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公開番号2025125017
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-27
出願番号2024020831
出願日2024-02-15
発明の名称燃料電池システム
出願人三菱自動車工業株式会社
代理人個人
主分類H01M 8/04 20160101AFI20250820BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】パージに要する制御負荷の軽減を図り制御に要する消費電力の抑制を図る上で有利な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック12のカソード側の排出流路39に設けられた流路分岐装置14と、流路分岐装置14から分岐された気体を排出する第1バイパス流路16と、第1バイパス流路16に設けられ水蒸気を吸着する吸着剤20とを備え、燃料電池スタック12の湿度Hと、吸着剤20の温度Tとに基づいて吸着剤20で吸着可能な水蒸気吸着量を推定し、推定された水蒸気吸着量に応じてパージ所要時間を算出し、パージ所要時間に基づいて燃料電池スタック12にパージ用の気体を導入しパージ用の気体を燃料電池スタック12から第1バイパス流路16へ流通させることによって燃料電池スタック12のパージ処理を行なう。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックのカソード側の排出流路に設けられ液水の流れと気体の流れとを分岐する流路分岐装置と、
前記流路分岐装置から分岐された前記気体を排出する第1バイパス流路と、
前記第1バイパス流路に設けられ前記気体に含まれる水蒸気を吸着する吸着剤と、
前記燃料電池スタックの湿度を検出する第1センサと、
前記吸着材の温度を検出する第2センサと、
前記第1センサで検出された前記燃料電池スタックの湿度と、前記第2センサで検出された前記吸着剤の温度とに基づいて前記吸着剤で吸着可能な水蒸気吸着量を推定し、前記推定された水蒸気吸着量に応じて前記燃料電池スタック内の水をパージするために要するパージ所要時間を算出するパージ所要時間算出部と、
前記パージ所要時間に基づいて前記燃料電池スタックにパージ用の気体を導入し前記パージ用の気体を前記燃料電池スタックから前記第1バイパス流路へ流通させることによって前記燃料電池スタックのパージ処理を行なうパージ制御部と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記燃料電池スタックのパージ開始時点から経過するパージ経過時間と前記吸着剤による水蒸気の吸着量と関係を規定する吸着特性曲線を前記燃料電池スタックの湿度と対応付けた湿度用吸着特性曲線マップと、前記吸着特性曲線を前記吸着剤の温度と対応付けた温度用吸着特性曲線マップとを生成するマップ生成部を備え、
前記パージ所要時間算出部による前記水蒸気吸着量の推定は、前記パージ開始時点から所定時間経過後に、前記第1センサで検出された前記湿度に基づいて前記湿度用吸着特性曲線マップから特定された前記吸着特性曲線と、前記パージ開始時点から所定時間経過後に、前記第2センサで検出された前記温度に基づいて前記温度用吸着特性曲線マップから特定された前記吸着特性曲線とに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記流路分岐装置は気液分離器で構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池スタックを迂回して前記第1バイパス流路に高温の乾燥空気を導入する第2バイパス流路と、
前記第1バイパス流路のうち前記吸着剤の下流側の湿度を検出する第3センサとをさらに備え、
前記パージ制御部は、前記パージ処理の終了後、前記第2バイパス流路から前記第1バイパス流路に前記乾燥空気を導入することで前記吸着剤の再生処理を行ない、前記第3センサで検出された湿度が所定のしきい値以下で安定した際、前記再生処理を終了する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1バイパス流路のうち前記吸着剤の下流側に背圧弁を設け、
前記パージ制御部は、前記吸着剤の再生処理を行なうにあたって、予め前記背圧弁の開度を開くことで前記乾燥空気の圧力を減圧する、
ことを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、自動車や家庭用の電源として燃料電池システムが注目されている。
燃料電池システムは、水素ガスが供給されるアノード電極(水素極)と、酸素ガスが供給されるカソード電極(酸素極)と、それら電極間に配置された電解質膜とを含む単セルと呼ばれる発電体を複数積層させた燃料電池スタックを備え、水素と酸素との化学反応によりそれらアノード電極とカソード電極から電力を取り出すものである。
また、化学反応の結果、カソード電極から生成された水は燃料電池スタックから排出される一方、燃料電池スタックは、電解質膜が適切な湿潤状態に維持されることで発電がなされる。
