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公開番号2025117865
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2024012825
出願日2024-01-31
発明の名称鋳鉄を利用した鉄イオン供給構造体とその製造方法と鉄イオン供給構造体を用いた藻礁
出願人アボンコーポレーション株式会社
代理人個人,個人
主分類A01K 61/73 20170101AFI20250805BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植物性プランクトンや藻類の育成に必要な鉄イオンを、海中や河川中の定位置で長期間に亘り継続的に安定して供給可能な鉄イオン供給構造体とその製造方法と鉄イオン供給構造体を用いた藻礁を提供する。
【解決手段】鉄イオン供給構造体1aは、平板状の鋳鉄プレート2aと、この鋳鉄プレート2aから突出する複数の鋳鉄ブロック3aと、を有し、鋳鉄ブロック3aは、鋳鉄ブロック3aの表面から露出する露出部と、鋳鉄ブロック3aの内部に埋設される埋設部と、を備える炭材4を有する。また、鋳鉄プレート2aの裏面には鋳鉄フック6aを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
平板状の鋳鉄プレートと、この鋳鉄プレートから突出する複数の鋳鉄ブロックと、を有し、前記鋳鉄ブロックは、前記鋳鉄ブロックの表面から露出する露出部と、前記鋳鉄ブロックの内部に埋設される埋設部と、を備える炭材を有することを特徴とする鉄イオン供給構造体。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記鋳鉄プレートの前記鋳鉄ブロックが突出していない側の面にフックが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鉄イオン供給構造体。
【請求項3】
平板状の消失プレートと、この消失プレートから突出する複数の消失ブロックと、鋳鉄を注湯するための消失湯道と、を有する消失鋳型を製作する工程と、前記消失鋳型の複数の前記消失ブロックの表面から露出する露出部と前記消失ブロックの内部に埋設される埋設部とを備えるように炭材を埋め込む工程と、前記消失鋳型の前記消失湯道の先端部を露出させながら、前記消失鋳型を砂鋳型で被覆する工程と、前記消失湯道の前記先端部から前記鋳鉄を注湯する工程と、注湯された前記鋳鉄を冷却する工程と、前記砂鋳型を剥離する工程と、を有することを特徴とする鉄イオン供給構造体の製造方法。
【請求項4】
格子状の側面を複数連結させ閉じて形成される籠状構造物と、請求項2に記載された鉄イオン供給構造体とを有し、前記鉄イオン供給構造体の前記フックを前記側面に掛止したことを特徴とする藻礁。
【請求項5】
フックを備えた多孔質のコンクリートプレートを前記側面に掛止したことを特徴とする請求項4に記載の藻礁。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、植物性プランクトンや藻類あるいは海草の育成に必要な2価鉄イオンを海中や河川中に長期間に亘って継続的に供給可能な鉄イオン供給構造体とその製造方法と鉄イオン供給構造体を用いた藻礁に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、「磯焼け」と呼ばれる現象をはじめ、海岸における環境汚染や環境悪化が懸念されており、海藻類の深刻な減少やそれに伴う魚貝の減少が漁業や水産業に大きな打撃を与えるようになっている。また、河川でも護岸工事や改修工事等の影響から川藻の生育が困難となり、それに伴って河川の浄化不足や魚類の生息域の狭小が問題となり、河川全体の環境悪化が問題となっている。
それらを改善する方策の一つとして、2価鉄イオン(Fe
2+
)を海や河川に供給することで、海や河川に生息する植物性プランクトンや海藻あるいは川藻の生育を促進させる技術が開発されている。2価鉄イオンはフルボ酸やフミン酸といった腐植酸と錯体を形成することで植物性プランクトンや海藻に吸収される。
例えば、特許文献1では、粉状又は粒状の鉄と粉状又は粒状の炭を水溶性バインダーと共に混合して固めて多数の小塊を成形し、それらの一部同士を非水溶性バインダーで固めて成形した鉄イオン溶出体が開示されている。この鉄イオン溶出体は、水中に没する状態にすることで、非水溶性バインダーで固められていない小塊の部分の水溶性バインダーが水と接触して溶けるにつれて炭と鉄が次々に接触して鉄イオンを溶出可能であるので、鉄イオンの溶出を長期に亘りコンスタントに持続させることが可能である。
また、特許文献2では、コンクリートブロックの表面に鋼製の有孔板体が取り付けられた鉄イオン溶出ブロックが開示されている。この鉄イオン溶出ブロックでは海中に設置することで、鋼製の有孔板体と海水の反応によって有孔板体から鉄イオンを発生させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5258171号公報
