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公開番号
2025118122
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-13
出願番号
2024013253
出願日
2024-01-31
発明の名称
水素再循環ブロワ及び転がり軸受
出願人
ミネベアミツミ株式会社
代理人
弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
主分類
H01M
8/04 20160101AFI20250805BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】高温・水蒸気の環境下における耐久性に優れ、さらには、水が存在する環境下にあっても潤滑性能が維持される軸受を備えた燃料電池システムの水素再循環ブロワを提供すること。
【解決手段】転がり軸受を備えた燃料電池システムの水素再循環ブロワであって、
前記転がり軸受は、内輪、外輪及び転動体を有し、前記内輪と前記外輪との間に形成される環状の軸受空間内にグリースを有し、さらに、前記軸受空間を密封するゴムシールを有し、前記グリースは、該グリースの全量に対して0.05質量%以上1質量%以下の割合にて有機酸金属塩を含み、さらに、前記グリースは、130℃、100%RH、48時間の条件下における高温高湿試験(1)の後において、該試験(1)前からの体積膨張率が60%未満であり、且つ、容積が100mLの密封容器内で該グリース1.3gを純水10mLと共存させて120℃の条件で48時間経過させる高温高湿試験(2)の後において、該試験(2)前からの前記有機酸金属塩の減少率が50%以下である、
燃料電池システムの水素再循環ブロワ及び該ブロワに備えられる転がり軸受。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
転がり軸受を備えた燃料電池システムの水素再循環ブロワであって、
前記転がり軸受は、
内輪、外輪及び転動体を有し、
前記内輪と前記外輪との間に形成される環状の軸受空間内にグリースを有し、さらに、
前記軸受空間を密封するゴムシールを有し、
前記グリースは、該グリースの全量に対して0.05質量%以上1質量%以下の割合にて有機酸金属塩を含み、さらに、
前記グリースは、
130℃、100%RH、48時間の条件下における高温高湿試験(1)の後において、該試験(1)前からの体積膨張率が60%未満であり、且つ、
容積が100mLの密封容器内で該グリース1.3gを純水10mLと共存させて120℃の条件で48時間経過させる高温高湿試験(2)後において、該試験(2)前からの前記有機酸金属塩の減少率が50%以下である、
燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
続きを表示(約 960 文字)
【請求項2】
前記グリースは、該グリースの全量に対して0.1質量%以上0.5質量%以下の割合にて前記有機酸金属塩を含み、
前記高温高湿試験の後において、該試験前からの前記有機酸金属塩の減少率が35%以下である、
請求項1に記載の燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
【請求項3】
前記有機酸金属塩がセバシン酸ナトリウムである、請求項1に記載の燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
【請求項4】
前記グリースは、フッ素油を基油とするフッ素系グリースと、合成炭化水素油を基油とし、ウレア化合物を増ちょう剤とする非フッ素系グリースとの混合グリースと、前記有機酸金属塩を含む、
請求項1に記載の燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
【請求項5】
前記混合グリースは、
基油がパーフルオロポリエーテルとポリアルファオレフィンを含み、
増ちょう剤がポリテトラフルオロエチレンとウレア化合物とを含む、
請求項4に記載の燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
【請求項6】
前記フッ素系グリースと前記非フッ素系グリースとの混合比が質量比で7:3~9:1である、
請求項4に記載の燃料電池システムの水素再循環ブロワ。
【請求項7】
燃料電池システムの水素再循環ブロワに備えられる転がり軸受であって、
前記転がり軸受は、内輪、外輪及び転動体を有し、