ところで、氷点下雰囲気では、燃料電池の運転が停止した後、燃料電池スタック内部のガス流路の水が凍結すると、化学反応が適切になされず燃料電池の起動性が低下する。
したがって、氷点下雰囲気では、燃料電池の運転停止後、ガス流路内の水を圧縮空気により強制的に排出するパージ(掃気)を実施することが必要である。
そして、パージを実施するにあたってはパージに要するパージ所要時間tpを推定する必要がある。
特許文献1(図25-図27など)には、パージ所要時間tpと燃料電池内の含水量とを対応付けた排出速度マップを用いてパージ所要時間tpを推定する際、燃料電池のインピーダンス計測値をリアルタイムに計測し、その計測値に基づいてリアルタイムに排水速度マップの補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許5482897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、リアルタイムに計測した燃料電池のインピーダンス計測値に基づいてリアルタイムに排水速度マップの補正を行なうことから、パージに要する制御負荷が増大し、消費電力の抑制を図る上で改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、パージに要する制御負荷の軽減を図り制御に要する消費電力の抑制を図る上で有利な燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックのカソード側の排出流路に設けられ液水の流れと気体の流れとを分岐する流路分岐装置と、前記流路分岐装置から分岐された前記気体を排出する第1バイパス流路と、前記第1バイパス流路に設けられ前記気体に含まれる水蒸気を吸着する吸着剤と、前記燃料電池スタックの湿度を検出する第1センサと、前記吸着材の温度を検出する第2センサと、前記第1センサで検出された前記燃料電池スタックの湿度と、前記第2センサで検出された前記吸着剤の温度とに基づいて前記吸着剤で吸着可能な水蒸気吸着量を推定し、前記推定された水蒸気吸着量に応じて前記燃料電池スタック内の水をパージするために要するパージ所要時間を算出するパージ所要時間算出部と、前記パージ所要時間に基づいて前記燃料電池スタックにパージ用の気体を導入し前記パージ用の気体を前記燃料電池スタックから前記第1バイパス流路へ流通させることによって前記燃料電池スタックのパージ処理を行なうパージ制御部とを備えることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記燃料電池スタックのパージ開始時点から経過するパージ経過時間と前記吸着剤による水蒸気の吸着量と関係を規定する吸着特性曲線を前記燃料電池スタックの湿度と対応付けた湿度用吸着特性曲線マップと、前記吸着特性曲線を前記吸着剤の温度と対応付けた温度用吸着特性曲線マップとを生成するマップ生成部を備え、前記パージ所要時間算出部による前記水蒸気吸着量の推定は、前記パージ開始時点から所定時間経過後に、前記第1センサで検出された前記湿度に基づいて前記湿度用吸着特性曲線マップから特定された前記吸着特性曲線と、前記パージ開始時点から所定時間経過後に、前記第2センサで検出された前記温度に基づいて前記温度用吸着特性曲線マップから特定された前記吸着特性曲線とに基づいてなされることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記流路分岐装置は気液分離器で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記燃料電池スタックを迂回して前記第1バイパス流路に高温の乾燥空気を導入する第2バイパス流路と、前記第1バイパス流路のうち前記吸着剤の下流側の湿度を検出する第3センサとをさらに備え、前記パージ制御部は、前記パージ処理の終了後、前記第2バイパス流路から前記第1バイパス流路に前記乾燥空気を導入することで前記吸着剤の再生処理を行ない、前記第3センサで検出された湿度が所定のしきい値以下で安定した際、前記再生処理を終了することを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記第1バイパス流路のうち前記吸着剤の下流側に背圧弁を設け、前記パージ制御部は、前記吸着剤の再生処理を行なうにあたって、予め前記背圧弁の開度を開くことで前記乾燥空気の圧力を減圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、パージ所要時間tpの算出を、燃料電池スタックの湿度と吸着剤の温度の検出結果に基づいて推定した吸着剤の水蒸気吸着量から算出するといった簡単な処理で行なうことができるため、従来技術のような複雑な処理が不要となり、制御装置におけるパージに要する制御負荷の軽減を図り制御に要する消費電力の抑制を図る上で有利となる。
また、パージ所要時間算出部による水蒸気吸着量の推定を、湿度用吸着特性曲線マップおよび温度用吸着特性曲線マップを用いて行うと、水蒸気吸着量の推定に要する制御負荷の軽減を図れ、制御装置におけるパージに要する制御負荷の軽減を図り制御に要する消費電力の抑制を図る上でより有利となる。
