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公開番号2025005318
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-16
出願番号2023105514
出願日2023-06-27
発明の名称表面増強ラマン散乱分光装置及び表面増強ラマン散乱測定用分光電解セル
出願人学校法人早稲田大学
代理人弁理士法人ドライト国際特許事務所
主分類G01N 21/65 20060101AFI20250108BHJP(測定;試験)
要約【課題】測定対象の材料破壊処理が不要で、電解液中から電極表面への電気化学反応種の移動の阻害を抑制できる表面増強ラマン散乱分光装置及びこれに用いる表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルを提供する。
【解決手段】表面増強ラマン散乱分光装置1は、励起光L1を出射する光源LS、表面増強ラマン散乱測定用分光電解セル10、及び表面増強ラマン散乱光L2を受光する受光部Dを備え、表面増強ラマン散乱測定用分光電解セル10は、電気化学反応種を含む電解液13を収容する容器11、窓部となるプラズモンセンサ16、対極18及び作用極19、及び電源部22を有する。プラズモンセンサ16は、基体14及び基体14の一面に修飾された金属ナノ粒子15を有し、作用極19は金属ナノ粒子15の修飾された面に点接触するように保持され、励起光L1を入射させて金属ナノ粒子15に表面プラズモンを励起させ、表面増強ラマン散乱光L2を生成させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
表面増強ラマン散乱光を測定する表面増強ラマン散乱分光装置であって、
励起光を出射する光源と、
表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルと、
前記励起光が前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルに入射したときの前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部からの前記表面増強ラマン散乱光を受光する受光部とを備え、
前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルは、
電気化学反応種を含有する電解液を収容する容器と、
前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する窓部として前記容器に設けられたプラズモンセンサと、
前記電気化学反応種を電気化学的に反応させるように前記電解液に電流を流すための対極及び作用極と、
前記電流を前記対極及び前記作用極の間に流す電源部とを有し、
前記プラズモンセンサは、
前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する基体と、
前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部側の前記基体の一面に修飾された金属ナノ粒子とを有し、
前記作用極は、前記金属ナノ粒子が修飾された面に点接触するように前記容器に保持されており、
前記金属ナノ粒子が修飾された面が前記作用極に点接触した状態で前記基体の他面側から前記一面側へ向けて前記励起光を入射させて前記作用極と接触する前記金属ナノ粒子の表面に表面プラズモンを励起させ、前記表面プラズモンにより前記作用極上の前記電気化学反応種の状態及び反応挙動を反映したラマン散乱光を増強させて前記表面増強ラマン散乱光を生成させる
表面増強ラマン散乱分光装置。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記金属ナノ粒子は、平坦面を有し、前記基体に前記一面から膨出するように前記平坦面が前記基体の前記一面と面接触している
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子を球状と仮定したときの直径が5nm以上100nm以下である
請求項2に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子は、半球状または円錐状である
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子は、Ag、Au、Cuのいずれかから形成されている
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項6】
前記金属ナノ粒子は、前記基体よりも耐摩耗性の高い材料により形成された被覆膜で覆われている
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項7】
前記金属ナノ粒子は、前記基体よりも屈折率の高い材料により形成された被覆膜で覆われている
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項8】
前記作用極は、前記容器の底部を貫通して前記作用極の中途部において前記電解液と接し、前記作用極の両端部が前記容器の底部から前記容器の外部に伸びるように配置されている
請求項1に記載の表面増強ラマン散乱分光装置。
【請求項9】
励起光が入射されたときの表面増強ラマン散乱光を測定するための表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルであって、
電気化学反応種を含有する電解液を収容する容器と、
前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する窓部として前記容器に設けられたプラズモンセンサと、
前記電気化学反応種を電気化学的に反応させるように前記電解液に電流を流すための対極及び作用極と、
前記電流を前記対極及び前記作用極の間に流す電源部とを有し、
前記プラズモンセンサは、
前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する基体と、
前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部側の前記基体の一面に修飾された金属ナノ粒子とを有し、
前記作用極は、前記金属ナノ粒子が修飾された面に点接触するように前記容器に保持されており、
前記金属ナノ粒子が修飾された面が前記作用極に点接触した状態で前記基体の他面側から前記一面側へ向けて前記励起光を入射させて前記作用極と接触する前記金属ナノ粒子の表面に表面プラズモンを励起させ、前記表面プラズモンにより前記作用極上の前記電気化学反応種の状態及び反応挙動を反映したラマン散乱光を増強させて前記表面増強ラマン散乱光を生成させる