特開2019-208463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される発明は、非水溶性バインダーで固められていない小塊が水と接触して溶けるとすぐに水中で流されていまい、鉄イオンの溶出を一定の地点で持続させることができない可能性があった。また、小塊自体も海岸や河川で用いる場合には流される可能性もあると同時に固めている非水溶性バインダーも、石や岩あるいは海中や河川中の生物や漂流物によって摩耗したり劣化する可能性もあり、一定の地点で鉄イオンの溶出を持続させることが難しい可能性があった。
また、特許文献2に開示される発明では、鋼製の有孔板体を表面に設置したコンクリートブロックであるので、一定地点での鉄イオンの溶出は見込まれる。しかしながら、鋼製であることから、鉄が酸化されて2価鉄イオンとなるもののそれから3価鉄イオン(Fe
3+
)への酸化が速く進んでしまい、水酸化第二鉄(Fe(OH)

)、すなわち赤錆となって剥がれ落ちてしまう。
しかも、3価鉄イオンではフルボ酸やフミン酸といった腐植酸とは錯体が形成されず、植物性プランクトンや藻類には吸収されないため、植物性プランクトンや藻類の育成の促進に寄与することができない可能性があるといった課題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の事情に対処してなされたものであり、植物性プランクトンや藻類の育成に必要な鉄イオンを、海中や河川中の定めた位置で長期間に亘り継続的に安定して供給可能な鉄イオン供給構造体とその製造方法と鉄イオン供給構造体を用いた藻礁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明である鉄イオン供給構造体は、平板状の鋳鉄プレートと、この鋳鉄プレートから突出する複数の鋳鉄ブロックと、を有し、前記鋳鉄ブロックは、前記鋳鉄ブロックの表面から露出する露出部と、前記鋳鉄ブロックの内部に埋設される埋設部と、を備える炭材を有することを特徴とするものである。
上記構成の鉄イオン供給構造体は、鋳鉄プレートと鋳鉄ブロックから2価鉄イオンが溶出するが、鋼製のものと比較すると、鋳鉄は黒鉛を2.5-3重量%程度含んでおり、黒鉛は錆びることがないため腐食が進み難く、徐々に2価鉄イオンとして海水や河川水(以下、本願明細書では海水と河川水を併せて単に水といい海水中と河川水を併せて単に水中ということもある。)に溶出させるように作用する。また、腐食が進まない結果、腐食に対する耐久性に優れ、長期間に亘って継続的・安定的に2価鉄イオンを供給するように作用する。
【0007】
また、炭材の埋設部と鋳鉄ブロックとの間で鉄炭素電池が形成され、鋳鉄から電子が放出されて2価鉄イオンが発生し、放出された電子は炭材の埋設部から露出部へ移動して水中に放出されるかあるいは埋設部と鋳鉄ブロックの隙間から水中に放出され、2価鉄イオンは埋設部と鋳鉄ブロックの隙間から水中に溶出する。
炭材の埋設部は徐々に欠けたり朽ちたりして水中に放出されると考えられるが、それによってできる凹部には水が浸入するため、その場合も2価鉄イオンを水中に溶出させるように作用する。
なお、本願における鋳鉄は、片状の黒鉛を含有するねずみ鋳鉄と球状の黒鉛を含有するダクタイル鋳鉄の2通りを含むものである。また、炭材とは、竹炭、木炭及びコークスを含む概念である。
【0008】
第2の発明である鉄イオン供給構造体は、第1の発明において、前記鋳鉄プレートの前記鋳鉄ブロックが突出していない側の面にフックが設けられていることを特徴とするものである。
上記構成の鉄イオン供給構造体のフックは、籠状の構造物や格子状の構造物等に掛止可能に作用する。
【0009】
第3の発明である鉄イオン供給構造体の製造方法は、平板状の消失プレートと、この消失プレートから突出する複数の消失ブロックと、鋳鉄を注湯するための消失湯道と、を有する消失鋳型を製作する工程と、前記消失鋳型の複数の前記消失ブロックの表面から露出する露出部と前記消失ブロックの内部に埋設される埋設部とを備えるように炭材を埋め込む工程と、前記消失鋳型の前記消失湯道の先端部を露出させながら、前記消失鋳型を砂鋳型で被覆する工程と、前記消失湯道の前記先端部から前記鋳鉄を注湯する工程と、注湯された前記鋳鉄を冷却する工程と、前記砂鋳型を剥離する工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の鉄イオン供給構造体の製造方法は、消失鋳型の消失ブロックが炭材を埋め込み可能に作用し、鋳鉄ブロックにおける炭材の露出部と埋設部の形成を促すように作用する。
【0010】
第4の発明である藻礁は、格子状の側面を複数連結させ閉じて形成される籠状構造物と、第2の発明である鉄イオン供給構造体とを有し、前記鉄イオン供給構造体の前記フックを前記側面に掛止したことを特徴とするものである。
上記構成の藻礁は、フックを備えた第2の発明である鉄イオン供給構造体を掛止して、籠状構造物の周囲に2価鉄イオンの溶出を促すように作用する。
なお、籠状の構造物とは、格子状の側面が複数連結されて閉じている状態であればよく、蓋や底面がないものも含まれる概念である。また、閉じている状態とは、周方向に例えばコの字状に端部を形成して開いておらず、ロの字のように連続している状態を意味する。したがって、立方体のように6面で閉じる必要はなく、上下面はいずれも常に備えられていなくともよい。
(【0011】以降は省略されています)

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