また、流路分岐装置を気液分離器で構成すると、液水や液水に含まれる異物が第1バイパス流路の吸着剤に吸着されることを防止でき、吸着剤による水蒸気の吸着が阻害されることを防止する上で有利となる。
また、燃料電池スタックを迂回して第1バイパス流路に高温の乾燥空気を導入する第2バイパス流路を設け、第2バイパス流路から第1バイパス流路に乾燥空気を導入することで吸着剤の再生処理を行ない、第3センサで検出された湿度が所定のしきい値以下で安定した際、再生処理を終了するようにすると、第1バイパス流路と第2バイパス流路とを組み合わせて使用するといった簡単な構成により、吸着剤によるパージ処理と再生処理とを効率よく行なえると共に、制御装置における制御負荷の軽減を図る上でも有利となる。
また、第1バイパス流路のうち吸着剤の下流側に背圧弁を設け、吸着剤の再生処理を行なうにあたって、予め背圧弁の開度を開くことで高温の乾燥空気の圧力を減圧するようにすると、背圧弁を設けるといった簡単な構成で、吸着剤の水蒸気を高温の乾燥空気を用いて減圧脱着することができ、燃料電池システムのコストの抑制を図りつつ、吸着剤の再生処理の効率化を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成図である。
パージ経過時間と吸着剤の吸着量との関係を規定する吸着特性曲線を吸着剤の湿度と対応付けた線図であり、湿度用吸着特性曲線マップに対応している。いる。
パージ経過時間と吸着剤の吸着量との関係を規定する吸着特性曲線を吸着剤の温度と対応付けた線図であり、温度用吸着特性曲線マップに対応している。
パージ経過時間と吸着剤の吸着量との関係を規定する吸着特性曲線を吸着剤の近傍を流れる空気の流速と対応付けた線図である。
吸着剤の温度と吸着剤の吸着能力との関係を示す線図である。
空気の相対湿度と吸着剤の吸着能力との関係を示す線図である。
燃料電池システムのパージ処理を示すフローチャートである。
吸着剤の再生処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る燃料電池システム10は、燃料電池スタック12(FCスタック)と、流路分岐装置14と、第1バイパス流路16と、第2バイパス流路18と、吸着剤20と、第1センサ22と、第2センサ24と、第3センサ26と、背圧弁28と、制御装置30とを含んで構成されている。
本実施の形態では、燃料電池システム10が車両(電動車)に搭載され、駆動用モータに電力を供給するバッテリーとして使用される場合について説明する。なお、ここでいう車両とは、燃料電池システム10のみを搭載する燃料電池車(FCV)を前提としているが、モータに電力を供給するバッテリパックを別途設け、外部充電又は外部給電が可能なプラグインハイブリッド式燃料電池車であってもよい。
【0009】
燃料電池スタック12は、何れも図示しないが、水素ガスが供給されるアノード電極(水素極)と、酸素ガス(空気)が供給されるカソード電極(酸素極)と、それら電極間に配置された電解質膜とを含んだ単セルと呼ばれる発電体を複数積層させた構造で構成されている。
そして、アノード電極側に水素ガスが流通されるアノードガス流路が形成され、カソード電極側に酸素ガスが流通されるカソードガス流路が形成されている。
水素ガスはアノード電極により電子が抜き取られ、電子が抜き取られて発生した水素イオンが電解質膜を通過してカソード電極に至る。
一方、酸素ガスはカソード電極から電子が与えられることで酸素イオンとなり電解質膜を通過してきた水素イオンと結合して水が生成される。
カソード電極とアノード電極との間に外部回路(負荷)を接続することで外部回路に電力が供給される。
このようにして、水素と酸素との化学反応により燃料電池スタック12のアノード電極とカソード電極から電力が取り出される。
【0010】
アノードガス流路の入口は、水素ガス供給流路32を介して水素タンク34と接続され、アノードガス流路の出口は、アノード気液分離器36を介して第1液水排出路38Aに接続されている。
アノード気液分離器36は、アノードガス流路の出口から供給される水素ガスから液体(液水)を分離し液体を第1液水排出路38Aに供給する一方、水素ガスを水素ガス再循環ポンプ40が介設された水素ガス循環路42に供給する。第1液水排出路38Aに供給された液体は後述する第2液水排出路38Bを介して燃料電池スタック12の外部に排出される。
アノードガス流路の入口とアノード気液分離器36とは、水素ガス循環路42を介して接続されている。
また、水素ガス供給流路32には、水素タンク34からのアノードガス流路への水素ガスの供給量を調整する水素ガス第1調整弁44Aが設けられている。
また、水素ガス循環路42のうち水素ガスが流れる方向における水素ガス再循環ポンプ40の上流側の箇所には、アノード気液分離器36から分離された水素ガスのアノードガス流路への供給量を調整する水素ガス第2調整弁44Bが設けられている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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