前記内輪と前記外輪との間に形成される環状の軸受空間内にグリースを有し、さらに
前記軸受空間を密封するゴムシールを有し、
前記グリースは、該グリースの全量に対して0.05質量%以上1質量%以下の割合にて有機酸金属塩を含み、さらに、
前記グリースは、130℃、100%RH、48時間の条件下における高温高湿試験(1)の後において、該試験前(1)からの体積膨張率が60%未満であり、且つ、容積が100mLの密封容器内で該グリース1.3gを純水10mLと共存させて120℃の条件で48時間経過させる高温高湿試験(2)後において、該試験(2)前からの前記有機酸
金属塩の減少率が50%以下である、
転がり軸受。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は高温水蒸気環境下で使用される燃料電池システムの水素再循環ブロワ、及び該ブロワに備えられる転がり軸受に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素等の燃料と酸素(空気)等の酸化剤との電気化学反応によって、化学エネルギーを電気及び熱エネルギーに直接変換するエネルギーシステムである。発電の際発生するものは水(水蒸気)のみであり、二酸化炭素は発生しないことや、燃料電池自体には駆動する部分が少ないため騒音や振動等も少なく、きわめて環境負荷の低いシステムとされている。また水素(燃料)と酸素(酸化剤)との電気化学反応から電気エネルギーを直接取り出すため発電効率が高く、これらが供給される限り継続的に電気を作り出すことができ、また変換の際に生じる電気と熱の双方を有効利用することで、さらに総合エネルギー効率を高めることが可能である。
中でも燃料電池は、有害な排出ガスが少ない(又はゼロ)、エネルギー効率が高い、多様な燃料・エネルギーが利用可能、騒音が少ない、充電不要といったメリットから、自動車の内燃機関に代わる動力源として採用され、種々の燃料電池車の提案がなされている。
【0003】
燃料電池車等に使用される燃料電池システムでは、燃料である水素や酸化剤である酸素を圧送するブロワー(送風機)やコンプレッサー(圧縮機)が使用され、その一例として、発電に使用されなかった水素を再循環させるためのブロワ(陽極(アノード)再循環ブロワ)などがある。
例えば特許文献1には、燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受や、該軸受を備える燃料電池システム用圧送機、また該圧送機を具備する燃料電池システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2004-190688号公報
特開2013-35882号公報
特開2013-173956号公報
特許第4883743号公報
特許第6646379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記燃料電池システム等に使用されるブロワ(例えば水素再循環ブロワ(陽極(アノード)再循環ブロワ))は水素環境下で用いられるとともに、該ブロワの使用環境は、燃料電池の反応過程で熱や水蒸気が発生する高温多湿の環境下にある。そのため、該ブロワ構成する種々の部品やそれら部品に用いられるグリース等において、これら水素、熱、水蒸気等に耐久できる性能が求められる。
【0006】
本発明は、特に高温・水蒸気の環境下における耐久性に優れ、さらには、水が存在する環境下にあっても潤滑性能が維持される軸受を備えたブロワ、特に燃料電池システムの水素再循環ブロワを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、転がり軸受を備えた燃料電池システムの水素再循環ブロワであり、
前記転がり軸受は、内輪、外輪及び転動体を有し、前記内輪と前記外輪との間に形成される環状の軸受空間内にグリースを有し、さらに、前記軸受空間を密封するゴムシールを有し、前記グリースは、該グリースの全量に対して0.05質量%以上1質量%以下の割合にて有機酸金属塩を含み、さらに、前記グリースは、130℃、100%RH、48時間の条件下における高温高湿試験(1)の後において、該試験(1)前からの体積膨張率が60%未満であり、且つ、容積が100mLの密封容器内で該グリース1.3gを純水10mLと共存させて120℃の条件で48時間経過させる高温高湿試験(2)後において、該試験(2)前からの前記有機酸金属塩の減少率が50%以下であることを特徴とする、水素再循環ブロワである。
