、パイルが植設された基布の地表側に取り付けた遮熱人工芝(特許文献1)の提案がなされているが、特許文献1の発明の遮熱人工芝は、屋外使用で浸透した雨水がアルミホイルを腐食させ酸化アルミニウムに転じるため、輻射熱の反射効果を短期間で損なう欠点があった。また、主材と、親水性シリカ含有物とを備え、さらに緑または茶色の遮熱顔料を備える人工芝用の充填剤(特許文献2)の発明が開示されているが、この充填剤は芝葉の植設密度が小さく下地が露出する人工芝には適して遮熱効果を発現できるが、芝葉密度の高い人工芝では、芝葉で隠蔽されるため十分な遮熱効果を得ることができないことがあった。また、パイルに近赤外線の波長領域の光を反射する酸化物としてFe
2

3
とCr
2

3
を含有させ、樹脂層に近赤外線の波長領域の光を反射する酸化物としてFe
2

3
とCr
2

3
、及びセラミックからなる中空物質を含有させた遮熱人工芝(特許文献3)の発明が開示されているが、Fe
2

3
(茶色)を含む芝葉パイルの色は天然芝の色とはかけ離れた色となり、また特許文献2の充填剤同様、下地の樹脂層が露出する程度に芝葉パイルの植設密度が小さく、芝生感に乏しいものであった。
【0004】
一方、屋外用途における雨水排出機構については、熱ピンを積層体の裏面から人工芝生本体まで貫通させ、人工芝生本体と排水デッキとに連通する開孔部を形成して透水構造を形成する透水性人工芝生タイルの製造方法(特許文献4)の提案がなされ、平面形状が300~350mmの正方形の透水性人工芝生タイルの場合、直径1.5~3mmの円形の孔を50~400個程度を1回で開孔することが記載されている。しかしながら例えば2.1m幅×35m長の人工芝生本体の場合は、幅方向に6回、長さ方向に100回の計600回の開孔作業を繰り返す必要があり極めて生産効率が悪い方法である。また、弾性体のチップを部分的に接触させて、非接触部が連通した隙間を構成するようにしてそのチップ同志をチップ表面の接着剤で板状に結合した透水性基材と、その基材の片面に接着した透水性の芝状表面材とからなる透水性人工芝(特許文献5)の提案がなされているが、弾性体のチップの微細な隙間による排水機構では大雨の排水には適していない。また透水機能を有する人工芝生と、空隙を有するクッション層と、人工芝生とクッション層を接着固定する有孔低融点シートを備えてなる透水性人工芝生(特許文献6)の発明においては、有孔低融点シートが溶融させて、人工芝生とクッション層の間を点状に接着することで透水性を得るものであるが、炎天下での点接着が脆弱となり激しいスポーツ競技用の人工芝には不向きである。従って透水機能を有し、さらに遮熱性を有する人工芝で、天然芝の色相に近い人工芝が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-127873号公報
特開2022-093947号公報
特開2023-076405号公報
特開平07-144376号公報
特開平05-060541号公報
実開昭60-8702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明における解決課題は、特にサッカー場、野球場、ラグビー場、アメリカンフットボール場、テニスコート、ゴルフショートコース、パターゴルフ、フットサルコートなどスポーツ競技用向けに、透水機能を有し、さらに遮熱性を有する人工芝で、しかも天然芝の色相に近い人工芝を提供することである。本発明において遮熱性とは、人工芝の蓄熱温度を数度低くすることで、人工芝上に居る者の体感温度を緩和する効果である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる点を考慮し検討を重ねた結果、目開編織物基材の片面全面に植設された熱可塑性樹脂製の芝葉を有するパイルタフト層と、前記芝葉の植設部を固定し、かつ前記パイルタフト層裏面を含侵被覆し、かつ前記目開編織物基材の目開を保持する透水性樹脂層と、この透水性樹脂層に接して設けられた熱可塑性樹脂製アンダーパット層、の3つの層を少なくとも有する積層体で、前記芝葉が、近赤外線反射性金属酸化物、及び顔料を少なくとも含み、前記熱可塑性樹脂製アンダーパット層が、1)厚さ方向に多数の貫通孔を有し、この貫通孔を通じて前記透水性樹脂層が露出する構造、2)多数の島状ドットで構成され、これら島状ドット間に前記透水性樹脂層が露出する構造、3)ストライプで構成され、これらストライプ間に前記透水性樹脂層が露出する構造、4)熱可塑性樹脂モノフィラメントのランダム立体積重により厚さ方向に不規則に癒着する三次元空間を有する鳥の巣構造、の何れか1つの排水構造を有することによって、透水機能を有し、しかも遮熱性を有する人工芝が得られることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の遮熱性透水人工芝は、前記近赤外線反射性金属酸化物が、コバルト-アルミニウム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-クロム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、コバルト-アルミニウム-亜鉛複合酸化物、コバルト-錫複合酸化物、コバルト-ニッケル-亜鉛複合酸化物、コバルト-ニッケル-チタン-亜鉛複合酸化物、コバルト-亜鉛-マグネシウム複合酸化物、コバルト-亜鉛-クロム-チタン複合酸化物、コバルト-亜鉛-ニッケル-チタン複合酸化物から選ばれた少なくとも1種であり、かつ前記顔料が、フタロシアニンブルー(α型、またはβ型)、アントラキノンブルー、コバルトブルー、群青、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット、インダンスレンブルー、インジゴブルー、ペリレンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ニッケルアゾイエロー、イソインドリンイエロー、イソインドリノンイエロー、ナフトールイエロー、キノフタロンイエロー、及び酸化鉄、及び酸化チタン、から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。近赤外線反射性金属酸化物の効果によって遮熱性を発現し、人工芝の蓄熱温度を数度低くすることで、人工芝上に居る者の体感温度を緩和する効果が得られ、しかも天然芝の色相に近い人工芝を得ることができる。
【0009】
本発明の遮熱性透水人工芝は、前記芝葉が、ケト/エノール型互変異性体(ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、及びジフェニルケトン系化合物、から選ばれた1種以上)、及びヒンダードアミン化合物を10:1~2:1の質量比率で含むことが好ましい。これによって人工芝の耐光性、耐候性を向上させることで耐用年数を長くすることができる。
【0010】
本発明の遮熱性透水人工芝は、前記芝葉が、「A」及び「B」2種の熱可塑性樹脂組成物による「A/B」2層構造で、互いに前記近赤外線反射性金属酸化物を含み、少なくとも当該近赤外線反射性金属酸化物の種類を異にすることが好ましい。これによって、A層とB層との芝葉の色相が異なるグラデーションとなり、目視の色相混合による天然芝外観の表現とすることができ、また「A」及び「B」2種の熱可塑性樹脂組成物において、異なる熱可塑性樹脂を用いた場合、延伸性、熱収縮性などの違いによる芝葉形状の捲縮効果に作用する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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