表面増強ラマン散乱測定用分光電解セル。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、表面増強ラマン散乱分光装置及び表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
表面増強ラマン散乱分光法は、金属のナノ構造への特定波長の光照射により当該構造表面のごく近傍に誘起される電場増強効果を利用し、電場が増強された領域内に存在する分子などの化学構造を反映するラマンスペクトルを高い選択性で取得する方法である。この分光を実際の解析に利用するにあたっては、種々適用可能な方式があるが、その一つが、所謂プラズモンセンサを利用する方式である。プラズモンセンサはいくつかの種類があり、例えばガラスなどの光透過性材料の表面に金属ナノ粒子を修飾した構成である。
【0003】
表面増強ラマン散乱分光法において上記の構成のプラズモンセンサを利用するにあたっては、金属ナノ粒子の修飾されたプラズモンセンサの一面が測定対象の表面と接触するようにプラズモンセンサを測定対象に乗せるなどし、そのプラズモンセンサと測定対象の表面との接触部に励起レーザーを照射することで界面の電場増強を誘起し、このようにして表面増強ラマン散乱スペクトルを取得する。プラズモンセンサを用いた表面増強ラマン散乱分光法によれば、測定対象表面へのナノ粒子修飾など材料破壊処理を伴うことなく表面増強ラマン散乱光の測定が可能である。
【0004】
特許文献1には、プラズモンセンサを利用した光学デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6179905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気化学反応種を含有する電解液中に配置された電極表面に対してプラズモンセンサを用いる場合、プラズモンセンサを電極表面に配置する必要があることから、反応に必須となる、電解液中から電極表面への電気化学反応種の移動をセンサ自体が阻害してしまい、電極表面の反応環境を正しく再現できず、従って正しい反応挙動の追跡が困難となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、測定対象の電極表面の材料破壊処理が不要であり、電気化学反応種の電極表面への移動の阻害を抑制してより理想的な電極環境を再現した反応挙動の追跡が可能である表面増強ラマン散乱分光装置及びこれに用いる表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表面増強ラマン散乱分光装置は、表面増強ラマン散乱光を測定する表面増強ラマン散乱分光装置であって、励起光を出射する光源と、表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルと、前記励起光が前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルに入射したときの前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部からの前記表面増強ラマン散乱光を受光する受光部とを備え、前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルは、電気化学反応種を含有する電解液を収容する容器と、前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する窓部として前記容器に設けられたプラズモンセンサと、前記電気化学反応種を電気化学的に反応させるように前記電解液に電流を流すための対極及び作用極と、前記電流を前記対極及び前記作用極の間に流す電源部とを有し、前記プラズモンセンサは、前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する基体と、前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部側の前記基体の一面に修飾された金属ナノ粒子とを有し、前記作用極は、前記金属ナノ粒子が修飾された面に点接触するように前記容器に保持されており、前記金属ナノ粒子が修飾された面が前記作用極に点接触した状態で前記基体の他面側から前記一面側へ向けて前記励起光を入射させて前記作用極と接触する前記金属ナノ粒子の表面に表面プラズモンを励起させ、前記表面プラズモンにより前記作用極上の前記電気化学反応種の状態及び反応挙動を反映したラマン散乱光を増強させて前記表面増強ラマン散乱光を生成させる。
【0009】
本発明に係る表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルは、励起光が入射されたときの表面増強ラマン散乱光を測定するための表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルであって、電気化学反応種を含有する電解液を収容する容器と、前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する窓部として前記容器に設けられたプラズモンセンサと、前記電気化学反応種を電気化学的に反応させるように前記電解液に電流を流すための対極及び作用極と、前記電流を前記対極及び前記作用極の間に流す電源部とを有し、前記プラズモンセンサは、前記励起光及び前記表面増強ラマン散乱光を透過する基体と、前記表面増強ラマン散乱測定用分光電解セルの内部側の前記基体の一面に修飾された金属ナノ粒子とを有し、前記作用極は、前記金属ナノ粒子が修飾された面に点接触するように前記容器に保持されており、前記金属ナノ粒子が修飾された面が前記作用極に点接触した状態で前記基体の他面側から前記一面側へ向けて前記励起光を入射させて前記作用極と接触する前記金属ナノ粒子の表面に表面プラズモンを励起させ、前記表面プラズモンにより前記作用極上の前記電気化学反応種の状態及び反応挙動を反映したラマン散乱光を増強させて前記表面増強ラマン散乱光を生成させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定対象の電極表面の材料破壊処理が不要であり、電解液中から電極表面への電気化学反応種の移動の阻害を抑制してより理想的な電極環境を再現した反応挙動の追跡が可能である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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