本発明はまた、前記水素再循環ブロワに備えられる転がり軸受を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
水素再循環ブロワの構造を説明する模式図である。
水素再循環ブロワに備えられる軸受の構造を説明する模式図である。
水素を用いた燃料電池システムの一構成例を示す概念図である。
添加剤(セバシン酸二ナトリウム)濃度(横軸)に対する高温高湿試験後のグリースの体積膨張率(縦軸)を示す図である。
添加剤(セバシン酸二ナトリウム)濃度(初期濃度)(横軸)に対する高温高湿試験後の添加剤減少率(縦軸)を示す図である。
音響評価試験に使用したグリース種別に、耐久試験後のアンデロン値(M-band)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述したように、燃料電池システムで使用される水素再循環ブロワにおいて、これを構成するモータ等の各種部品には、水素や熱、水蒸気等の環境下において耐久できる性能を有してなることが求められる。上記ブロワには、後述するようにインペラ(羽根車)の回転軸の支持用に軸受が使用されており、該軸受の潤滑のためにグリースが使用されている。
上述したように水素再循環ブロワの使用環境は高温高湿(水蒸気)の環境下にあり、こうした環境では当該グリースは水分(水蒸気)と接触し吸水して、グリースの体積膨張が起こり得る。例えばゴムシールで密封された軸受においてグリースに体積膨張が生じた場合、グリースが封入されてなる空間(軸受空間)の圧力上昇が生じ、これはグリースの漏洩、ひいてはグリース枯渇による潤滑不順を引き起こし、そして軸受の耐久性悪化に繋がり得る。
また、上記の高温高湿の環境下では、グリースに含まれる親水性の添加剤成分が吸水した水分に溶出し、グリース中の添加剤成分の濃度が著しく変化(減少)し、所望の性能発現が損なわれる可能性もある。
このように、燃料電池システムで使用される水素再循環ブロワ等、高温高湿下における動作が想定されるブロワやそれに備えられるモータにあっては、高温高湿(水蒸気)環境下においても潤滑性能が損なわれないだけでなく、体積膨張が生じ難く、かつ、添加剤濃度の変化が抑制されてなるグリースが封入された軸受を備えてなることが望まれる。
本発明者らは、有機酸金属塩を所定量添加したグリースが、高温高湿(水蒸気)環境下においても体積膨張や有機酸金属塩の濃度変化が少なく、且つ潤滑性能も備える点を見出した。なお有機酸金属塩は、これまでに耐剥離添加剤や腐食抑制剤などとしてグリースの添加剤としての使用例がある(例えば特許文献2~5)が、高温高湿(水蒸気)環境下におけるグリースの体積膨張の抑制や当該金属塩の濃度変化抑制に着目した提案はこれまでになされていない。
以下、本発明について詳述する。
【0010】
[水素再循環ブロワ]
本発明に係るブロワの一実施形態について、以下に添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の燃料電池システムの水素再循環ブロワの一例であるインペラ型ブロワにおけるシャフト方向の断面図である。水素再循環ブロワ10は、従来技術のインペラ型ブロワと同様の基本構造を有するものであって、モータM(ハウジング11、ステータ12、コイル13、ロータマグネット14、シャフト15、及びシャフト15を支持する軸受20(転がり軸受))、インペラ(羽根車)16、ハウジング17、吸気口18及び排気口19から構成される。
モータMは、駆動回路を介して電源(以上図示せず)より供給された電流をステータ12に巻回されたコイル13に流すことで磁力が発生し、それによりロータマグネット14が回転し、回転軸であるシャフト15を通じて外部の回転体(後述するインペラ16)に回転が伝えられる。なお本図においてモータMはインナーロータ型のモータを示しているがこれに限られず、アウターロータ型のモータであってもよい。アウターロータ型モータの場合、ステータ12はロータマグネット14の内周側に配置される構成となる。
前記シャフト15にはインペラ16が取り付けられ、シャフト15の高速回転に伴ってインペラ16が高速回転すると、吸気口18から吸い込まれた水蒸気がインペラ16の遠心力によって加圧され、排気口19から排気される。なお高温・高湿下で使用されるブロワなどでは、モータMの転がり軸受20とインペラ16の間には通常動的シール部材Sが設けられ、インペラ16側(ブロワ部分)から転がり軸受20側(モータ部分)への水蒸気等の気体の流れを抑制している。
(【0011】以降は省略されています)
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